2024.04.01更新
雑誌のビジネスマナーの特集記事には必ず服装の写真が掲載されているが、ざっと眺めて終わりというケースが多いはずだ。
「一流の人」が上質なものを着ていること、いい小物を持っていることは百も承知だが、価格が一般のビジネスマンにとって現実的でないからだ。
ご紹介する干場義雅氏が書いた『世界のエリートなら誰でも知っている お洒落の本質 (PHP新書)』も、一般のビジネスマンは手に取りにくいかもしれない。
しかし、どのようなことがポイントになるかは知っておいて損はない。
『世界のエリートなら誰でも知っている お洒落の本質 (PHP新書)』
この本には、どのようなことが書かれているのか紹介したい。
「打ち込みのしっかりとした生地を選ぶ」
生地選びというと、まず色を見て、次に肌触りを確かめ、ちょっとファッションにうるさい人は光沢を考えるのではないだろうか?
しかし、この本のスーツの章に書かれていた1行目は「打ち込み」という言葉だ。
「打ち込み」という言葉はなかなか聞かない言葉だが、「打ち込みがしっかりした生地」とは、織りの密度が高い生地のことをいう。
そうした生地は丈夫なのだ。
スーツを着ているうちに、「膝が抜ける」といった現象が生じることが多い。
「打ち込みがしっかりした生地」なら、そんな現象は起きないし、折り目もしっかり入る。
私たちは「いいスーツは長くもつ」ことを、経験上知っている。
その秘密は「打ち込み」にあったのだ。
「打ち込みがしっかりした生地」は、価格は高くなるが、長くスーツを着られることを考えれば、経済合理性にもすぐれていると言える。
スーツを選ぶときは、まず「生地」なのだ。
「スーツ以上にコートは他人に与える印象が大きい」
コートは「いちばん表面積が大きなアイテム」であり、「身に着けるもののなかで唯一、他人に渡すシーンがある」でもある。
このことに気づくかどうかということが、重要だ。
たしかにスーツ以上に気をつけなければならないアイテムなのだ。
「トレンチコートは顔を選ぶコート」と記述した箇所がおもしろかった。
男っぽい顔の人がこのコートを着ると、「ルパン三世」の銭形警部のようになってしまう。
一方、顔がやさしいと思われる人には、このコートは合うという。
私たちは逆を考えている。
「ムリせず気楽なスタンスでネクタイと向き合う」
いちばんハッとしたのは、ネクタイの記述だ。
私たちは「柄があることがお洒落」というファッションにおける大きな誤解をしている。
柄があればあるほど、コーディネートの調整が難しくなるのだ。
著者がすすめるネクタイは、色がネイビーかグレーで、無地のシンプルなネクタイである。
ネクタイに柄があったり、光沢がありすぎると、相手の目線は柄にいき、本来フォーカスすべきその人に目がいかなくなるという。
この記述に思い当たることがないだろうか?
国内外問わず、VIPと呼ばれる人たちは無地のネクタイをしめているからだ。
「見てもらいたいものは自分」といった部分がたしかに存在している。
歳をとるごとに、柄が微妙にあわなくなってくるのではないかと思う。
若いとき、さわやかな印象を与えたチェック柄も次第にあわなくなってくる。
ネクタイも年齢にあった柄というものがあると思うが、ミドルを超えたあたりからは、やはり無地がいちばんすっきりするかもしれない。
いまチェック柄が似合っている人でも、勝負時のために、無地のネクタイを持ってもらいたいと思う。
「インターナショナルスタンダートな鞄とは?」
「素材は革、タイプはブリーフケースタイプがスタンダート」と言っている。
注目すべきは、名刺交換の際のことにも触れていることだ。
革の鞄を足許などに置いたときは、自立することを述べている。
革のカバンの魅力は型崩れしにくいことであり、その分、重量は重くなるが、それゆえに自立するのだ。
よく、名刺交換などで、鞄を床に置くたびに、鞄が傾く光景を目にする。
いちばんイライラするのは本人だが、見たほうも、そんな光景はだらしなく映る。
ビジネス小物のなかで、いちばん選ぶのが難しいのは鞄ではないかと、私は思っている。
素材もさまざまで、価格もまちまちだからだ。
鞄選びのなかで、ポイントの一つになるのは「鞄の自立性」だ。
鞄を購入するとき、自立できるかどうかのチェックはしないことが多いので、試してから購入してもらいたい。
どうだったろうか?
この本に書かれていることの4点をピックアップしたが、書かれてあることはポイントを突いているのではないだろうか。
ビジネスマンの多くは、このような本をのっけから受け付けないかもしれないが、それは食わず嫌いにも似たようなところがある。
これらの本は、詰まるところ、「人の目から見てどうか」ということを言っている。
それは、人の印象にほかならない。
しかし、人の印象も大事だが、価格が高いと思われる「いいもの」をどうやって揃えるのかという現実的な問題が存在する。
一般の人が、いっぺんに「いいもの」を揃えることはむずかしい。
著者は本のなかで、「コートでも、靴でも、いいものを焦らずひとつずつ揃えていけばいい」と述べている。
長く使えるものを選ぶということがポイントだと思う。
出世は人の印象の産物である。
この印象は、仕事の出来だけでなく、応対、動作、文章など、ありとあらゆるものが含まれる。
この印象のなかに、服装が含まれることは間違いない。
「見た目」という大きな印象を構成している。
出世と服装は関係があるのだ。
出世への道は、一つひとつの積み重ねが必要だが、服装もそんなところがある。
それには、まず、服装の基本的な知識を持つことが必要である。
だが、服装、ビジネス小物の話といえば、ブランドの話になってしまうことが多い。
そんなことを毛嫌いするビジネスマンも多いと思う。
私も好きになれなかった。
しかし、「いいものはなにか?」と考えたとき、買う買わないは別問題として、そんな知識も若干、持ちあわせたほうがいい。
そこに蓋を閉めてしまうと、服装への興味も湧かなくなるおそれがあるからだ。
私は、「いいもの」と考えるより、「お気に入り」のものを持ってもらいたいと思う。
「お気に入り」という言葉は、自分に向けられている。
「お気に入り」を持つことは、自分を楽しくさせる。
そんなものを持っていることが、自信につながることもあるからだ。
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