『さすが!と言われる ビジネスマナー完全版』

さすが!と言われる ビジネスマナー 完全版

高橋書店編集部

高橋書店 2010-03-30

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以前、『仕事のマナー100の鉄則』を紹介したことがあるが、私はそれを機に、世の中にどのくらいの数のビジネスマナーの本があるのか、そしてどういった種類の本があるのか気になり調べてみた。
Amazonで「ビジネスマナー」で検索したところ、予想に反してそんな数は多くない。また、ビジネスマナー全般についての本はさらに絞られることがわかった。
その中で、最もビジネスマナー全般について触れているのが本書ではないかと思い購入した。
そして、本書は私の期待通り、至れり尽くせりビジネスマナーについて説明している。
内容自体は、ビジネス社会のことは皆目見当がつかないという新人向けに書かれているが、実は本当のことそうを誰にも教えてもらったことがないベテラン社員にも十分に参考になると思う。

 

まず、この本の構成を見ていただきたい。

 

第1章 ファーストイメージUP術

第2章 研修いらずの 社内業務&マナー

第3章 ものおじしない 会話術

第4章 接客・訪問に役立つ 対顧客マニュアル

第5章 コツが凝縮 ビジネス文書作成法

第6章 恥をかかない 冠婚葬祭(ビジネス版)

 

およそ我々が知りたいことが網羅されていることがわかる。
そして、内容は、長年ビジネスマンを経験してきた私の視点からも、ほぼ完璧に近い。
そうすると、我々の頭をよぎるものがある。
それは、この本の第2章の見出しが示す通り、「この本1冊あったら研修やセミナーなどいらないのはないか?」という疑問である。
そう思うものの、確かに新人向けには最低限のビジネスマナー研修は必要な気がする。
しかし、問題はその中身だと思うのである。
多くの場合「ビジネスマナーをかいつまんだ研修」となっているのではないだろうか?
また、その後、稀に開催される研修や、個人が自費で参加する研修やセミナーも、「かいつまんだ研修」となっているのではないだろうか?
と言うのは、もちろん時間的制約もあるのだろうが、ビジネスマナー全般についてスルーで教えられる人は、実はいないのではないかと私は思うからである。

 

実際、ビジネスマナー研修やセミナーというと、講師陣はセールスの世界で成功した人や接客業に携わって成果を上げた人が多いのではないだろうか。
しかし、それはそれで意味あることだと思うが、多くはビジネスマナーの一部分ではないだろうか。
この本の構成を見てもらえばわかるが、ビジネスマナーと一言で言っても広範なのである。
この本でも、社内と社外のビジネスマナーを分けている。社内と対顧客(営業)と分けている。その他にも、服装などのイメージ、文書作成は別物としているのである。
また、この本の監修者も4名もいて、章別に担当を分けているのである。

 

つまり、
ビジネスマナーと言っても、広範であり、
研修、セミナーは、とてもビジネスマナー全般をカバーできているとは思えないのである。
そして、多くの場合は、「特定分野で活躍した人」が講師になっているのである。
しかし、我々が身に突けなければならないものは、ビジネスマナー全般だと思うのである。
こうして考えた場合、本書のようにビジネスマナー全般について書かれた本は、確かに意味があると思うのである。

 

そして、私がそう考えるには理由がある。
私はビジネスマン時代、おびただしい数の研修やセミナーを受けた。
しかし、研修やセミナーを受けた直後は、確かに気分は高まるものの、意外なほど身につかなかった。
また、いつも、研修資料は長く保管するものの、ついぞ読み返したことはなかった。
それは、研修資料自体が小出しに出されたプリントが多く、整理できなかったこともある。
私は、そんなことから、研修やセミナーより1冊の「拠りどころ」となる本の方が重要だと思うようになった。

 

実は、私のビジネスマンとしての最初の戸惑いは、文書作成だった。
そのとき、先輩から譲り受けた様々な文書例が記載された本は、ぼろぼろになるまで使いまくり、今でも使っている。
私は、その本に記載されている文例を参考に、実際の職務で応用し続けているのである。
つまり、ビジネスマンにとっては、学生時代の英文法の本のように「拠りどころ」となる1冊が必要な気がするのである。
そして、時間とお金をかける必要はないと思うのである。

 

また、もっと言うと、「経験からのビジネスマナー」と「本当のビジネスマナー」は違うと思っている。
多くの研修やセミナーは、致し方ないことかもしれないが、多分講師側の経験からくる思いというものが入っていると思う。
初心に帰って、正しいビジネスマナーを知ることも必要だと思うのである。
最後に、この本を読んで「重要」「参考になる」と思った箇所を示しておきたい。

 

・尊敬語と謙譲語はやはり使い分ける必要があると思う。(本書P86~参照)

 

・豆知識 「イスの格はここで判断」(P119参照)

「ゆったりくつろいで座れるイスほど上座」

私は新入社員のとき、偉い人が来客したとき、なぜ肘掛け椅子ではなくソファーに座るのかわからなかった。
それは肘掛け椅子の方がいかにも偉い人向けに思えたからである。

 

・「話を切り上げるのも訪問した自分から」

意外とわかっていないことではないだろうか?

「また会社を出たあとも油断は禁物です。周辺に関係者がいる場合も多いので、うわさ話などは慎みましょう」(P132参照)

⇒ 当HPブログ「得意先を辞去するときは、視界から消えるまで我慢する」参照

 

・ビジネス文書には社内文書、社外文書のほか、「社交文書」(各種案内・年賀状・あいさつ状・祝い状・詫び状・招待状など)があることも理解する必要があると思います。(P148~参照)

 

・時候の挨拶(特に季語)は重要です。ビジネスの現場では結構使います。
覚えることはありません。本書のようなものを机の引き出しに入れておき、必要な時に取り出せばいいと思います。(P166~参照)

 

・その他、各種文書例も重要です。
これこそ、ビジネスの現場で毎日のように使います。
文書例を覚える必要はありません。最初は、本書の文書例を参考に変えていけばいいと思います。
そのうち、自然に文書パターンを覚えていくと思います。
重要なことは、迷う時間をなくすことです。文書作成は迷うと驚くほどの時間がかかります。
それよりは、こうした定型文を応用した方が確実ですし、断然時間を節約できます。

 

 

 

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