異動で「選ばれる人」になるには、単に「優秀な人」になるだけでは足りません。
「このポストなら、この人」「この仕事なら、この人に任せたい」と、会社から思われることが重要です。

ポストや仕事に対する必然性が必要なのです。
これが「選ばれる」という意味です。
そのためには、
自分がどんな仕事をしてきたのか。
どんな結果を出してきたのか。
どんな専門性を身につけたのか。
どんな役割を果たしてきたのか。
会社に伝わる形で表現することが大事です。
ところが、私たちはそうした切り口で、昇進や出世を考えてきませんでした。
「優秀ならば、選ばれる」と、考えてきたのです。
だから、
「評価されているのに、なぜか出世しない」
「自分より仕事ができないと思う人が、先に出世している」
「ポストを待っているが、なかなか順番が回ってこない」
と嘆くのです。
ポストに余裕があった時代は、会社は「優秀」という理由で、ポストに就けました。
しかしポストに余裕がなくなると、「優秀」という理由だけで、ポストに就けることはなくなりました。
そのポストに就ける理由が必要になったのです。
重要なことは、それを自分で表現しなければならないということです。

「自分で表現する」と言っても、けっして難しいことではありません。
まずは、会社に提出する自己申告書に、自分をしっかり表現することから始めればよいと思います。
自己申告書への記入をやっつけ仕事のように考える人もいますが、会社は職員の自己申告書をジックリ見ています。
じつは、自己申告書の記入内容は、人事異動の出発点になるのです。
私は8年間、部門の長を経験しましたが、各課長から送られてくる職員の自己申告書を基に、人事異動案を作成し、それを人事部に提出しました。
私がまず見たのが「現在の職務」です。
「現在の職務」は本人や直属の上司からすれば、わかり切ったことかもしれませんが、その上の上司や人事部にはわかり切ったことではありません。
「現在の職務」が詳しく書かれていると、
「こんな難しい業務を行っていたのか」
「重要得意先〇〇社は、この人が担当していたのか」
「課長もこんな業務を担当させているということは、担当者としては卒業レベルなのだな」等、
いろいろなことがわかってきます。
現在の職務は?

次に見たのが、「自分が考える強み」です。
抽象的な表現ですと、よくわかりませんでしたが、具体的に記入されていると、その人の強みが見えてきます。
それに、在籍年数、本人の現職への考え、過去の経験などを見れば、
その人を今、異動させるべきなのか、異動させるとすれば、どこの部署が適所か見えてきます。
こうして人事異動案を作成するのです。
人事部は送付された人事異動案を、人事部の目で確認します。
そして、人事部の目から見た異動者、異動先をフィードバックします。
それから、部門の長と人事部が話し合います。
人事異動の決定権者は人事部ですが、人事異動はこのようにして決まるのです。
自分を表現する大切さが見えてきたと思います。
自分を表現する場は、自己申告書だけに限りません。
上司との面接の場、日常の会話など、さまざまな場があります。
そんな機会を活かすのです。
異動で「選ばれる人」になるには、自分を表現することです。
その表現が、「選ばれる人」になる必然性を生むからです。
※本記事は、拙著『コロナ後の「たった一つの出世の掟」』の内容を要約したものです。
綾小路 亜也

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