2024.01.11更新
出世と左遷 (新潮文庫)
高杉 良 新潮社 2018-04-27 |
高杉 良の『出世と左遷』には、
サラリーマン社会のどろどろとした人事異動の裏側が書かれている。
何が出世で、何が左遷かは意外にわからない。
表向きは出世のように見えても、本人にとっては左遷ということもあるし、
転勤した先で、転機を生むこともあるからだ。
『出世と左遷』は、元々は『人事権!』というタイトルで1992年に講談社から発刊されたが、
その後、改題された。
1996年には三浦友和主演のTBSドラマにもなっている。
人事異動には舞台裏がある
まず、本の内容を裏表紙から紹介したい。
「中堅損保、栄和火災海上の相沢靖夫は、秘書室次長で会長付の46歳。会長の絵の個展を企画したが、思わぬ窮地に陥ってしまう。絵を貰ったN証券社長から会長に1000万の商品券が贈られたのを知り、口止め料に200万円を握らされたのだ。苦悩する相沢。そこに強面の経済記者の取材が……」
N証券社長は予想どおり見返りを要求した。栄和火災で増資の計画があったのだ。
映画にもなっている
Amazonから
(現在VHSは販売されていないようです)
この小説には、サラリーマン社会でありがちな部分がある。
会長はあくまでも高級服地をもらっただけと押し通したことだ。
つまり、トップは真実を明かせなかったということだ。
それゆえ、話はこじれ、相沢は苦悩を抱え込まなければならなくなった。
このトップを上の人と読み替え、我が身のように同情するサラリーマンも多いに違いない。
出世には「表向きは出世」というものがある。
しかし、本人にとっては左遷なのだ。
本のなかで、その役割を演じたのが、次期社長と目された宮本常務だ。
N証券への顔立てをすると、幹事証券会社のY証券の顔が潰れる。
その調整をしたのが宮本常務だった。
宮本は見事な調整をしたが、会長に嫌われてしまう。
宮本は、代表取締役専務に昇格したうえで、関西総合本部長に転出する。
「代表取締役の専務に昇格したのだから、たいへんな出世だ!」と思うかもしれないが、
サラリーマン社会では、宮本には社長の目がないことを意味している。
それは本社から追われたということでもある。
宮本自身も失意に暮れる。
宮本のように栄転という形で送り出され、社長レースから離脱していく役員は多いだろう。
サラリーマン社会での出世か左遷かは、その人の身になってみないとわからないのだ。
相沢も会長の機嫌を損ね、たった1年の秘書室勤務で、関西総合本部のサービスセンター業務部副部長として転出した。
失意に暮れた相沢と宮本だったが、新たな職場で出逢いが待ち受けていた……。
サラリーマン社会は人との出逢いと言える。
失意に暮れて転勤した先でも、必ず出逢いがある。
出逢いが転機を生むことも多い。
何が幸いかはわからないということだ。
さまざまなことが起きても、前に進むことが大事なのだろう。
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