『ワン・シング』 

ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果

ゲアリー・ケラー ジェイ・パパザン 門田 美鈴

SBクリエイティブ 2014-01-22

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「言っていることはあたっている!」「その通りだ!」と呟きながら読み終えました。
文句なしの★★★です。世のビジネスマンに絶対に役に立つこと間違いなしと思います。
私も、ビジネス書作家の端くれですが、極論すれば、この1冊を完全にマスターすれば、セミナー参加等必要ないと思います。
それほど、物事の根幹を射抜いています。
さて、この本を十分に理解するには、本の特徴と構成をよく理解する必要があると思います。
まず、著者ゲアリー・ケラー氏は実際にビジネス界で活躍しているということを理解する必要があります。
なぜならば、この本の結論は、決して机上からは生まれないだろうと思うからです。
世に出ているビジネス書は、「ああしなさい」「こうしなさい」と説きます。しかし、実際にサラリーマン生活を長い間続けていた私にとっては、とても現実のビジネスの世界とはほど遠い内容と思っていました。実務の発想ではないのです。
本当に実務を経験した人ならば、「ああしなさい」「こうしなさい」とは言わずに、きっと、「これだけやれ!」と言うはずだといつも思っていました。
このことが、拙著『サラリーマンの本質』執筆の動機になりました。

 

また、みなさんも、よくよく考えていただければわかることですが、「ああしなさい」「こうしなさい」と列挙することは、誰にでもできるということです。必ず、何かに当てはまることを言えるはずです。すなわち、別にビジネスの経験があろうがなかろうが、等しく一般的なことは言えると思います。
それが、この本のように、「これがすべてだ!」は、実務での経験、苦労なくしては絶対に言えないと思います。
まず、これがこの本の大きな魅力の1つです。

 

そして、この本の魅力は、世に色々言われていることがあるが、「本当は、こういうことなんじゃないの」と、誰もが薄々感じていることに鋭く切り込んでいることです。
前述したように、世に言われていること、世の常識を踏襲し、上塗りすることは誰にでもできます。
しかし、ここに惑わされていることも事実なのです。私は、今、話題騒然となっている『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』 についても書評を書きましたが、『嫌われる勇気』も冒頭に、引きこもりの青年の話が出ています。いままでは、この青年のような場合、いろいろな原因があったから引きこもりになったと、誰しもがそう考えることが当然と思っていました。ところが、『嫌われる勇気』は、引きこもりが目的であったと言っています。
「なんだって?」と叫びたくなりますが、私たちは、もしかすると、「本当はそういうことではなかったのか」と薄々感じていた部分ではありました。
この『ワン・シング』も同様に、世の中で広く言われている嘘に対して、PART1まるまるを割いて記述しています。

 

さて、本の構成を見てみましょう。
大きく3つの構成から成り立っています。
PART1 嘘
PART2 真実
PART3 目覚しい成果

PART1 PART2を読んでいるうちは、「そういうことあるな」「ふむふむ」という反応かもしれませんが、PART3で、いきなり、「そういうことだったのか」とすべてがわかります。どうか、ここまで辛抱して頑張ってもらいたいと思います。

 

本の内容を一点に凝縮するならば、PART3の「目的を持って生きる」です。
本文より引用します。
「これはロシアのマトリョーシカ人形にちょっと似ている。『いま現在』の『一つのこと」が今日の『ひとつのこと』の中に入っていて、その外側に今週の『一つのこと』、そのさらに外側に今月の……というように、入れ子の状態でつづいていく。こうして小さいものから大きいものを築きあげることができる。あなたはいま、あなたのドミノを並べているのだ。」

そしてこのページにある図24を見ていただきたいと思います。

 

「いま」に向けた目標設定

将来の目標
将来、私がやりたい「一つのこと」は何か?

五年の目標
「将来の目標」をもとに、
次の五年で私ができる「一つのこと」は何か?

一年の目標
「五年の目標」をもとに、
今年、私ができる「一つのこと」は何か?

一ヶ月の目標
「一年の目標」をもとに、
今月、私ができる「一つのこと」は何か?

一週間の目標
「一ヶ月の目標」をもとに、
今週、私ができる「一つのこと」は何か?

一日の目標
「一週間の目標」をもとに、
今日、私ができる「一つのこと」は何か?

いま現在
「一日の目標」をもとに、
いま現在、私ができる「一つのこと」は何か?

 

*この図が、「ワン・シング」のすべてです。マトリョーシカ人形の入れ子になっています。

 

この図がすべてで、何も語る必要がありませんが、私たちの悩みというものは、この図がしっかりとできていないために起きているのではないでしょうか。
私自身も長いサラリーマン生活の中で、毎朝、「何のために働くのだろうか」と思い、重い足を会社に向けていました。
もっと正確に言えば、「目的」はその都度、あったのです。マイホームを持ちたい。子供の教育をしっかりとしたい、幸せな家庭を築きたい。
しかし、何か目的がとんでもない上の空にあって、現実とうまくリンクしていませんでした。
だから、とにかく、「今は、辛抱して会社に行かなければならない」と自分自身に言い聞かせ、家を出たのです。
当然ながら、そんな1日1日は辛いものとなりました。

 

『ワン・シング』の話は、当たり前の話じゃないかと思う人がいるかもしれませんが、現実、ここまで頭を整理することはできないと思います。
当たり前のことかもしれませんが、私は、「これだったのか!」と思いました。
この「一つのこと」=「ワン・シング」ができるようならば、当然のことながら、一日一日が意味ある輝きを持つと思います。
人生の目標は人それぞれです。必ずしも、ビジネスの成功だけではないと思います。
たとえはあまりよくないかもしれませんが、もし、あなたが、「一家団欒で過ごせるマイホームを持ちたい、そのためにオレは頑張るんだ」と願うのならば、将来の目標から、五年間、一年間、一ヶ月、一週間、そして今日というように何をなすべきかがわかると思います。
そう考えただけでも、目標に近づいている気になって一日が楽しくなりませんか。
重要なことは、いま、目標のために、何をなすべきかということだと思います。

 

『ワン・シング』に記載されている次の「時間の区割りをする」という部分も非常に重要ですのでコメントしておきます。
いままで述べてきたように「一つのこと」を決めていても、時間の区割りをしっかりと実施しなければ、この「一つのこと」ができないということです。
会社でも事業でも、今日、そして、いま、「一つのこと」を実施しようと思っても、邪魔が入ります。
人からの打ち合わせの申し出や電話が入ったり、急に呼ばれたり、話し込まれたりすることにより、やるべき「一つのこと」が阻害されるということです。
これは、みなさんにも絶対に経験があると思います。あるいは毎日がその連続であるとも考えられます。
「今日、会社でこれだけは完成しておく。やっておく」と気合を込めてデスクに向かったはいいが、ありとあらゆることにより阻害され退社する際に、「今日は、結局なにもできなかったな」とモヤモヤ感を覚えることって必ずあると思います。
しかし、それでは目標にたどり着かないと『ワン・シング』は言っています。時間の区割りをしっかりと、そして断固実行しなければならないとしています。
もっと平たい表現をすると、目標にたどり着く人、成功する人は、集中して、専念すべきところは専念しているということです。
この部分を呼んでハットしたのは、前に書評を書いた『営業の神様 』ジョー・ジラード氏の行動とまったく同じということです。
彼は、毎日毎日が、真剣勝負で、集中しているときは、決して人を寄せ付けなかったと言っています。
この点は、成功者の共通点だと思います。
また興味深いことは、『ワン・シング」『営業の神様』とも、余暇の時間が非常に大切と言っています。
集中して「一つのこと」に専念する場合、エネルギー補給、充電は不可欠と言っていると思います。参考にしてください。

 

さて、拙著『サラリーマンの本質 』は、『ワン・シング』とは次元はまったく異なるこかもしれませんが、冒頭の第一議題「『ピンチのあとにピンチが来る』組織の考察」で、「『ピンチのあとにピンチが来る』組織や人の共通点は、「問題並列型」という特徴がある」という記述からスタートしています。
すなわち、問題を横に並べたまま、ひとつの物事を完結できない組織や人がピンチを招くということを言っています。
この『ワン・シング』を読んでいると、まさに、目標を達成する組織や人は、「一つのこと」に専念、集中する力を持っているということを改めて再認識した次第です。
『ワン・シング』は、まさにアメリカ人らしい歯切れと論理性から、世の中で言われている「嘘」に向かい真実を探求した本と言えます。『サラリーマンの本質 』は、AmazonVINEメンバーの方が「この切り口は日本人のサラリーマンにしか書けない『本質』」と題をつけてくれましたが、日本人的発想で、日本のサラリーマン社会の「常識の嘘」にチャレンジしたつもりです。ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

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2014年4月2日