『仕事のマナー100の鉄則』

仕事のマナー100の鉄則―完全保存版!挨拶、お礼、お詫び、メール… (プレジデントムック プレジデントプラス)

「プレジデント」編集部

プレジデント社 2014-09-16

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ビジネスマナーは教えられているようで教えられていないものの一つである。
先日、私はある管理職から「実は車に乗る場合、本当はどの座席が一番上席になるのかよくわからないんです」と質問を受けた。
要は、みんな「わかっているようで、わかっていない」ーこれがビジネスマナーなのである。
私は、そんなこともあって、このHPで「ビジネスマンの守る技術」を書いたので参考にしていただきたい。
特に第6章「知らないと失敗する対応編」で、既存のビジネス書には記載されていないビジネスマナーについて書いたつもりである。

 

そして、そんなことから、「いったい、世の中ではどんなビジネスマナーが教えられているのか」を再確認するために本書を買った。
はじめにことわっておきたいが、この本は、本というより、雑誌PRESIDENTの紙の材質をよくした、PRESIDENTの完全保存版的な位置づけであることに注意願いたい。謂わば96ページからなる薄い月刊誌のような本である。

 

さて、ビジネスマナーや営業の本、あるいはこれらを題材にしたセミナーというと、読者やセミナー参加者に過度な要求をするものも多いが、「本当にそんなこと必要なのか?」というのが、長くビジネスマンを経験した私の率直な思いである。
また、「そこで教えられてる内容を、実際のビジネスの世界で実行したならば、多くは違和感を持たれる」というのが私の実感である。
この本はどうであろうか?
まず、本の目次を掲示しておきたい。

 

・世界のエリートが大切にする「小さな習慣」とは

・相手別「一瞬で嫌われる」あなたの言動140

・ファーストクラスに乗る人の「極上の気遣い」

・コラム: ファーストクラスに乗る人の「腕時計と靴」分析

・100点満点で当たり前「仕事の基本練習」8

・コラム: 冠婚葬祭「祝儀・不祝儀」のウソ、ホント

・読者が入門「男のマナー教室」体験レッスン

・コラム:「その飲み方、実は無粋です!」銀座クラブママの本音

・仕事ができる男に見える「スーツの鉄則」

・コラム:「ニオイに困っています」丸の内秘書の本音

・営業&接客「一流vs三流」の行動パターン比べ

・コラム:「この振る舞いが超一流!」ホテルコンシェルジェの本音

・トップ営業マンが実演!契約を取れる宴会術

・ヤバイ事態発生! 場面別ベスト対応、教えます

・「貰った人が一生心に残る」お礼状&お詫び状

・寿司、懐石からフレンチまで「男を上げる」名店の作法

・日本の心、ここにあり。仕事に役立つ「武家の礼法」

 

どうだろうか? この目次を見ただけで、みなさんは、この本のおおよその内容が読む前から想像できるのではないだろうか?
残念ながら、これが、今のビジネス書の類の特徴なのである。
目次別にコメントを加えていきたい。

 

・世界のエリートが大切にする「小さな習慣」
読む前から内容が想像できると思う。それは、みなさんも、同じような題材がついた外資系コンサルタントが書いた本を辟易するほど見ていからである。
はたして、執筆者はゴールドマンに入社し、その後ハーバード経営大学院に留学し、帰国後マッキンゼーに入社し、自分の会社を立ち上げている。
しかし、「”10分前”の精神で心に余裕を」「頼まれた仕事は”五分”限定ですぐ」などは、なかなかわかりやすい参考になることを言っている。

 

・ファーストクラスに乗る人の「極上の気遣い」
元国際線キャビンアテンダントが執筆している。
ここは、参考になることが記載されている。
「本当に大切なのは、マナーの”型”ではない。型にガチガチに縛られることほど逆に余裕のない証拠なのだろう。
ファーストクラスの常連であるビジネスエリートたちは、ときにTPOに合わせて柔軟に対応し、自分の流儀をつくり上げる。
『型を知ったうえで、型を破る』これが、超一流と呼ばれる成功者たちの共通『スタイル』なのだ」(P23)

 

・100点満点で当たり前「仕事の基本練習」8
その中の「会議」から
「若手は議事録を任されることが少なくない。発言を逐一正確に書きとめるのは難しいため会議の重要度に応じてICレコーダーに録音することも」(P32)
コメント
そんなICレコーダーに録音するような重要な会議が開催されることは、現実の世界では、まずない。
また、仮にそんな重要な会議だったら、若手職員に議事録をつけさせることはない。
さらに、こんなことに手間をかけているようでは、非効率の極みである。
加えて言えば、ICレコーダーで録音しなくても、ちゃんと議事録を作成させることが若手職員への指導である。

 

「エレベーター&卓タクシー」から
コメント
来客室の座る上席順を記載しているが、その中で、来客で一番偉い人は、長椅子の一番奥となっているが、実際には、ソファーの真ん中に座ることの方が多い。
なぜならば、真ん中に座った方が、均等に応対できるからである。また、社を代表しているという位置づけにもなる。

 

・「その飲み方、実は無粋です!」銀座クラブママの本音
「お誕生日のような記念日にお祝いをおねだりするのは、要するに『シャンパンを抜いてください!』っていうことなんです。(P48)
コメント
つまり、「スマートに金を使うということ、気遣いができる」ということを言いたいのだと思うが、それは確かに一流クラブで「モテる男」の条件だとは思うが、それは、「モテようと思っている」男と、店側の受けとめの話であり、ビジネスマナーとはまったく関係がない話である。
ここら辺を混同しているのが、最近のビジネス書の特徴である。

 

・仕事ができる男に見えるスーツの鉄則(P50)
コメント
もし、この本を購入された読者の方は、このページに写るスーツを着こなしている男性の写真をじっくり見ていただきたい。
その印象が、スーツに対する一般的な、正しい印象ではないかと思うからである。
私は、大変失礼な言い方になるが、このページを何度見ても、「ニューなスーツを買ったばかりの人」としか映らないのである。
この写真が他の雑誌に載っていたならば、きっと「この人は、ある会社の課長さん、係長さんだ」くらいにしか思えないのである。
私は、スーツ選びは、確かにダブダブ、窮屈という事態は避けなければならないが、所詮こんなものであるから、あまり神経を尖らせない方がいいと思うのである。
私が、むしろ重要と思うのは、フィット感である。すなわち着こなした姿である。
この写真の男性は、ちょっとパンツの丈が短いので全体に窮屈感、ガチガチ感が出ている。
パンツの丈は、靴が隠れる程度の方がフィット感が出ると思うが、みなさんは、どうお考えだろうか?
若干、補足すると、ビジネススーツは着こなしている内に、テカテカにならない生地、色を選んだ方がいいと思う。 紺は、テカテカになりやすい。
また、いい生地は、やはりフィット感がでやすくなる。全部高い生地のスーツを作る必要はないが、とっておきとして一着くらい、いつもより少し高めの生地を選んでもいいのではないだろうか。
なお、この記事では、「靴は、四万円からが目安」(P55)と言っているが、論外である。

 

・営業&接客「一流vs三流」の行動パターン比べ(P58~)
コメント
このページの「きちっと立ち止まって挨拶」のイラストを見ていただきたい。
きっと、みなさんは違和感を覚えるはずである。
ここに記載されていることは、確かに重要なことだが、あまり、キッチリやりすぎると、非常に違和感を持たれるので注意してもらいたい。
このバランス感覚が実際のビジネスの現場では大事である。
それは、執筆者よりも、きっとみなさんの感覚の方が正しいのではないかと思う。
本のマニュアル通りにすると、「変人」に思われることもあるので、ぜひ、みなさんの感覚を大事にしてもらいたい。

 

・「お願い」の記事から(P60)
コンサルタントの成田清人さんのこの言葉は参考になる。
「挨拶に関して私は『いらっしゃいませ』というフレーズを封印しています。その後に『何かお探しですか』というアプローチが付き物になるからです。そこで一流の作法として『ご来店ありがとうございます』をお勧めしています」

 

・「お礼」の記事から(P62)
「上体を45~60度傾ける『最敬礼』などもあるが、感謝の気持ちを示す場合のお辞儀は上体を90度傾けることを、一流の営業マンや店員は必ず頭の中に刻み込んでいるのだ」
コメント
ちょっと? と言うよりも、いかがなものかと思う。
90度お辞儀をされた相手のことを考えてみた方がいいと思う。
私は、あまり形に走らない方がいいと思うのである。重要なことはお礼の気持ちである。
あまりやりすぎると、かえって、「見え透いた奴だ」と思われたり、「なにかそこまでやられる理由があるのか?」と勘繰られることにもなりかねないと思うが、みなさんはどう思うだろうか?

 

一方、次の言葉は参考になる。
「新しい商品を買ったとき、たいがいの顧客は『使い方がわからなくなったらどうしよう』などと不安を持っているもの。『ありがとうございます』に『なにかありましたら、私〇〇までお電話をください』と一言そえるだけで、その不安がすぐに解消する」

 

・トップ営業マンが実演! 契約を取れる宴会術(P68~)
コメント
なにか急に異質な記事が出てきたのに驚いた。
この本の題材の質ががらりと、ここで変わることになる。
どう見ても、居酒屋に毛が生えたような場所で、ネタ芸の披露までも書かれている。
これは、どう見ても得意先との「懇親会」の要領にすぎないと考える。

 

・貰った人が一生心に残るお礼状&お詫び状(P80~)
コメント
タイトルがオーバーである。
実務の立場から言うと、お詫び状は、先方から要求された場合だけ書いた方がいい。
それよりも、実際の信頼回復へのアクションと、その都度の先方への中途報告の方が大事である。
また、お詫び状のように文書が相手に渡る場合、今度は、文書の内容も争点に加わるので、できる限り書かない方がいい。

 

・寿司、懐石からフレンチまで男を上げる名店の作法(P86~)
その中の「フレンチ」の記事(P90~)は参考になる
「すべてに共通するのは、変にかしこまらず、リラックスをして、わからないことを率直に相談すること。付け焼き刃の知識ほど恰好の悪いものはない」
コメント
この記事は、フレンチ高級店でのマナーのことを言っているが、私は、これがマナーで一番重要な気がするのである。付け焼き場的なことをいくらやっても、自分のものになっていないときは、やはり、人から見るとおかしいのである。

 

さて、改めてどうであろうか? また、本当にみなさんが知りたい内容が記載されていただろうか?
確かに役立つ内容が書かれているとは思う。
その中で、実際に一番役立つのは、「コラム 冠婚葬祭『祝儀・不祝儀』のウソ、ホント」かもしれない。
そして、みなさんも感じられているかもしれないが、ちょっと、読者をファーストクラスに乗る人や銀座の高級クラブに行く人などを引き合いに出したりして、あっちこっちに振りすぎのような印象を受ける。
また、マナーや仕事のワザと言うと、とかくその道のコンサルタントが登場し、「過度」なことを言い過ぎると思うが、みなさんはどうお感じになるだろうか?
私は、もっともっと違和感のない方法があると思うのである。

 

 

 

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