印象に中間点は存在するか? ー 100点か0点か

2024.02.07更新

 

私がよく行くドラッグストアのビジネスマナーは100点だ。
店員はいつも笑顔を浮かべ、接客態度もきわめていい。

 

しかし、一つだけ課題がある。
1万円札や5000円札を出したとき、おつりのお札がいつもシワクチャなのだ。

 

私は、レジへのお金の出し入れが激しいせいだと、いつも自分に言い聞かせていた。
だが、あまりにも汚いお札を渡され、「ちょっと、替えてもらえませんか」と、何度言い出しかけたかわからない。

 

そのうち、私はだんだんそのドラッグストアに行くのが憂鬱になってきた。

 

 

一方、私がときどき行く餃子屋さんは、テレビで紹介されたこともあり、昼時ともなると、いつも店の外に行列ができている。
正直、その店の餃子は格別においしいというわけではない。

 

しかし、一つだけ感心することがある。
おつりが、いつもピカピカなのだ。

 

おつりを手にしたビジネスマンやビジネスウーマンは、思わず「わっ、きれい」と言って、大切に小銭入れにしまっている。
気がつけば、私は、何度もその店に行っている。

 

その餃子屋さんは、まさか、おつりのせいで繁盛しているわけではないと思ったが、そんなこともなくはないと考えるようになった。

 

そこにビジネスマナーの本質のようなものがあったからである。

 

 

ビジネスマナーは、簡単に言えば、人への気づかい、思いやりである。
詰まる所、人を不快にさせないということだ。

 

そんな視点で、私がよく行くドラッグストアと餃子屋さんを考えてみると、ドラッグストアは表面上のビジネスマナーは100点かもしれないが、結局は、私を含め、お客さんを不快にしている。
餃子屋さんの方は、結局はお客さんを喜ばしている。

 

 

この話は、たかだか、おつりの話ではあるが、そこには印象というものの本質が詰まっている。

 

印象は、気になる部分があると、気になる部分が全体の印象を決めている。

 

ほかの部分が満点だったとしても、0点になってしまう。

 

その証拠に、私たちは「印象がいい」とか「印象が悪い」という言葉を使い、けっして中間的な表現はしない。

 

つまり、印象はいいか、悪いかのどちらかであり、100点か0点かということである。

 

私たちは、ビジネスの現場でも、同じようなことを経験している。

 

一見、ビジネスマナーが満点と思われる人でも、あることが気になって仕方がないときがある。

 

気になったことは、その人の一部分かもしれないが、その人を象徴しているような気がしてならないからだ。

 

また、その人の本当の姿が表れているような気もする。

 

 

私が気になって仕方がなかったものはハンコだった。
書類に押されたハンコを見て、その人の本当の姿を知った。

 

あなたの家にも、エアコンなどを修理をしたとき、あるいは家をリフォームしたときの見積書や請求書が残っていると思う。
そこに押されたハンコを見てもらいたい。
あなたが感じた修理業者やリフォーム会社の担当者への印象とハンコの印象は一致するはずである。

 

綾小路 亜也

 

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