ビジネス文書では、「私」より「小職」

2024.04.05更新

 

ビジネス文書で「私」をどう表現したらよいだろうか?
文書上で「私」では、ちょっとおかしい気がする。
そんなとき、「小職」という言葉がある。

 

ビジネス文書で「私」をどう表現するか?

 

「小職」は一定以上の役職に就いている人が使う言葉と言われているが、

実際には広く使われている。

 

じつは、私が社会人になって最初に迷ったのが、「私」の表現だった。

 

文書上で、

「私の意見」では、何か読書感想文的になってしまうし、

「私の考え」では、学生仲間での意見交換のような感じがする。

「私ほか3名が出席しました」は、どこかおかしい。

 

だから「私」と書くことに迷ったのだ。

 

迷った挙句、「小生」という文字を使ってみた。

すると、組織の長が笑いながら、私のところまで来て、

「こういう時は『小職』という言葉を使うんだよ」と教えてくれた。

 

これが私の「小職」という言葉との出会いだ。

 

 

たしかに「小職の意見は」「小職の考えは」「小職ほか3名が出席しました」と書くとスッキリした。

 

それから、先輩社員の経緯書や理由書、報告書を見る機会があったが、そこには「小職」という文字が記載されていた。

 

 

 

「小職」は「官職についている人が自分をへりくだっていう語」と、

辞書には記載がある。(『デジタル大辞泉』)

 

へりくだっていることは、「小職」の「小」が示している。

それが一般企業にも広まったということだ。

 

問題は、「官職についている人が」という言葉の由来からの解釈だ。

 

このことから、一定の役職に就いている人が使う言葉であり、あまり下の地位にある人が使うと違和感が生まれると述べている記事は多い。

また、自分と同等もしくは目下の相手に対し、自分をへりくだって表現する言葉だと述べている記事もある。

 

 

たしかに私が勤めていた会社は金融機関だった。

「小職」という言葉が使われていたことは、公的な要素があったからかもしれない。

しかし役職に就いている人だけが使っていたわけではなく、若い社員まで使っていた。

文書上で「私」を表現するときは、みんな「小職」と書いていたのだ。

 

その後、私は業種が異なる会社に就職したが、そこでも「小職」という言葉が文書で使われていた。

若い社員も使っていた。

 

両方の会社で共通して言えることは、「小職」は文書上の言葉だったということだ。

口頭で使われることはほとんどなかった。

 

 

「小職」は元々、官職に就いている人の言葉

 

あなたの会社ではどうだろう?

 

参考になるのは、上の人が書く文書だ。

そこで「小職」という言葉が使われているならば、その人は先輩社員から教わってきたに違いない。

そんなときは、「小職」という言葉をあなたも使えばいい。

 

 

「小職」という言葉の由来は尊重しなければならないが、

実際には広く使われている言葉だ。

 

また、どんな社員も役職がついていなくても、特定の職務に従事していることは間違いない。

その立場から自分を表現するわけだから、私は「小職」という言葉を使ってもかまわないと思う。

 

そして「小職」という言葉を勧める最大の理由は、使う側、受け取る側とも、スッキリくる言葉だからだ。

 

綾小路 亜也

 

 

「小職」はスッキリくる言葉

 

 

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