『かかわると面倒くさい人』

かかわると面倒くさい人 (日経プレミアシリーズ) かかわると面倒くさい人 (日経プレミアシリーズ)
榎本 博明

日本経済新聞出版社 2018-05-11

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「私たちは事実の世界を生きているわけではなく、事実を主観的に解釈した意味の世界を生きている。ゆえに客観的にものを見ることができない」と著者は言う。
だから、面倒くさいのだ。
重要なことは、面倒くさい人は、自分が面倒くさい人だと思っていないことだ。
ということは、あなた自身も、人から見れば面倒くさい人かもしれないのである。

 

 

著者は10のタイプの面倒くさい人を挙げている。

タイプ①過敏で傷つきやすい:思い込みが激しく、小さなことで大騒ぎする

タイプ②強烈な比較意識をもつ:他人の成功や行為を素直に受け止められない

タイプ③自己中心的で相手の心に関心がない:空気が読めず、場を凍らせる発言をする

タイプ④自己防衛意識が異常に強い:不必要な言い訳、「すみません」が多い

タイプ⑤劣等感を隠しもつヒーロー:独りよがりの正義感を振りかざす

タイプ⑥どうでもいい手続きにこだわり、融通が利かない

タイプ⑦自信がなく、あまえが強い:持ち上げられないとすねる

タイプ⑧「謙虚な自分」を売り物にする:遠慮深く振る舞うが、内心、忖度を期待している

タイプ⑨取捨選択ができない:話が長くて、何が言いたいのかわからない

タイプ⑩過去の肩書だけが自分の支え:肩書にしがみつき、定年後になお嫌われる

 

 

どうだろう? こんな面倒くさい人が、あなたの周りにきっといるはずだし、面倒くさい人の特徴をよく示しているのではないだろうか?
問題は、なぜ、面倒くさい人になっているかである。そこには心理メカニズムが存在する。

 

たとえば、⑥のタイプに「コンプライアンス」が大好きという人がいる。
著者は「コンプライアンスなどという言葉が導入されてから、このようなタイプは自分に存在意義を見出し、活き活きとしてしまった感がある」と述べたうえで、こういう人は、臨機応変に適切な判断をする自信がない。だから規則に頼るのだ。規則にこだわる人が能力的にあまりパッとしないのは、そのせいだ」と手厳しい。
つまり、「規則でがんじがらめになっていれば、臨機応変の判断をせずに済む。規則にしがみつくのは自己防衛のため」ということになる。
当たっているのではないだろうか?

 

 

また、著者は、「上司の心のケアとしてのホウレンソウ」があると述べている。
「上司の心の中には、自分は部下から尊敬されているだろうか。部下がついていきたいと思う上司になれているだろうか。部下から軽く見られていないだろうか、といった不安がある。そのため、部下から頼られると、必要とされていると実感でき、不安が和らぐ」
ゆえに、ホウレンソウは上司の心のケアになるといった面があるのである。
「とくに持ち上げられたがりは、ほんとうは自信がなく、心の中に大きな不安を抱えているために、頼られることがとても大きな心理的報酬になる」と著者は言うのである。
こうした上司は⑦の自信がなく、あまえが強いタイプである。

 

 

こんな面倒くさい人たちと、どうつきあえばばいいのだろうか?
著者は、「価値観による人間の類型を頭に入れておくと、面倒くさい人物がなぜ自分にとって面倒くさいのがわかる」と言う。

 

その価値観とは、

①理論型 理屈に合わないことは納得できない

②政治型 「支配―被支配」で人を見る

③社会型 友愛に価値を置き、面倒見が良い

④審美型 自分のスタイルを保つことが大事

 

実は、ここに面倒くさい人と思う秘密が隠されている。
それは、同じ類型同士では、相手を面倒くさい人だと思わないということである。
あなたが、面倒くさいと思う人は、あなたと類型が違うからである。つまり価値観が違うからである。

 

 

目次

第1章 「悪い人じゃないんだけど…」はなぜ起こるか

第2章 不穏な空気を生み出す”あの人”の正体

第3章 面倒な人はなぜ面倒なのか
ー背後に潜む心理メカニズム

第4章 「話をややこしくする天才」とどうつきあうか

第5章 面倒な人と思われないために

 

 

 

かかわると面倒くさい人 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 

 

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2018年6月23日

『出世と左遷』

出世と左遷 (新潮文庫) 出世と左遷 (新潮文庫)
高杉 良

新潮社 2018-04-27

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以前、高杉良氏の『辞令 (文春文庫)』を取り上げたが、高杉良氏の本は売れている。
サラリーマンにとって、普遍的な内容が詰まっているということなのだろう。
『出世と左遷』は、元々は『人事権!』というタイトルで1992年に講談社から発刊されたが、その後、改題された。
1996年には三浦友和主演のTBSドラマにもなっている。

 

まず、本の内容を裏表紙から紹介しておきたい。
「中堅損保、栄和火災海上の相沢靖夫は、秘書室次長で会長付の46歳。会長の絵の個展を企画したが、思わぬ窮地に陥ってしまう。絵を貰ったN証券社長から会長に1000万の商品券が贈られたのを知り、口止め料に200万円を握らされたのだ。苦悩する相沢。そこに強面の経済記者の取材が……」

 

そして、N証券社長は予想どおり見返りを要求したのだ。栄和火災で増資の計画があったからだ。

 

 

この本の受けとめ方は、人それぞれと思う。
相沢靖夫は200万を自分が会長から受け取ったことは明かしたが、会長はあくまでも高級服地をもらっただけということで押し通した。
サラリーマンの苦悩は、いつの時代も、トップがした真実を明かせないことにある。
だから、話はこじれ、自分で苦悩を抱え込まなければならなくなるのだ。
そんな相沢の苦悩に、我が身のように同情するサラリーマンも多いだろう。

 

もう一つ、サラリーマン社会の真実が存在する。
N証券への顔立てをすると、幹事証券会社のY証券の顔が潰れる。その調整をしたのが次期社長候補と目された実力者宮本常務だった。
宮本は見事な調整を成し遂げたが、石井会長に嫌われてしまう。
宮本は、代表取締役専務に昇格したうえで、関西総合本部長に転出する。
「代表取締役になり、専務に昇格したのだから、たいへんな出世だ!」と思うかもしれないが、サラリーマン社会では、宮本には社長の目がないことを意味している。つまり、本社から追われたということだ。宮本自身も失意に暮れる。

 

ここら辺に、外部からはけっしてわからないサラリーマン社会のドロドロしたものがある。
多くの企業で、宮本のように栄転という形で送り出され、社長レースから離脱していく役員は多いのだろう。
そして、サラリーマン社会での出世か左遷かは、その人の身にならないとわからないのだと思う。

 

相沢も石井会長の機嫌を損ね、たった1年の秘書室勤務で、関西総合本部のサービスセンター業務部副部長として転出した。
失意に暮れた相沢と宮本だったが、新たな職場で、出来事と出逢いが待ち受けていた……。

 

サラリーマン社会は人との出逢いだと言える。
失意に暮れて転勤した先でも、かならず出逢いがある。
出逢いが転機を生むこともある。
なにが幸いだったかわからないことも多い。
出逢いと、転機を信じて、前に進むことが重要なのだと思う。

 

 

 

出世と左遷 (新潮文庫)

 

 

 

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本の目次

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2018年5月27日

『「ぜひとも、あなたに」とお願いされるハイクラスな人の気配りの習慣』

「ぜひとも、あなたに」とお願いされる ハイクラスな人の気配りの習慣 「ぜひとも、あなたに」とお願いされる ハイクラスな人の気配りの習慣

吉田 正美

ベストセラーズ 2018-02-21

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ビジネスマナーは、できることから、一つずつ身に付けていくものではないかと思う。
自然な形でビジネスマナーを体に浸透させていくには、この本は格好の一冊だ。

 

この本のタイトルを見た人は、きっと「ハイクラス」という文字に目が留まったはずだ。正直、「ハイクラス」という文字に抵抗感を持った人もいたと思うが、ご安心を。
著者は「ハイクラスの人は、ご自身のことをハイクラスの人とは思っていません。それは、他人が決めることだからです」と述べている。
実際、企業や組織のトップと接すると、ギスギスしていることはなく、ゆったり感といったものさえ覚える。

 

 

この本の真骨頂は、なんといっても「受けいれやすさ」にある。
通常、この手の本を読むと、「~しなさい」「~しちゃだめ」と上から目線で、読者側も「はいはい、わかりました」と興ざめしてしまうが、不思議なことに、この本を読んでもそんな気にならない。
読者側は「できることから、やってみるか」という気になる。著者のご経験とお人柄によるところ大だと思う。

 

 

目に留まった箇所を紹介しておきたい。

 

3つのスマイルを使い分ける
3つのスマイルは、ハーフスマイル、スモールスマイル、ビッグスマイル。
スモールスマイルは、口を閉じて歯を見せずに笑うこと。誰かとすれ違うときなどに、「あなたに気づいていますよ」というサイン。
ビジネスの場では、声を出して挨拶できない場合も多い。この「気づいていますよ」というサインは重要。

 

デコルテを広げる
デコルテは、フランス語で首から胸元まで、襟ぐりが深い服装を示す。
座ったままプレゼンを行う場合には、上半身に注目が集まる。そんなとき、手っ取り早く姿勢を良く見せるには、デコルテを広げること。簡単に言うと胸を張ること。

 

自分の体幹が整っているかどうかは、目を閉じて30秒足踏みすることでチェックできる。
目を開けたときに、体が前か後ろにいっている人は、重心がその方向に傾いている。

 

靴、ベルト、バッグの色をそろえると、お洒落感が出る。
意外にバラバラなので、注意する必要あり。

 

女性は「おざなりにされていない」「大切な人として接してもらっている」と感じると、その人を忘れなくなる。

 

「スミマセン」を「恐れ入ります」に言い換える(ホテルマンなどサービスを提供する人に言う場合)
「恐れ入ります」は、「あなたには、かないません」という意味なので、「あなたはプロだからお任せします」と言っていることと同じ。

 

以心伝心に頼らない
人に伝えることに手を抜かない。
時間がかかるかもしれないが、その惜しまない時間があるからこそ、結果的に事が速く進む。

 

 

最後に著者の極めつけの言葉を紹介します。

 

「肩書に関係なく人と付き合うためには、『人の肩書を見ない』習慣を持ちましょう。人と分け隔てなく接することのできる人は、『品格』が違います』

 

名刺交換の場をことさらクローズアップしたり、相手の「肩書」にこだわるビジネスマナーの本とは、この本はちょっと違う。

 

 

目次

 

第1章 ハイクラス感は結果を生む

第2章 声と姿勢で選ばれる

第3章 最高の気づかい

第4章 ファンが増える会話術

第5章 差をつける行動力

第6章 最強の自己管理術

第7章 いざ、実践

 

 

 

 

 

 

 

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2018年5月3日

服装を変えると、女性社員の対応が変わる!

 

一流に見える服装術 センスに関係なく「最適な服」が選べるスーツスタイルの教科書 一流に見える服装術 センスに関係なく「最適な服」が選べるスーツスタイルの教科書

たかぎ こういち

日本実業出版社 2018-03-08

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「女性による社内の評価が、実績より見た目で変わったのは驚きを越えて理不尽だ」と、服装を変えた金融機関に勤めるMさんは述べている。

 

この感想はMさんだけではない。著者からアドバイスを受けたビジネスマンは、みんな、「服装を変えると、まず女性社員の対応が変わった。以前より協力的になり根回しがしやすくなった。その結果、業務の効率が上がった」と言っている。
「そんなバカな!」と思えるが、ありそうな話だ。
我々男性陣も、女性の服装をけっこう見ている。仲間内で「Aさん変わったよな。仕事も落ち着いてきた」と服装を見て判断していることが多いからだ。

 

 

この本は、服装について、ありそうでなかった盲点を突いている。
いままでビジネスマナーの本などには、かならずスーツなどの模範例の写真がドーンと掲載されていた。
だが、そんな商品の価格を見て「それだけカネを出せば、いいものになるのは当たり前だろ!」と叫びたくなった。
つまり、いままでの服装の紹介は、いきなり「結果」が示されていたのだ。
紹介者の主観も強かった。しかし、肝心かなめのフォーマル度などはよくわからなかったのである。

 

 

こんな状況を、著者は「ビジネススタイルの基本を体系的かつロジカルにわかりやすく書かれた入門書がなかった」と述べている。
服装は選択の問題なのだ。
どんなときに、どんな服を着ればいいか、すなわち「T(Time)」「P(place)」「O(occasion)」の問題であり、そのポイントはフォーマル度にある。
また、服選びに欠かせない基本は、「S(サイズ・シルエット)」「F(ファブリック)」「C(カラー)」であり、両者を合わせて、著者は「6ポインユ・メソッド」と呼んでいる。

 

たとえば、チェスターコート、ポロコート、ステンカラーコート、トレンチコート、ピーコートの「フォーマル度」を高い順から言えるだろうか?
ピーコートはフォーマル度が低そうだと思う。トレンチコートはイギリス陸軍が使用していたことが頭に浮かぶ。だが、あとは曖昧だ。
正解は、ポロコート>チェスターコート>ステンカラーコート・トレンチコート>ピーコート の順である。

 

 

この本で、一番参考になったのは、「体系別の服の選び方」だ。
[ポッチャリ体型]は「オーバル型」、[やせ型]は「I字型」、[ガッチリ型]は「ボックス型」、[背が低い体型]は「V字型」にまとめる。
この「オーバル型」「I字型」「ボックス型」「V字型」の図形をイメージしてもらいたい。
周りの人の服装を見て、「ちょっと……」と思う人は、その人の服装が、かならず、いま述べた4つの図形に収まっていない。
ここに大きなポイントがある。

 

 

服装は、独りよがりになることも多い。
この本は、服装についての名言・格言を紹介しながら進んでいるので読みやすい。
ブランド物を着込んで自己満足している人が、そのブランドを作った人の言葉を聞いて、耳が痛くなることもあると思う。

 

「エレガンスとは、目立つことではなく記憶に残ることだ」(ジョルジオ・アルマーニ)

「下品な服装は服だけが目につき、上品な服装は人物を引き立てる」(ココ・シャネル)

「上品さとは飾らないこと」(クリストバル・バレンシアガ)

「お洒落のポイントは服自体よりもむしろ、着こなし方にある」(オノレ・ド・バルザック)フランスの小説家

「ネクタイは、それを締めている人よりも一歩先に部屋に入ってくる」(サー・ハーディ・エイミス)イギリスの有名テーラー

「表面を作るということは内部を改良する一種の方法である」(夏目漱石)

 

 

ちなみに、日本で最初に洋服の着方を図式入りで説明した人は福沢諭吉だ。この本に書いてあった。

 

 

目次

第1章 一流は「身だしなみで人生が変わること」を知っている

第2章 一流は「その場に最適な服装」を着こなす

第3章 一流は「自分の体型に合った服」を身につけている

第4章 一流は「アイテムを相手目線」で選ぶ

第5章 最少の投資で最大の効果を得る「これだけワードローブ」

第6章 「これをやったらアウト!」な着こなしNG例

 

 

 

 

 

 

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2018年5月3日

「定年後ぐらい好きにさせてやれよ」という本

定年バカ (SB新書) 定年バカ (SB新書)
勢古 浩爾

SBクリエイティブ 2017-11-07

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この本を読んで、「よくぞ、言ってくれました!」と、声をあげる定年者はきっと多い。
世の定年本をめった斬りにする著者の主張に共感というか快感を覚えるからだ。
たしかに、机上で考えただけの定年本も多くありそうだし、定年とは全く縁がない若い人が定年者相手に語っていることもありそうだ。

 

著者は、定年後に言われることは、「『~しなさい』の提唱」と言う。
「資金計画を立てなさい」「運用も考えなさい」「できるかぎり仕事をつづけなさい」「健康管理を怠らないように」「現役時代から趣味をもちなさい」「地域社会に溶け込みなさい(地域デビュー)」「家族(とくに妻)との関係を見直すように」「ボランティアをしなさい」「交友を広げなさい」と、いっぺんに言われる。

 

それらの言葉は、よく聞くというよりは、かならず聞く言葉ではないか。
しかし、著者の答えは、一つひとつはごもっともなれど、「自分の好きにすればよい」だ!

 

 

私も著者の意見に同感である。
定年を迎えると、いろいろな人が、よってたかっていろいろなことをすすめるが、そんな中、なにもしないでいると、なにもしない自分がまるで悪いかのような錯覚に陥る。
心の負担も大きいはずだ。
しかし、本当は、定年者それぞれに思うことや、やってみたいこと、好きなことは違うはずだ。
たとえば定年後のキーワードの一つになっている「孤独」だって、一人が好きな人もきっといる。
「生きがい」だって、定年前にもあったはずであり、定年を機に急にクローズアップされて戸惑う人も多いはずだ。もっと言えば、「生きがい」を持つも持たないも人の勝手である。
また、いきなり、「ボランティアだ」「地域社会だ」「交友関係を広めろ」と言われても、無理な話のように思う。

 

 

この本を読むと、定年者を取り囲む環境といったったものが見えてくる。
著者はこんなことを言っている。
「いったい読者は、ハウツー本になにを期待して読むのだろうか。希望、だと思われる。『なりたい自分になる』ことであり、『成功』であろう。書き手はそのことを察するがゆえに、読者にほんとうのことがいえない。無理にでも希望を示したいと思う。そのため不安を確認し、ときには不安を煽り、その後で、こうなればこうなります、と希望を示す」

 

要は、定年本もハウツー本ではないかということである。
著者の言葉である「不安を確認し、ときには不安を煽り、その後に、こうなればこうなります」がそっくり当てはまらないだろうか?

 

また、著者は「何もしない自由」の中で、1941年生まれの精神医学者の竹中星郎氏の言葉を紹介している。
定年本をめった斬りにする著者には珍しく、竹中氏の言葉を示唆に富むと評価している。
そこには、なにもしない定年者(老齢者)のかたわらにいる家族や関係者のことが記されている。
定年者がなにもしないでいると、かたわらに居続ける家族がつらいのだと……。

 

 

定年者を取り囲む言葉は、定年者のことを思っての言葉だと考えるから、定年者は深刻に受け止める。
しかし、その言葉は、もしかして定年者を取り囲む人たち自身が望む言葉なのかもしれない。
定年者一人ひとりは、きっと、自分のやりたいこと、やりたくないこと、好きなこと、嫌いなことを持っている。
定年者は定年まで一生懸命頑張ってきた人であり、定年者のことを思うなら、好きなようにさせてやることも大事だと思う。

 

 

目次

第1章 定年バカに惑わされるな

第2章 お金に焦るバカ

第3章 生きがいバカ

第4章 健康バカ

第5章 社交バカ

第6章 定年不安バカ

第7章 未練バカ

第8章 終活バカ

第9章 人生を全うするだけ

 

定年バカ (SB新書)

 

 

 

 

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2018年4月20日

本田健『大富豪からの手紙』感動の秘密は第9の手紙にある!

 

大富豪からの手紙 大富豪からの手紙
本田 健

ダイヤモンド社 2018-03-08

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なぜ本田健氏の『大富豪からの手紙』はヒットしているのだろうか?
成功法則については、言いつくされ感、書きつくされ感がある。
ブログを見ても、いろいろな人が同じようなことを書いている。
本田健氏の本と並び成功法則本の代表格である水野敬也氏の『夢をかなえるゾウ』の中でも、ガーシャは「ワシが教えてきたこと、実は、自分の(注:大阪弁 あなたの)本棚に入っている本に書いてあることなんや。ワシの教えてきたことには何の目新しさもないんやで」と言い、実際、『夢をかなえるゾウ』の巻末にはおびただしいほどの成功法則の参考文献が掲載されている。
『大富豪からの手紙』にも、巻末に参考資料と引用が掲載されている。
つまり、成功法則は過去からずっと言われてきたことであり、それをまとめ上げたのが成功法則本ということになる。

 

それにもかかわらず、『大富豪からの手紙』はヒットしている。
その理由には、もちろん、本田健氏が上っ面の言葉でなく、練りに練ったストーリーと言葉で語っていることもあるが、その謎は、この本の第9の手紙にありそうだ。
『大富豪からの手紙』には9通の手紙が紹介されているが、読者は、第1の手紙~第8の手紙までの「偶然」「決断」「直感」「行動」「お金」「仕事」「失敗」「人間関係」を読むと、「あれ、これと同じことを読んだ記憶がある」と、きっと思う。
ところが、最後の手紙である第9の手紙「運命」を読み終えると、読者は、読み終えたという感覚に加え、成功法則が自分に溶け込んだような感覚を覚える。感動の余韻も残る。

 

この第9の手紙の存在が、『大富豪からの手紙』を他の成功法則本とは違った存在にしていることはたしかだ。
第9の手紙には何が書かれているのだろうか?
大富豪であった祖父は、
「『運命』と同じような言葉に、『宿命』という言葉がある。でも、実は、この2つの言葉は似ているようで、まったく違う意味を持つんだよ。
・『宿命』は、宿る命。自分がうまれたときにきまっているもの
・『運命』は、運ぶ命。どうやって生きるかは、キミが自由に決められる」と言い、
その後に
「宿命と運命の境界線は、自分で引くことができる」と言っている。
つまり、運命は自分で切り拓くことができるーこれこそが、この本のテーマのはずだ。

 

読者は、本の最後にこの本のテーマに気づき、第1~第8の手紙は、運命を切り拓く要因、手段だったことがわかる。
きっと、第2の手紙で「決断をすること=自分の新しい未来を創り出すこと」と言った主人公の祖父の言葉を改めて振り返るはずだ。
『大富豪からの手紙』の真骨頂は、成功法則を逆残で振り返させることにあったのだ。
そして、成功法則の根底には源流のようなものがあることを、読者に知らしているのだ。
この設定が読者に感動を与えている。

 

 

人は「成功」という概念は、あまりにも曖昧なことを知っている。その概念は、どれを、どこまでやり、どのような結果、程度になったら成功と言えるのか、まったく示していない。
誰も答えを出せないものだから、社会的に地位を得た人、富を得た人、売れっ子を成功者にしてしまう。そのうち、成功には幸せといったものも必要なことに気づき、今度は「幸せな成功者」という概念を作り上げる。こうした成功者の成功要因を分析し、共通項をまとめ上げたものが成功法則と言える。
そして、ビジネス書作家やセミナー講師などは「成功したいなら、成功者をまねる」ことを徹底的に勧め、一方の口で、「成功者とは、人と違ったことをやった人だ」と言い切る。
みんな、何が何だかわからなくなるが、それ以外の拠り所がないため、こうした成功法則を受けいれる。

 

しかし、『大富豪からの手紙』の第9の手紙を読んで、忘れかけていたことに気づく。
それは、自分という存在だ。
いままでの成功法則には、自分はいなかった。あったのは他人の成功であり、しかも結果論だった。
第9の手紙が示すように、人には、たしかに宿命も存在するし、宿命の影響度合いも人により大きく異なる。
その上、宿命と運命の境界線の引き方も人によって異なる。
このことは、成功法則自体を議論しても、そこから得るものはほとんどないことを示している。
そんな手ごたえのない議論より、重要なことは、第9の手紙で著者が示した、人生には宿命と運命が存在することを知り、その線引きを自分の意思で行い、自分の人生を生きることではないかと思う。

 

 

 

 

(成功を考えるとき、参考にしたい他の本)

夢をかなえるゾウ文庫版

仕事は楽しいかね? (きこ書房)

 

 

 

 

 

 

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1998年生まれの人には、いまの成功法則はまったく役に立たない

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト) LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ グラットン アンドリュー スコット 池村 千秋東洋経済新報社 2016-10-21

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私たちは、ずいぶんとおかしなことをしている。
過去の成功者と私たちとは、まったく寿命が異なるのに、過去の成功者から成功法則を学ぼうとしている。
過去の成功者たちは、教育→仕事→引退という3ステージがきれいに寿命の中に収まっていた。
私たちは、この3ステージの中で、地位を得た人、名声を得た人、お金を稼ぎまくった人を成功者と呼び、お金をたっぷり残した人を大富豪などと呼んできた。

 

だが、人生100年時代、教育→仕事→引退という3ステージでは収まらない。
この本に登場する1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンの3人の人生を見れば、それがよくわかる。
ジャックは62歳で引退し、2015年に70歳でこの世を去った。
ジャックは引退後8年しか生きなかったこと、この時代の人の年金は手厚かったことが、ジャックの人生をきれいに3ステージの中に収めている。

 

ところが、1971年生まれのジミーは、2018年現在46歳~47歳だが、ジャックのようにはいかない。
ジミーの時代の平均寿命は85歳だからだ。ジミーは65歳で引退を考えているが、それでもジミーの人生は引退後20年もあり、年金も不十分で、65歳で引退してはその後の人生は金銭面一つとっても厳しい。

 

1998年生まれのジェーンは、2018年現在29歳~30歳だが、ジェーンの時代は100年以上生きる可能性が高い。
65歳で引退という選択肢は、収入面ではありえないことを示している。

 

それでは、ジミーもジェーンも働き続ければいいじゃないかという話になるが、そんな簡単に働き続けられるものでもなく、人生すべてお金かというと、そうでもない。
お金は有形資産だが、この本では生産性資産、活力資産、変身資産という3つの無形資産を紹介し、
生産性資産を、「人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素」
活力資産を、「肉体的・精神的な健康と幸福」
変身資産を、「大きな変化を経験し、多くの変身を遂げるための資産とし、自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワーク、新しい経験に対しての開かれた姿勢など」としている。
つまり、人生100年時代には、お金という有形資産も必要だが、それぞれのステージには必要な無形資産があり、その無形資産を自分で組み立ていかなければならないのだ。

 

 

この本ではジミーの3ステージに0.5を足した3.5シナリオ例を挙げている。
55歳のジミーは自宅近くの社会人教育を行う大学で週1回、夜間にITとマネジメントを教え始める。その後、大学でフルタイムで働く。
もちろん、もっと積極的に変化を追求する4.0シナリオを選ぶことも可能だが、そのためには早くから変身に向けた行動をとらなければならない。

 

100年以上生きる可能性が高いジェーンのシナリオは、ジミーのような小規模な投資と変身の3.5シナリオでは、とうてい成り立たなくなり、最初から5.0シナリオを考えなければならない。
この本では次のようなシナリオを紹介している。
ジェーンはさまざまな選択肢を模索するエクスプローラーの時代、組織に属さないインディペンデント・プロデューサーの時代、企業に加わる時代、企業をやめ人材コンサルタントとして活躍する時代、休息を取り、自分の時間を使う時代、ポートフォリオ型の生き方を実践する時代を経験し、85歳で引退する。
ジェーンは大規模な変化や移行をいくつも経験する。

 

 

いまの日本で議論の中心となっているものは、ちまたにあふれている「定年」本が示すとおり、「定年後」の収入、生きがいをどうするかということである。
飛び交っている言葉は定年延長であり、「まだまだ頑張れる」である。
つまり、教育→仕事→引退という3ステージではまかないきれなくなり、0.5足すか足さないかの議論をしている。
そして、いまの時代に定年を迎えた人は、たしかに、3ステージの中の「仕事」の優劣(本当は人からの評価にすぎない)の差で、蓄えなどに影響があったとも言える。
その意味で、教育→仕事→引退の成功模範者がいたということになる。

 

だが、ジミーの時代を越えて、ジェーンの時代は、自分で生き方を選択する時代であり、金銭資産を追うステージもあれば、活力資産や変身資産を追うステージもある。
その結果、金銭資産が落ち込むステージも出てくるが、逆に、そのときに活力資産がぐっと増えることもある。
つまり、金銭などの有形資産、生産性資産、活力資産、変身資産は、ステージごとに波打つということである。
重要なことは、それを、自分で組み立てるということである。
また、考えなければいけないことは、長寿を恩恵にするという生き方である。
そんな時代に、教育→仕事→引退を前提にした過去の成功者を基にした成功法則など、何の役にも立たないことは明らかである。

 

 

 

 

 

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言いわけをする頭で実行することを考えよ

 

トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書) トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書)
若松 義人

PHP研究所 2007-03-16

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「言いわけをする頭で実行することを考えよ」
トヨタ自動車工業副社長で、トヨタ生産方式の生みの親といわれた大野耐一(たいいち)氏の言葉である。

 

この本は2007年初版だから、読者のみなさんは、本の中で使われている言葉を若干古く感じるかもしれない。
しかし、それは裏を返せばそれだけトヨタ語が広まったということである。
また、トヨタ語を聞きなれた人でも、言葉の真の意味を意外に理解していないことが多いと思う。

 

たとえば、カイゼンという言葉は、いまや世界語となった。
しかし、その真の意味は、「原価の低減による利益の創出」である。

 

トヨタ語の真の意味を知りたい人には、絶好の書である。
本の中から、意味をかみしめたい言葉を紹介しておきたい。

 

 

「仕事を磨く」とは余力をつけること

 

仕事は「自分の知恵」がどれだけついているかで決まる。
「わしの言う通りにやるやつはバカ、もっと上手にやるやつが利口」(大野耐一)

 

悪くなったら元に戻さず、また直して改善すればいい。

 

「できない理由」は、裏を返せば、それさえ解決すれば「できる」とも読める。

 

学んだことのすべてが使え、すべてが実践できるわけではない。
それでも、一つでも二つでもいいから仕事に活かせることを見つけ、実行に移す。そこで勝負が決まるのだ。

 

目でつかむよりは手で確かめる。

 

「教育は知らないことを教える。知っていることを繰り返し練習して体で覚えることは訓練である。教育だけで訓練を忘れては、ものにならない」(大野耐一)

 

「まずやる」は、軽々しい行動主義ではない。

 

人は困らなければ知恵が出ない。

 

標準に基づく言葉、具体的な表現でコミュニケーションをはかる。たとえば、ちゃんと閉める必要のあるドアなら「カチャッと音がするまで閉めてください」と紙に書いて貼る。

 

「時間は動作の影」 同じ作業も、人によってずいぶんばらつきがある。原因のほとんどは、個人差ではなく、動作や手順の違いである。

 

今日のことは今日片づける(「やり仕舞い」)

 

成功には「黙々と」が欠かせない

 

「段取りをつけすぎるな。現場の知恵が出るようにして、知恵をつけながら進めろ」(大野耐一)

 

 

 

ちょうど、私が最近紹介した記事に関連する言葉も掲載されていた。

 

いい失敗のルール
①失敗したら自分で直す
②同じ失敗は二度しない
③失敗を記録しておく

(関連記事 「評価される失敗✕評価されない失敗」 http://shinyuri-souken.com/?p=44768 )

 

「あれもやる、これもやる」というムダがあってもいい」(決め打ちは危ない)

(関連記事 「営業の常道「あの手、この手」 http://shinyuri-souken.com/?p=44857 )

 

 

トヨタ語は、生産の改善から生まれた言葉だが、驚くほど他の業種にも当てはまる。また、改善というと、改善方法に頭が行きがちだが、それは手段である。
トヨタの場合は、なんのために改善するのかという目的意識が非常に強烈であり、それがあるゆえに思考も柔軟なのだと考える。
私は、営業の記事も書いているが、営業で一番大切なものも目的、目標だと思う。
目的、目標があるから、「あの手、この手」が浮かんでくるのであり、資源を横にも縦にも連想できるのである。
ところが、この本にも、「発想は『横』にも『縦』にも」と書いてあったのである。

 

 

 


トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書)

 

 

 

 

企業で働く 営業女子が輝く35のヒント
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『他人をバカにしたがる男たち』

他人をバカにしたがる男たち (日経プレミアシリーズ) 他人をバカにしたがる男たち (日経プレミアシリーズ)
河合 薫

日本経済新聞出版社 2017-08-09

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著者を、メルマガ「デキる男は尻がイイ 河合薫の『社会の窓』」を配信している人と言えば、ビンと来る読者の方は多いと思う。
著者の専門分野は「人と環境の関わりにスポットをあてる」健康社会学であり、その観点から「他人をバカにしたがる男たち」を分析している。

 

この本の核心には、SOC(Sence of Coherence)という言葉がある。
英語には、驚くことに「首尾一貫性」という単語があり、それがcoherenceである。
著者は、SOCをかみ砕いて下記のように表現している。
「人生であまねく存在する困難や危機に対処し、人生を通じて元気でいられるように作用する人間のポジティブな心理的機能」
「生きてりゃしんどいこともあるよ。それはそれとして、明るく生きようぜ!」

 

いわば、環境適応力のようなものだが、その環境適応力が上手く働かない人は多い。
たとえば、サラリーマン社会には、思うように昇進・出世がかなわなかったり、先が見えてしまう人がいる。
そうなったら、そんな環境に自分を合わせなければならないのに、いつまでも、自分の存在意義ともいえる「拠り所」にすがりついている人が多い。

 

そんな人が、人を見下したり、バカにしたり、攻撃する……。
著者は、それは、「『自尊心』を守りたいからだ」という。
この裏側には「他者から評価されたい。認められたい」という自己愛が存在し、自分の市場価値を見せしめるために、ときに偉ぶり、ときに正義を振りかざし、「自分の強さ」を誇示するという。

 

 

SOCを高めるには、環境が個人に与える力というものを考えてみる必要がある。

 

(本より抜粋)

外的な力(=外的資源)

・高い社会的評価(=収入、学歴、役職など)
・自由に決められる管理(=裁量権)
・人を動かす権利(=権力)
・能力を発揮する機会
・大切な人
・サポートしてくれる人(=他人力)
・お金や住居
・衣類・食事
などの、社会的資源や物理的な資源

 

内的な力(=内的資源)

・自己受容(=自分を積極的に受け入れることができる)
・自律性(=自分の行動や考え方を自己決定できる)
・人格的成長(=自分の可能性を信じることができる)
・人生における目的(=どんな人生を送りたいがはっきりしている)
・環境制御(=どんな環境でもなんとかやっていけるという確信)
・積極的な他者関係(=あたたかくて信頼できる人間関係を築いているという確信)
といった認知的な資源に加え、遺伝的体質や気質も含まれる。

 

この本では、外的な力、内的な力をリソース(資源)と読んでいるが、自分の拠り所、存在意義,、あるいは頑張れる力の素になるものと考えてもいいと思う。

 

 

どうだろうか?
サラリーマンなら役職定年も定年もあるから、必然的に環境は変化する。
しかし、いつまでも自分の拠り所を社会的評価や権力に置いていると、不平不満どころか、常にイライラ感もつきまとうのではないだろうか。

 

著者は、「自分の人生にとって重要であることとそうでないことの境目」のことを「境界線」と読んでいる。
そして、「自分の本意でない環境に身を置くことになっても、他者の評価や社会の価値観ではなく、自分の絶対的価値を信じ、大切なものとそうでないもののすみわけをする。その作業さえ怠らなければ、無用な不安を感じることはありません。不安の反対は安心ではなく、前を向くこと。一歩踏み出すこと。その背中を押すのが境界内の『大切なもの』なのです」と述べている。

 

この最後の「境界内の『大切なもの』という言葉が非常に重要だと思う。
環境も変化するのだから、自分の「境界線」を固定しないで、境界線から出したり、入れたりすることが、環境に合った生き方だと思うからだ。

 

 

本の目次

 

プロローグ 「ジジイ」化する男女

第1章 「労害はどこから発生するか」
他人をバカにする「ジジイ」と「粘土層」

第2章 勝ち負けが気になる心理
社会的評価という魔物

第3章 「偉そうなオジさん」はなぜ存在するのか
見下し行動にひそむ不安

第4章 女をバカにする男たち
組織にみる性差のジレンマ

第5章 しかし、オジさんたちが日本を救う
「個の確率」という幻想の向こうへ

終章 オジさんオバさんが輝く社会のために
フェイクSOCからやる気SOCへ

 

 

 

他人をバカにしたがる男たち (日経プレミアシリーズ)

 

 

 

 

 

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『定年後』

 

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 定年後 – 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)
楠木新 著

中央公論新社 2017-04-19Amazonで詳しく見る by

G-Tools

この本のキーフレーズは「居場所」である。
それは物理的な場所のほか、心の拠り所、自分が楽しめる、役割を発揮するという意味も含めた居場所である。

 

しかし、定年退職者、特に男性の場合は、そんな居場所を持つことができない。
それは、定年直前まで会社を中心とした人生を送ってきたために、やることを見出せないからだ。

 

そんな定年退職者は口では「忙しい、忙しい」と言うが、この「やることがない」という状態は深刻だ。
それは、この本によれば、定年後の自由な時間は85歳まで生きるとすれば8万時間あり、なんと21歳~60歳までの40年間の労働時間を上回るというのだ。
こんな前途に広がる膨大な時間に対して、やることがない、というのは本当に深刻な問題だということがわかる。

 

 

著者自身、大手生命保険会社に36年勤務し、定年を迎えた。
だから、定年後の景色は、自分が実際に見て感じた景色ということになる。
ただ、著者には47歳の時に会社生活に行き詰まって体調を崩し、長期に休職した経験がある。
著者はそのときから、定年後について考え続けてきた。

 

それゆえ、この本には、ものすごい数の取材の跡と定年に少しでも関係がある書籍や映画、活動、著者が見聞きしたことの蓄積がある。
それが、この本の特徴であり、よく出回っている定年前後で起業した人へのインタビューをまとめた本とは一線を画するところである。

 

 

この本には、定年後のやることについてのヒントがある。
その一つには、子供の時代からやりたかったことへの回帰があるが、この本を読んで、なるほどと思った箇所があった。
それは、「豊中あぐり塾」(主として定年退職者が参加している共同ファーム)、「60歳からげんきKOBE」(ラジオ番組)の活動についてである。そこには、もちろん参加する人の主体的な意思や活動が大事だが、著者は義務や責任や役割を持っていることがポイントだと言っている。

 

定年後というと、すぐに自由に活動できる!と考えがちになるが、やはり義務や責任や役割がないと、打ち込めないのだと思う。

 

 

この本に、図書館での小競り合いの場面が載っていた。また私自身、最近、電車の中で若い人と小競り合いをする場面を見た。
もし、これらの現象がいらいらから生じていたならば、まさにこの本に書かれている現象が起きているのかもしれない。
この本はたいへんな力作だが、そんな定年後のあり方を考える必要がない時代の到来を強く望みたい。それには、この本に書いてあるとおり、現役でバリバリ働いているときからの準備が必要かもしれない。

 

 

定年後 – 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)

 

 

 

 

 

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2017.07.25発売
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