『人見知り社員がNo.1営業になれた私の方法』

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人見知り社員がNo.1営業になれた 私の方法 人見知り社員がNo.1営業になれた 私の方法
長谷川千波

祥伝社 2011-10-28

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自分が「営業に向いていない」と思っている人は、世の中には本当に多くいるのではないかと思う。
その人たちにぜひ、読んでもらいたい本である。
結論から言うと、この本は、「そんなこと関係がない!」と言っているのである。
営業で売れる顔は自分で作れと言っているのである。

 

私も長いこと営業部門で働いていたが、彼女が言っていることは、真実の一面を突いている。
それと同時に、私は、「自分は営業に向いている」と自信を持っている人にも読んでもらいたいと思っている。

 

彼女の主張は次の通りである。
プロローグから驚く人もきっといると思う。
「『営業は、あなたという人間を買ってもらうもの」というアドバイス。断言しますが、これは決定的に間違っています。」(P5)

 

「『人間関係のコミュニケーション能力』と、営業の現場で必要とされるコミュニケーション能力とは、まったく異なるものです。
人間関係のコミュニケーションと、営業のそれとの違いは、コミュニケーションのゴールを、縁も付き合いもなかった他人様に『買う』という決断をしてもらうことに置いている点です」(P23)

 

それゆえに彼女は、営業は売れる「顔」を自分で作れと言っているのである。本書では、それを大胆に「営業マンは仮面をかぶれ!」(P26)と言っている。そして、本書の内容は、まさに「人見知りを克服する『顔』の作り方、演じ方」(P56)なのである。

 

しかし、そう思うに至った彼女の次の考え方が重要である。
「自分は営業に『向いていない』とは考えていませんでした。『能力が足りない』と、思っていたのです。
………能力不足とか、能力がまだ身についていないというとらえ方でしたから、『努力しなくちゃ』という気になったのだと思います」(P57)

 

ここが限りなく重要であり、この本のエッセンスとも言える。
つまり、営業で売れない原因を、自分の営業能力不足と考えていたのである。
こういう捉え方をしたから、自分の営業能力を高めるために、努力を重ね続けたのである。
それだから、自分が営業に向いているとか向いていないとかという議論にはならなかったのである。

 

彼女は、営業の厳しさで有名なC出版に入社した。この会社では、入社すると、全員が中学生向けなどの学習教材の飛び込みセールスをやらされる。
数人でバンに乗り合わせ、現地に着いた者からひとりずつ降ろされ、飛び込みをやらされたという。そして、彼女は、最初は、断られるのがつらくて、営業車から降りられなかったという。
また、ある支社に着任早々その月の成約件数が0件となり、宴会の場で上の人から「ゼロの奴、前へ出てこい」言われ、舞台に上がらされた人なのである。
その著者の血の出るような努力の足跡がこの本である。

 

そして、彼女は、興味深いことを言っている。
「『プロっぽいトーク』ではまだまだ未熟!」(P64~)と言っているのである。
彼女の営業トークの最終形は、「営業臭さが感じられない、自然な話し方」としているのである。
どうだろうか?
これこそが、苦労を積み重ねてきた人の結論ではないだろうか。
もし、あなたが、営業セミナー等で、「プロっぽく」話す技術を教えてもらっていたとしたならば、その講師は、営業的には、彼女の足元にも及ばないと言ってもいいと思う。

 

また、本書でもクロージングについて、他の本と同様に相当な枚数を割いている。
クロージングは、セールスの世界では、やはり高難度の避けては通れない課題なのだろう。しかし、それぞれの本で言っているが違う。
その中で、本書が言っている「お客様が見せる態度と、本心は一致しない」(P167)は、参考になる。
この言葉を聞き、「はっ」と思う読者もいるのではないだろうか。

 

次の箇所も参考にしてもらいたい。
「行間にある『ト書き』を意識して話す(P193)
「セールストークは、ただ話せばいいってもんじゃありません。お芝居の台本でたとえると、『ト書き』にあたる部分を意識して演出すると、商談は盛り上がります。
『ト書き』とは、役者さんのセリフにともなう動作や表情、心情、風景、あるいは舞台の様子など、セリフ以外の演出を示す注意書きのことです」

 

「主語を『自分』に置き換えて変換してみよう」(P242~)
「次の例文を見て、『自分』を主語にして文章を作り直しましょう。
1.お客様に、買う気がなかった。
2.うちよりライバル社のほうの価格が安いから、顧客を奪われる。

 

(解答例)
1.自分が、お客様を買う気にさせられなかった。
2.自分が、価格以外の優位性を伝えられていないから、顧客を奪われる。

 

この本の雰囲気を感じていただいただろうか?
この本は、セールスに従事している人向けの本である。
内容も非常に高度である。
なぜ、高度かというと、それは、彼女が苦労を重ねつかみ取ったものが網羅されているからである。
そして、その内容から察するに、並大抵の努力ではなかったことが容易に想像がつくのである。
並大抵ではない努力の結晶が本書であるから、内容が高度になるのは当然の結果ではないかと考えている。

 

さて、この営業に関する彼女の考え方については、おそらく、色々な意見があるだろう。
しかし、私は、彼女の意見に近いものを持っている。
それは、私自身、「自分は営業に向いていないのでは」と思い続けていたからだ。
しかし、何とかそれを克服しようとして、彼女ほどではないが、多くを学んでいったからだ。

 

私は、「自分を懐疑的に見る」ということが、なにかとても大事なような気がしてならない。
そこから、自分の状況を改善しようと努力への一歩が始まるような気がしてならないからである。
この点について、拙著『サラリーマンの本質』で述べているので、参考にしてもらいたい。

 

もう一つ、我々が気をつけなければならないことがある。
これは、 『柴田和子 終わりなきセールス』の書評でも述べたが、ものごとにはレベルがあるということである。
こと営業の世界でも、同様である。
そして問題は、そのレベルによって、言っていることが異なることが間々あることである。
営業は、基本的にはものやサービスを「売る」世界だから、非常に広い世界である。
柴田和子さんや、長谷川千波さんのように、自分を厳しく見つめ、成果を追い求めた人もいれば、ちょっと成果が上がったくらいで、営業を語る人もいる。
そんな見極めもしっかり「受け手」は持っていなければならないと思うのである。
やはり、多くの書を読んで、自分で見極める力を身につけていかなければならないと思うが、みなさんは、どう思いますか?

 

 

 

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