『マッキンゼー』

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マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密 マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密
ダフ・マクドナルド 日暮 雅通

ダイヤモンド社 2013-09-21

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私がこの本を読んでみたいと思ったのは、多分みなさんも疑問に思っていることからである。
それは、外資系コンサルタント出身者が言っていることや、本に書いていることはほとんど同じだからだ。
みなさんも、「仮説を立てる」「フレームワーク」「ベストプラクティス」……など、同じワードに何度も出くわしたと思う。
そして、その大元は何だろうと興味を覚えたからである。
また、そもそもコンサルティングってなんだろう? 本当に役だっているのだろうか。失敗している例も相当にあるんじゃないだろうか? という疑問をいつも持っていたからである。

 

結論から言えば、この本を読めば、「なるほど」とだいたいのことが読み取ることができる。
上記疑問を考える前に、まず押さえておきたいところを、この本から引用しておく。
序章と終章にだいたいのところがまとめられている。

 

・マッキンゼーの功績と特徴について

 

「クライアントの問題を解決するための客観的で懐疑的、事実に基づいた分析的なアプローチを通じて、マッキンゼーが世界をより効率的で合理的、客観的な場所にしたのは確かだ。空論家やほら吹きが溢れている世界で、焦点をデータと調査にひき戻し、効率や効果に結びつけることにマッキンゼーは最高の能力を持っている」(P386)

 

「科学的なアプローチを現実的に経営に取り入れ、仮説とデータ、証拠を用いる手法でビジネスの問題を解決した最初のコンサルティング・ファームだ」(P11)

 

・マッキンゼーの失策について

 

「マッキンゼーのコンサルタントは、GM(ゼネラルモーターズ)が破産したとき、その場にいた。Kマートが大混乱に陥ったときも、その助言者だった。スイス航空を崩壊に導いた。そしてエンロンという爆弾を作りあげる決定的な役割を果たし、この会社が大爆発を起こす瞬間まで巨額の報酬を手に入れてつづけていた」(P9)

 

・マッキンゼーの特徴について

 

「マッキンゼーが、みずからの提案の結果ではなく、解決すべき問題そのものに集中しつづけていることは、おそらく同社の最大の弱点だろう」(P387)

 

「彼らはビジネスの状況を解決し合理的に処理することにはたけていても、しばしば人間的要素には欠点を持っている。現代のビジネス用語になった『リストラクチュア』や『ダウンサイズ』『合理化』などの言葉が、すべて従業員の解雇をあらわす遠回しの表現なのは、こういう理由からだ」(P40)

 

「マッキンゼーの仕事のほとんどは、コンサルタントがクライアントのCEOに『このプロジェクトで得たいものは何ですか?』と聞くことから始まる。言い換えれば、結論はあらかじめ決めることができるので、少なくとも驚くような内容にはならない」(P103)

 

「大勢の優秀な人材を引きつけ、同じ思考パターンを持つ頭のいい人間に作りあげるー意欲的で影響力の強い集団ー比類のない能力だろう。これは型にはまらない人間を排除することで行われており、マッキンゼーで最も重要な仕事はさまざまなレベルで人材を型にはめていくことだ」(P383)

 

どうだろうか?
だいたいあなたが疑問に思っていることに答えているのではないだろうか。

 

1.外資系コンサルタント出身者が言っていることは、みな同じという疑問についてはおわかりになったと思う。
まさに、それがマッキンゼーであるからである。そして、マッキンゼーは型にはまった人間を作っているからである。

 

そして、マッキンゼーで働く人は、ハーバードなどの一流大学を卒業し、MBAホルダーが多いことも特徴である。
このことは、日本においても同じである。
みなさんも、外資系コンサルタントの経歴を目にするとき、このことを感じ取っているのではないだろうか。

 

2.注目すべきは、「みずからの提案の結果ではなく」と言っていることに着目する必要がある。

 

私は、ここが大きなポイントだと思っている。
施策の最終決定者はクライアントであり、その結果責任は負わないということを言っている。
そして、驚くべきことに、クライアントが結果が出なかった場合でも、その責任をマッキンゼーのせいにすることはないという。

 

これは、マッキンゼーに依頼する人が、経営者トップであることと大きな関係があるような気がする。
すなわち自分の経営責任を問うようなものだからである。

 

そして、私が常々疑問に思っていることも氷解した。
私は、実務経験がないコンサルタントが果たして有効なアドバイスを送れるのだろうか? といつも考えていたが、「解決すべき問題そのもの」に集中するわけだから、必要ないのである。
提案の結果ではないのである。

 

このことは、私もよくわかっていなかった。
現場にいる人や、実務経験を有する人の考えの基本は「結果」である。
「結果」を出すために色々考え、悩むのである。
この本を読んで、この疑問は払拭できたのである。

 

さて、改めてどうだろうか?
ここまでくると、みなさんもだいぶ腑に落ちてきたのではないだろうか?
最後に私が付け加えるとしたら、「しばしば人間的要素に欠陥を持っている」という箇所である。

 

これは感じるものがあるのである。
おそらくすべてではないだろうが、外資系コンサルタント出身者が書いている本を読んだり、言っていることを聞くとき、「それは、そうだけど………」という感情をみなさんは持つのではないだろうか?
感情がないのである。
サラリーマンやビジネスマンが悩むのは決して仕事のプロセスだけではない。
感情的な部分も大きいのである。
だから、悔しさも募るのである。
そんな人のために拙著『サラリーマンの本質 』を覗いていただければ幸いである。

 

最後に、マッキンゼーは設立当初から標準的な事務用箋が方眼紙だったことをみなさんにお伝えしておきたい。
今売れている『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか? 』のルーツはマッキンゼー設立当初からあったのである。

 

 

 

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