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ビジネスでの返報性の原理は? ー 情報を返し、譲歩されたら譲歩する
2024.11.01更新
ビジネスでの返報性の原理は、情報を与えられれば、情報を返し、相手が譲歩した場合は、こちらも譲歩することで成り立っている。
そのことが一番表れているのは、エリート達の打ち合わせだ。
エリート達は返報性の原理を使いながら、調整しているのだ。
このことが社内政治の原点になっている。
社内政治とは「目的達成のために自らの影響力を高めること」と言われているが、それだけでは、どう影響力を高めているのか見えない。
返報性の原理を駆使することによって、影響力を高めているのだ。
エリート達の場合は、影響力を互いに高めているところに特徴がある。
しかし、私たちは「調整」がどのようなものなのか、考えようとはしない。
高城幸司氏は「できるマネージャーは社内の利害関係を巧みに調整する」と言う。
(『社内政治の教科書』ダイヤモンド社)
ここを、影響力を高めることにより、調整すると記載している本がある。
また、調整には上の人の力を利用することが必要と書いている本もある。
しかし、それらは影響力を見せつけたり、上の人の威を借りて交渉を有利に進めようとすることであり、調整したのではない。
両者とも力で押したということだ。
それでは調整の中身はわからない。
何を調整しているのか?
このことについて、参考になる本がある。
ロバート・B・チャルディーニが書いた『影響力の武器』(誠信書房)だ。
本のなかに、最も強力な武器は返報性であり、そのなかに、自分に譲歩してくれた相手に譲歩を返す義務も生じる。
と書かれている。
「譲歩の返報性」だ。
『影響力の武器』
部門間の利害対立では、それぞれの主張はその立場において正論であることが多い。
このことは高城氏も述べている。
そんな状況において調整を可能にするのは、どちらか、あるいは双方が譲歩することしかないはずだ。
ここも、「だから駆け引きが必要なんだ」という考え方もあるが、駆け引きばかりしていては信頼を損ねる。
継続的な関係を維持するには、双方、絶対に譲れないものと、譲歩できるものを話し合うのではないだろうか。
そのために打ち合わせを重ねるのではないだろうか。
また、会社が置かれている環境についての情報交換や、非公式の場で本音を引き出すことも必要となる。
そのために、ときには飲みに行くのではないだろうか。
そして情報を与えられれば、情報を返し、
相手が譲歩した場合は、こちらも譲歩するといったことが繰り返されているのではないだろうか。
こう考えると、エリート達の日々の調整が見えてくる。
そう、エリート達は返報性で支え合っているのだ。
このことから、何が考えられるだろうか?
調整を円滑に進めるには、日頃から協議できる態勢を整えておくことが必要だということだ。
そのためにはメンバーを固定しておいたほうが意思疎通しやすく、本音で語り合えるということである。
このメンバーがエリートなのだ。
もう一つ、言えることはないだろうか?
最初から調整力をもった人などいないということだ。
その能力は打ち合わせなどを重ねた末、身につくものだ。
だから、エリート達が調整力をもっていることを認識しても、気おくれする必要などない。
綾小路 亜也
返報性で支え合うエリート集団 から抜粋
返報性を貸し借りと言い換えてよいかもしれない
関連記事:破綻したエリート集団には特徴がありました
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