『流人道中記』と所作・マナー

2020年3月に単行本化された浅田次郎氏が書いた『流人道中記』はたいへんな人気だ。
流人となった旗本・青山玄蕃の所作に目が行く。所作がその人の本当の姿を表しているのではないだろうか?
青山玄蕃は本当に罪人なのか? この本は所作からその人の本当の姿を読み取る本でもあると思う。

 

『流人道中記』の概略をお話ししておきたい。
19歳の見習与力石川乙次郎が流罪となった旗本・青山玄蕃(現場)を津軽三厩(さんまや)まで押送する。
ところが、青山玄蕃は旗本は旗本でも、知行3250石をたまわる新番組士だった。新番とは将軍警護の職名であり、まさに旗本中の旗本だったのである。

 

朝早く伝馬町の牢屋敷を出発した石川乙次郎と青山玄蕃は、朱引(しゅびき)を越した千住大橋の先にある千住掃部(かもん)宿で朝飯をとった。朱引きは江戸幕府が定めた江戸の範囲である。
乙次郎は、玄蕃が食事をとる姿を見て、所作の美しさに気づく。
「背筋がすっくりと伸びており、箸が長く見えた」からだ。
「すっくり」「箸が長く見えた」は絶妙な表現だ。
また、乙次郎は「(玄蕃が)汁を啜るときは箸を碗の尻に揃え、けっして先端を(乙次郎に)向けない」ことにも気づく。

 

奥州街道を北へ進み、佐久山宿を出て二人が馬に乗った際、乙次郎は玄蕃の背筋がシャンと伸びた騎馬姿にも驚く。

 

大河原宿を出て仙台の城下に入る前、乙次郎たちは髪結の店に入ったが、髪結の親方は乙次郎に玄蕃のことを「ご大身でございましょう」と囁いたのだ。
髪の手入れが違ったからである。大身は、身分が高く禄高の多い者を指す。髪結の親方は玄蕃の本当の姿がわかったのだ。
そう言えば、栗橋宿の先の利根川渡しの関所でも、乙次郎たちは身元を疑われたが、玄蕃は関所番頭の加藤軍兵衛から「この侍が不逞浪士などあろうはずがない」と思われたのだ。

 

口も態度も悪い玄蕃だが、小説を読み進めるうちに、余計なことは言っていないことにも気づく……。

 

所作を見れば、その人がどんな人なのか、わかるのだ。

 

 

「所作」を考えるとき、役立つ記事がある。

KIRARIの「所作の意味とは?所作が美しい人ってどんな人?」という記事だ。
https://kirari-media.net/posts/4055

ここでは、所作が美しい人の特徴として
・姿勢が良い
・食べ方が綺麗
・余裕を感じる
・評判がいい

を挙げている。

 

なお、キナリノの「素直で誠実、丁寧で美しい所作。うわべだけじゃない『自分磨き』のヒント」の記事も参考になる。

そこの「美しい言葉づかいと所作」のなかで、
・不要なことを言わない
・相手に配慮した伝え方

を挙げている。

 

これらの記事を見ると、まるで『流人道中記』の旗本・青山玄蕃の「所作」ではないだろうか?

 

 

私も、「食べ方が綺麗な人」がいることに気づいた一人だ。
拙著『「出世しぐさ」のすすめ』のなかで、「飲み方、食べ方も見た目の一つになっている」と述べたことがある。
食べ方が綺麗な人を見ると、その人の内面を垣間見たような気持ちになる。

 

 

ここで、「一流の人」とビジネスマナーのことも述べておきたい。
世の中のビジネス書は「一流の人」が大好きだ。
「一流の人」の特徴を、あれこれ分析し、とどまるところを知らない。
私は、何をもって「一流の人」というのか、いまだにわからない。なにか成功した人、有名になった人を「一流の人」と決め、その人たちの言動を後付けで意味づけているような気がしてならないのだ。
その人たちの言動はともかく、所作はどうったのだろうか? とても気になるところだ。
所作はその人の内面から来ているからだ。
成功した人、有名になった人イコール「一流の人」ではないのではないか?

 

 

また、ビジネスマナーがアピールになると考えている本や記事も多くある。
たしかに、ビジネスマナーがしっかりできていると、相手に「好感が持てる」「安心だ」と思われ、それが信頼につながることは事実だ。
しかし、そのこととアピールにつながることとは別問題のような気がする。
ビジネスマナーは最低限の礼儀だからである。
礼儀以上のものを示すとしたら、それはビジネスマナーとは違った世界の話ではないかと思うのだ。

 

それに対して、「所作」はその人の内面と深く関わっている。
所作がその人の内面を表すこともあれば、所作を正すことにより、内面を変えることもできる。
青山玄蕃も作法を厳しく躾けられてきたに違いない。しかし、所作はその時点のその人を表していることは間違いない。

 

 

 

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