2024.11.12更新
接待でのビジネスマナーは相手のグラスやお猪口に目を配ることと言われています。かつてはグラスが少しでも空いたらお酌しました。
今はそんなお酌の仕方は流行りません。
お酌の「さじ加減」が難しくなったのです。
「できる社員」はほどほどにお酌しています。
「ほどほど」具合を考えていきましょう。
お酌するタイミングを考えるうえで、まず、お酒の飲み方が変わったということを認識する必要があります。
高度成長期やバブルを知っているビジネスマンは、当時を振り返ってください。
なにか、がむしゃらにお酒を飲んだという記憶はないでしょうか?
そんな時代の接待は「機嫌よく飲んでくれた。きっと相手も満足しただろう」が、接待成功のバロメーターだったのです。
しかし、今は違います。
それには焼酎ブームが影響しています。みなさん自身もそうであるように、今は最初にビールを一、二本飲んだら、次はその人が好きなものを飲むようになってきました。
そんなとき、焼酎の水割りやお湯割りを飲む人、ハイボールやウイスキーなどを飲む人も多くいます。
つまり、今の接待は昔のようにビールや日本酒一辺倒ではないということです。
また、終始、差しつ差されつの時代でもないということです。
ゆっくりと楽しみながら飲む時代になったのです。
だから、相手の飲むペースにもよりますが、焼酎などのお代りを次々に用意しておくというのも、ちょっと違うのです。
ビールやお酒をつぐ「さじ加減」については、
私自身の話で恐縮ですが、金融機関の支店長をしていたこともあり、接待の場が本当に多かったこと、お誘いを受けることも多かったことから、一つの考えを持つに至りました。
それは、「人がお酌してもらいたいときは手酌したいとき」という考えです。
みなさんも、家でくつろいでいるときは、冷蔵庫からビールを取り出したり、棚にしまってある日本酒を取り出し、手酌をしていると思います。
飲むにつれ、手酌のスピードもだんだんと落ちてくるのではないでしょうか。
私は、こんな感覚を接待に応用できないかと考えたのです。
宴会が始まった後の最初の一杯は、喉も乾いていることもあり、ビールをそれこそ喉に流し込みたい感覚になります。
人につがれなくても手酌したい感覚です。
二杯目もまた、グイと飲みたい感覚が残っています。きっと一人だと手酌しているはずです。
このように三杯目、四杯目と考えていけばよいのではないかと思うようになったのです。
接待の場で相手に手酌させるということは、失礼なことです。
このことは今も変わっていません。
だから、相手が飲みたいと思うとき、すなわち相手が手酌してでも飲みたいと思うときは、積極的にお酌し、相手のペースが落ちてきたときは、ほどほどにお酌をすればよいと思うのです。
「できる社員」も私と同じ感覚を持っています。
相手の飲み方を見て、「だいぶペースが落ちてきたな」と思えたら、無理にお酌をしません。
相手の空きつつあるグラスやお猪口を適当に見逃し、合間、合間にほどほどにお酌をしています。
そう、相手のグラスを空けさせないという気づかいも重要ですが、それを見て見ぬフリをする気づかいも必要なのです。
お酌のマナーは変わったのです。
綾小路 亜也
⑫ 「できる社員」はほどほどにお酌する から抜粋
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