部下の仕事を待つために、「待てる時間」をハッキリ伝える

2018.11.03記事更新

いつも、「あれ、どうなった?」と言う上司より、黙って待っていてくれる上司の方が好かれるに決まっている。私は、「出世する人」の究極は「待てる人ではないかと考え、拙著『ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!』の最終項で説明した。

 

なぜ、「待てる人」が出世するかと言えば、出世を成し遂げたあとのことを考えればわかる。
出世するということは部下を持つことであり、出世すればするほど多くの部下を持つ。
すなわち、自分とは違ったタイプの部下を持つこと=出世なのである。

 

自分一人なら、早め、早めに仕事をすませることができるし、少人数の職場のリーダーならば監視の目を行き届かせることができる。
だが、部下が多くなるとそうはいかない。部下には部下の仕事ぶりがあり、そのことを受けいれる度量が求められる。その度量を端的に示したものが、「待つ」ということなのだ。
出世選考の最後の場で、会社が必ず確認していることと私は考えたのだ。

 

 

出世の本を書いてからも、私は「待つ」という動作を見続けてきた。
上司と部下の会話にいっそう耳を澄ませた。
相変わらず、上司は部下に「あれ、どうなった?」を連発している。
その言葉に、頭をかきながら言い訳する部下、不意打ちを食らったような顔をする部下、きょとんとした顔をする部下、「ほかにもやることがいっぱいあるんだ」という顔を見せる部下、さまざまだ。

 

そんな上司と部下の会話を聞いていて、あることに気づいた。
上司の優先順位や期日感と部下がとらえていることにはズレがあるということだ。
「上司はちゃんと期日を伝えているのだろうか」という疑問も湧いてきた。

 

 

私は、上司は部下にお願いすることが、じつは苦手ではないかと考えている。
お願いするときも、部下の手が空いたときを見はからい、依頼するときも、「やってくれるか」といったニュアンスで言う。
いまの世の中、上司はパワハラをおそれて、「必ず、○曜日までにやっておけよ!」と言えないのだ。
その結果、ちゃんと頼んでいないことも多い。
「なぜ」の部分が欠け落ちていることも間違いないが、ちゃんとお願いしていないことによるズレの方が大きいのではないかと、私は上司と部下の会話を聞いて感じた。
だから、上司は「ちゃんとお願いしていないことを待っている」というおかしな現象を生んでいる。

 

 

あなたが部下に仕事を依頼するときは、「来週金曜日に開かれる〇〇会議にウチの課の報告があるから、火曜日の午前中までに作ってくれるか」とお願いしたらいい。
だが、この例だと、会議が開かれる金曜日と部下の提出日の火曜日とは間隔が空いている。
こんなことにも部下はけっこう敏感で、「なんだ、サバ読んでいるのか」と思う。
「君が作ってくれた資料を読んで理解しなければならないんだ。そのために火曜日にほしいんだ」と、ここでも理由をしっかり述べなければならない。
部下にお願いひとつするのに、なにかとてもややこしい話になるが、ここまで言わないと期日にズレが生じるということだ。

 

そして、部下の返答を聞くのだ。
部下から、「来週の水曜日までだったら、なんとかできます」という答えが返ってきたら、「OK。それでいいよ。できれば午前中でお願いできるか」と言い、部下の返答を聞いたほうがいい。
なぜ「午前中」にこだわっているかと言えば、「〇〇日中」という期限だといろいろな解釈が成り立つからだ。
また、「午前中」という言葉を使うことによって、期日意識を強める狙いもある。
その意味では、「〇〇時まで」という言い方がいいが、その時刻によほど意味がないと、形だけの言葉になるおそれがある。
重要なことは、部下の返答を聞くということだ。それが確認になるからだ。
どっぷり疲れてしまう話だが、ここで労を厭わないことが、のちのち上司を楽にさせる。
部下にとっても、いつも、「あれ、どうなった?」ときかれるよりマシなのだ。

 

 

問題は、部下にシッカリ依頼した後だ。
部下と期日を握ったならば、その瞬間から、頼んだことには触れないことだ。
それが、「待つ」ということであり、部下から好かれることでもある。

 

 

いまの時代、部下からの評価は出世の決め手になっている。
部下から好かれないと出世はできない。
そのためには、部下の仕事を「待つ」必要があり、「待てる」状況をシッカリと作り出すことが必要なのだ。

 

綾小路亜也

 

2019年新春発売予定の
『「出世しぐさ」のすすめ』から抜粋

 

 

 

 

 

 

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