『柴田和子 終わりなきセールス』

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柴田和子 終わりなきセールス 柴田和子 終わりなきセールス
柴田 和子

東洋経済新報社

2014-02-07Amazonで詳しく見る by G-Tools

みなさんは、柴田和子さんをご存じだろうか? 生命保険業界にいる人で、おそらく彼女の名前を知らない人はいないだろう。
そのくらい有名な人である。彼女は、30年連続生保セールスで1位という記録を持っている。そして、ギネスブックに2回ほど「日本一の生命保険セールスマン」として掲載された。多分、日本一の生命保険セールスマンということは世界一として認定されたと思われるのである。
そればかりでない、1994年にはダラスで開かれたMDRT(Million Doller Round Table 世界百万ドル円卓会議)世界大会のメインプラットフォームで講演した人物なのである。
このMDRTは保険セールスマンの世界組織で、一定以上の実績のあるトップセールスマンしか会員になれない。

 

私は、実は彼女の名前は知っていた。そして、「女性の営業力」について、色々調べているときに、たまたま本書の新聞紹介を目にしたのである。しかし、多分、その紹介がなくとも、いつかは買ったであろう本である。
参考までに、彼女は、1992年に『柴田和子 正々堂々のセールス 』の本も出しており、その本はその年の大変なベストセラーとなっている。
なお、柴田和子さんの長女知栄さんも第一生命で14年間継続して日本一を達成している。また次女佳栄さんも第一生命で全国2位~3位のトップセールスマンであることも知られている。ここに柴田ファミリーのものすごさがある。
なお余談だが、私は長女知栄さんの講演を聞いたことがある。
また、長女知栄さん、次女佳栄さんの本『スーパーセールス姉妹 知栄と佳栄―「母」から受け継いだ豊かなこころ 』も出版されているので、興味のある人は参考にされたらいいと思う。

 

さて、本の中身であるが、一言で言って、現在出版されている外資系コンサルタントの本とは正反対のような印象を受けるのである。そこには理屈がなく、まるで母から諭され、教えられているような感覚になる。
そして、そこには一人の女性としての人生、生き方の重みがあるのである。
だから、スーッと頭に溶け込み、いつの間にか読み終えてしまった。
そして、もう一つ感じたことは、これだけの偉業を達成する人だから、やはり考え方が大きいのである。人を見る眼も広いのである。平たく言えば、スケールが大きいのである。
そして、セールスの世界にも俗な表現をするとピンからキリまであるということを実感したのである。
今の出版業界はプロフィール重視の時代である。多くの本で紹介されている著者のプロフィールには、○○で1位とか、△△で実績を上げたと書かれてある。また、生命保険のセールスなどで、実績を上げた人がセミナーや研修を企画したりしている。
そのこと自体が問題なのではなく、実は読者や受講者はそうした経歴のレベルがどの程度かわからないのである。
つまり、読者も、セミナーを受ける人も、著者や講演者が、いったいどのレベルの人がハッキリしないまま本を買ったり、研修に参加している。もしかして、ここが問題かもしれないと思ったのである。
これからは、この本で記載されているようなMDRTのような共通の物差しとなるような資格や経歴をチェックすることも、本やセミナーを受ける方は必要かもしれないと思うのである。

 

本中参考となった箇所を紹介しておきたい。

 

「正直なところ、話法だけでは契約はいただけませんし、設計書や数字だけでも契約をいただくことはできないんです。
………何か付加価値がなければダなんです」(P14)

 

「放っておくべきは放っておく」から
「私は好意を持てた人が相手ならば、今は契約できなくても、大事に時機を待とうと考えます。これはある意味、いつまでも追うということですね。ただし、タイミングを考えて、そのときには追わないということです」(P66)

 

「本当は、私ほどたくさんの企業から断られているセールスマンはほかにいないと思います。大企業について言えば、私がアタックしたことのない会社はないくらいで、ものすごく手数を出しているんです」(P71)

 

「私には常に数字を大きく考える習慣があります」(P81)

 

「セールスの基本は、思いつきと実行しかありません。ですから、思いついたことをすぐに書き留めておくといいです」(P118)

 

「紹介を頼む努力が真の人脈を広げる」から
「まず、相手が自分にとって魅力ある人かどうかを見極めるんです。自分にとって魅力ある人はほかの人にとってもそうだからです」(P139)

 

「実は、紹介が効果を持つのは、紹介者の人格のおかげなんですよ。
紹介された人は紹介者の地位ではなく人格を見ているんです。自分が嫌いだったり評価していない人の紹介だと、『あの嫌な奴と知り合いなのか』という目でこちらを見るんです。ですから、紹介される人から快く思われていない場合には、偉い人の紹介であっても逆効果で、かえって障害になることさえあります」(P142)

 

「セールスの世界には、これが最高の道だというのは一つもないんです。人によって話法も違うし、合いの手の入れ方も千差万別、誰かのやり方がそのまま通用はしないんですよ。ですから、経験をたくさん積むことが大切なんです」(P211)

 

どうだろうか? だいぶみなさんが読んだり、聞いたりしていることと違っている箇所もあるのではないだろうか。
最後の「セールスの世界には、これが最高の道だというのは一つもないんです」という言葉は我々への警鐘の言葉である。
もしかして、我々は、「最高の道がある」と思って、ビジネス書を買ったり、セミナーに参加しているのではないだろうか。
しかし、これが、契約金額444億円を達成した日本一、世界一のセールスウーマンの言葉なのである。
我々も、今後、ぜひ、この言葉を頭の隅に置いて、本の選択やセミナー受講の参考にしたいものである。

 

なお、本書に興味を持った人には、ぜひ、世界一のセールスマンであるジョー・ジラード氏の『営業の神様 』をお読みいただきたいと思っている。
それは、全体のトーンが本書と似ているからである。

 

 

 

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