『そんな営業部ではダメになる』

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そんな営業部ではダメになる (日経プレミアシリーズ) そんな営業部ではダメになる (日経プレミアシリーズ)
藤本 篤志

日本経済新聞出版社 2014-06-10

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まず、みなさんに率直な意見をお聞きしたい。
この本では、営業改革の3本柱を、「営業量の倍増」「営業知識量の倍増」「チームワーク量の倍増」としている。
「チームワーク量の倍増」は、耳慣れない言葉だと思うが、営業マネージャーによる助言件数、同行件数である。
もしみなさんの会社が業績低迷であえいでいるとき、みなさんの会社、あるいはみなさん自身はこの営業改革3本柱の実行に踏み切れるだろうか?
きっと、「必要だとは思うが、現実には………」と思うのではないだろうか?
そして、多くの会社や多くの人が、「必要だとは思うが……」と考えるために「営業改革」は進まないのである。
これが、この本の中身である。

 

本書のエピローグで著者はこう言っている。
「(営業改革が)失敗するほとんどは、業績低迷という実態を作り出した根源である”いま”の営業方法から抜け出す大胆な具体策すら打てず、自分たちの”営業とはかくあるべき”という常識すら捨て去ることができないのだ」
つまり、「保守的な自分、保守的な組織力学に負けてしまう」のである。

 

どうだろう? 営業部門にいる人は、ズバッと本質を射抜かれたような気にならないだろうか?
「営業改革」は、現在の延長線では進まないのである。
本書では「変われない営業部」と変えるための「営業改革」が記されている。
私は、営業出身者であるが、本書の内容はすべて真実だと思うのである。
そして、冒頭に掲示した営業改革3本柱である「営業量の倍増」「営業知識量の倍増」「チームワーク量の倍増」を実行すれば必ず業績は向上すると思うのである。

 

本書の中で非常に参考になる箇所を挙げておきたい。

 

2種類のサボリ
「意識的怠慢」ー本当のサボリ
「結果的怠慢」ー働いているつもりのサボリ。「結果的怠慢に要する時間が、業績に大きな影響を与えている」

 

「営業量=仕事時間ー(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)

 

「営業における本当のチームワークは、能力のある者が能力のない者のサポートをすることである」

 

「営業は、”個人で行うもの”ではなく、”チームで行うもの”への発想の転換」

 

「私は、営業部に根強い『会議中の他人報告から学び取れ!』という発想は、幻想であるということを強く主張したい。他人報告から学び取れないから、営業スキルが向上せず、営業成績も伸びないという現実を直視してほしいとかねがね思っている」

 

さて、私の感想を述べたい。
本書は、営業部門の現状分析、洞察そして改革案とも素晴らしくまとまった本だと考える。
本質を射抜いた他の営業本とは一線を画す内容を持った本だと思うのである。
確かに、営業量が業績を左右することは間違いない。そして、現実の世界では、いかに営業時間を取れていないこと、営業に専念できていないことも、真実である。
また、業績を向上させるためには、見落としがちだが、「営業知識」が必要なことも事実である。
そして、着目すべきは、営業を”チームで行うもの”とし、その具体的なイメージを掲示している点である。著者のオリジナルなものだと思う。

 

しかし、本書のありとあらゆることに「納得」と思いつつも、全体としてどこか腹に落ちないと思う読者も、きっといるのではないだろうか?
それは、この本の前提が業績低迷している営業部門を取り上げていることにある。そして、「業績低迷を作ってしまった組織は、いくら改革と叫んでも、それができるんだったら、業績低迷にはならなかった」というように議論の枠が固定されてしまっていることにある。
それゆえ、外部の営業コンサルタントなどの意見に基づく改革が必要ということなる。
それは、それで論理として1本筋が通っているような気がするが、本当にそうであろうか?

 

確かに著者が言うように、多くの業績低迷に陥っている組織は、現状を打破することができない中途半端な改革案を打ち出していることは事実だろう。
しかし、一方で、従業員たちの必死の創意工夫で危機を脱したという企業例も、本やテレビで紹介されていることも事実なのである。
また、外部のコンサルタントにお願いしたり、大きな人事異動を伴った組織変更をやりたくてもできない企業の方が圧倒的多数だと思うのである。

 

また、実際、営業改革が功を奏するか否かは、改革案を継続できるか否かにかかっていると思うのである。
ここでも、「業績低迷しているんだから、そんな悠長なことを言っている場合ではない」と一喝されそうだが、また、「それだから、トップの不退転な決意と仕組み作りが必要」という答えが返ってくるのは間違いないことだが、よほど、業績低迷の現状を従業員一人一人が自覚していないと、やはり、長続きはしないだろうと思うのである。
そう考えること自体、この本の趣旨を理解していないことになってしまうのであろうか?
みなさんは、どう考えるだろうか?

 

(参考)
(私見:私は、営業部門が業績低迷から脱却する方法は、組織の一人一人が「何のために営業をやるのか」「自分にとって営業とは何か」を自覚することにあると考えている。そう考えると、知らず知らず、「取りに行く」営業に変貌する。そして、「取りに行く」から、知らず知らず有効な営業量も増えていくと考えている。
拙著『サラリーマンの本質』第六議題「営業の本質」参照)

 

 

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