いちばん言いやすい反対意見の言い方は?

相手を否定せずに反対意見を言う方法は、ビジネスマナーの本や話し方の本に載っている。
あなたは、そんな本に載っている例を実際に言えるだろうか?

 

たぶん、記載例には納得したものの、シックリこない部分があるのではないだろうか。
シックリこないということは、実際にはつかわないということだ。
どこがシックリこないのか、考えることには意味がある。
シックリこない部分を自分が納得する表現に置き換えれば、いざというときにつかえる。

 

あなたが言いやすい言い方を探そう!

 

 

シックリくる表現を考えるために、記載例を三つ紹介する。

(注)ポイント部分に下線を引いた

 

① 不朽の名著と言われている『人望が集まる人の考え方』から

 

ピアース・ブルックス博士の推奨していることを基に例を挙げている。

「たしかにそれも一理ありますが、こんなふうに考えてみてください」

「たしかにおっしゃるとおりですが、別の見方もできます」

「たしかにそれは認めますが、違う考え方も成り立つように思います」

 

著者は「相手に少しでも正しい点があれば、積極的にそれを認めよう。あなたがささいなことを譲歩すれば、相手が重要なことを譲歩してくれる可能性が高くなる」と述べている。

 

 

② 『入社1年目ビジネスマナーの教科書』から

 

「そうですね。確かにその方法は良い案だと思います。ただ、その方法を採用するには準備が必要で、今からでは工期に間に合わなくなる可能性があると思うのですが、いかがでしょうか?」

 

著者は「相手の主張に反する意見を言うときは、『ただ~』を使うといいでしょう。否定のニュアンスが薄れて、相手の抵抗感も弱まります」と述べている。

 

 

③ 『好かれる人が絶対しないモノの言い方』から

 

「いまのご提案は〇〇の点ですばらしいと思います。一方で、コストパフォーマンスを考えると、こちらのやり方もあると思うのですが、いかがでしょうか?」

 

著者は「相手は意見のすべてを否定されたのではなく一部は認められているので、新しい提案のほうがよいと判断すれば、率直に自分の案を下げやすくなります」と述べている。

 

 

どうだろうか?
どの例がいいかということではない。記載例の中身も関係がない。
どんな言い方が、あなたにフィットするかということである。

 

(1)おわかりのように、①~③の例の共通点は、相手の意見を受けとめ尊重していることだ。
しかし、その表現は微妙に異なっている。
あなたは「一理ある」という表現に引っかかるかもしれない。
「一理」は「一応の理屈」「一通りの道理」(三省堂大辞林)という意味だから、仲間内でつかう分にはかまわないと思うが、「ちょっと上から目線かな」というニュアンスを感じとった人はつかわないほうが無難だ。言葉はニュアンスが大事だからだ。

 

③の例は「〇〇の点ですばらしいと思います」と、「すばらしい点」を言えている。
「すばらしい点」を言えるときは、この表現でかまわないが、「すばらしい点」を具体的に言えないときは、「すばらしい」という表現はさけたほうが無難だ。
②の例は「良い案」といっている。これだけではどの部分が良いかわからないが、具体的に「良い点」を言えないときは、こうした表現は避けたほうが無難だ。

 

ビジネスマナーの本によっては、「〇〇さんのご意見、たいへん興味深く拝聴しました」(『いちばん使える! ビジネスマナーの基本とコツ』)と、「興味深い」という表現が出てくる。
この場合も、どの部分を興味深いと思ったのか具体的に言えないときは、言葉がひとり歩きするので、避けたほうが無難だ。

 

「すばらしい」「良い案」と言ったときに、もう一つ考えなければならないことがある。
「すばらしい」「良い案」は相手の意見を全面肯定に近い形で言ったわけだから、それ以上に、あなたの意見に鋭さや、それこそすばらしい点、良い点がなければならないということである。

 

そうしたことを総合的に考えると、「たしかにおっしゃるとおりですが」が汎用性が高い。

 

 

(2)①~③の例で異なるのは、相手の意見を受けいれたうえで、自分の意見を切り出す際の「つなぎ」部分だ。
①は「こんなふうに考えてみてください」「別の見方」「違う考え方」と、相手とは異なる角度で見た場合、考えた場合を言っている。
③の「一方で」も同様だ。
ところが、②は「ただ」をつなぎ言葉にしている。
「ただ」以下の内容は、相手の見方とは異なった自分の意見だから、これから自分の意見が始まるという点では①と③と同じと言える。

 

しかし、「ただ」は「前に述べたことについて、留保・注釈・条件などを付け加える語」(三省堂大辞林)だから、「別の見方」「違う考え方」「一方で」とは異なる。
記載例の「ただ」以下の「その方法を採用するには準備が必要で、今からでは工期に間に合わなくなる可能性があると思うのですが、いかがでしょうか?」を見てもらえばわかるが、「ただ」以下は、相手の意見には難があることを示している。
「ただ」をつかうと、どうしても「ただ」以下は、相手が見落としているものなどを指摘する形にならざるを得ない。

 

重要なことは言いやすさだから、「ただ」が言いやすいならば、この言葉をつかえばいいと思うが、「ただ」「ただし」以下が発言者の本当の意見・本音であることはみんな百も承知しているので、この言葉にはどうしても敏感になる。
著者は「ただし」と言わず、「ただ」をつかうことによって否定のニュアンスを薄めている。言葉はニュアンスが大事だから、こうしたことには意味があると思うが、「ただ」は「ただし」のいわば短縮形であること、「しかし」に通じる言葉だということもみな知っている。
そんな点が気になるというならば、この言葉をつかわないほうが無難だ。

 

「別の見方」「違う考え方」「一方で」のうち、どの言い方が、自分が言いやすいかも考えてみる必要がある。
「別の見方」「違う考え方」は内容に気づきや発見的要素があるとき、その内容に自信があるときに活きてくる。
それに対し、「一方で」は、「別の見方」「違う考え方」よりは軽く、「違う要素もある」といった問題提起的な響きがある。
どちらの言葉がスムーズに出るかは、人によって、その場によって違うと思うが、ここは自分のフィット感で決めてもらいたい。

 

 

(3)注目したいのは、②と③の例では、「いかがでしょうか?」をつかっていることである。
この言葉をつかうことによって、相手の意見を促している。試してみたい言葉だ。

 

 

以上を総合的に考えると、「たしかにおっしゃるとおりだと思います。一方で、こんな考え方(やり方)もあると思うのですが、いかがでしょうか?」が、無難で、言いやすく、汎用性が高いと思うが、いかがだろうか?

 

上記はもちろん私の意見にすぎないが、あなたにも、自分が言いやすい汎用型をつくってもらいたいと思っている。
その際、自分が実際に口に出して、言いやすさを確認することが重要だと思う。
言いやすい言葉が、実際につかえる言葉だからだ。

 

 

 

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