2020.12.10更新
キャリアアップに不可欠なものは部下の話を聞く力だ。
多くの企業や組織では、部下への傾聴が昇進のポイントになっている。
傾聴というと、上司は部下の話を「真剣に聞く」ことと考えるが、部下はそれだけでは傾聴してもらったとは思わない。
どうすれば傾聴してもらったと、部下は思うのだろうか?
傾聴はキャリアコンサルタントなど、人の話を聞くことを業とする人の分野で重要なテーマになっており専門書も多く発行されているが、「そもそも人の話を聞くということは、どういうことか」という観点で、阿川佐和子さんが書いたベストセラーとなった『聞く力』を読み直してみることをおすすめしたい。
『聞く力』は累計170万部を突破した驚異のベストセラーだから、読んだ人も多いと思うが、読み直してみると、当初の読み方に間違いがあったことがわかる。
多くの人は、なぜ、この本を手に取ったのだろうか?
聞き上手になりたいため、聞くスキルを上げたいと思ったからではないだろうか。
読み直してみると、そのことが間違っていたことに気づく。
スキルに焦点を当ててしまうと、聞き上手にならないし、傾聴にならないのだ。
阿川さんはインタビュアーになり立ての頃、「『有能なインタビュアー』というものは、相手が答えに窮するほどの鋭い質問をビシバシ投げかけて、あくまでも冷静に、みごとな切り返しができる人をイメージしていた」という。
阿川さんが当初持ったイメージが、いまだに上司が持つイメージなのだ。
ここに部下が傾聴してもらっていないと思う原因がある。
上司は面談の中心を部下への質問に置く。
自分ながらいい質問をしたと思えるときは充実感を持ち、部下もきっと得るものがあったと考える。
つまり、鋭い質問をすることで、自分の存在感と有能感を高めているのだ。
それゆえ、部下が話している間中、部下が窮するであろう質問を考えている。
この状態はどういうことなのだろうか?
次なる質問、次なる質問と考えているから、部下の話などは聞いていないということだ。
さらに言えば、上司は部下に質問をすることで、何を聞きたいのだろうか?
部下の考えを聞くというよりは、部下の言い分を聞きたいのだ。
そして部下の言い分に指導を与えたいのだ。
部下にはそんな意図も丸見えだから、傾聴してもらったとは思えないのである。
それでは、どうしたら傾聴できる上司になれるのだろうか?
『聞く力』にはそのヒントが溢れているが、まず、「それで?」「それから?」などと部下の話を促すことだ。
そのうえで、部下の話した言葉に質問をすることである。
そうすると、部下は自分の言葉をかみ砕いて説明したり、補足したりする。
具体例を挙げ説明するかもしれない。
部下からすれば、たえず自分が話したことが基軸になって、その話をさらに自分で展開していることになる。
そのとき、部下は傾聴してもらったと思う。
部下の話を聞く力は、部下の言葉からけっして離れず、ついていくことである。
部下の言葉から、部下の感情と意味に気づくことである。
重要なことは、部下の感情と言葉の意味を、上司が指摘するのではなく、話した部下自身に整理させることである。
人に話すということは、自分の感情と考えを、自分が整理することなのである。
読み直してみると、人の話を聞くということはどういうことか、わかってくる
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
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