『最新ビジネスマナーと今さら聞けない仕事の超基本』

この本には2つの特徴がある。
一つは、「最新のビジネスマナー」と「仕事の超基本」を一体化させた点である。
もう一つは、ビジネスマナーをマナー講師ではない人が書き、監修した点である。
監修者はサラリーマン兼大学講師、セミナー講師、コンサルタントそして税理士で、著者もコミュニケーションコンサルタントであり、いわゆるマナー講師とは異なる。

 

いままで、ビジネスマナーの本は単独で存在し続けてきた。しかし一冊を通読した人は少ない。
ところが、この本のようにビジネスマナーと仕事の基本を一体化させると、不思議なことに通読できる。
きっと、監修者、著者からすれば、ビジネスマナーと仕事の基本は不可分一体であり、ビジネスマナーは「社会人としてのルール」の一環として存在するのだろう。
このことが、この本を読みやすくしている。

 

 

この本を読んで驚くことは、ビジネスの現場で活きる名言が数多く載っていることだ。

 

項目別に、そんな名言を中心に紹介していきたい。

 

 

Chapter 7 ビジネスマインドから

 

・「会議がムダなのではなく会議の在り方がムダ」

「ムダな会議」という言葉をよく聞く。私たちはそのことを前提にして議論している。しかし会議には必ず目的がある。会議についての問題を正しく言うならば、問題は会議自体にあるのではなく、会議の在り方にあるということになる。

 

・「ビジネスの世界では、正しくお金を使えばあとからお金が返ってくる。最終的にプラスになるのであれば、それはむしろ生産性を高めることになる」

 

Chapter8 より良い関係から

 

・「マニュアルに落とし込めるということは、その仕事が十分に『しくみ化』できていること」

マニュアルも、会議同様、昨今嫌われている言葉である。しかし、この本が言うように「しくみ化」できているなら、マニュアルにしたほうが、同一認識、同一レベルで仕事を進めることができる。

 

・「自分の勤める会社や組織の『経営理念』を言えるか? 意図を自分の言葉で語れるか」

職場の意思疎通、コミュニケーションが大事というが、その前にはたして経営理念を共有しているだろうか?
共通認識に「軸」ができればくい違いはなくなるはずだ。意思疎通、コミュニケーションと言う前に、みんなで揃えておきたい軸だ。

 

・「仕事が遅くなる原因は指示の出し方に問題あり」

優先順位を明確にすること。その期限をはっきりと伝えること。指示内容を客観的で具体的であること。が必要と述べている。

 

・「すべての人に好かれる必要はないと考え、割り切ることも大切」

 

 

Chapter2 言葉づかい・話しかけから

 

・「クレームは『処理』するのではなく、『対応』するもの」(「リアルな仕事事情」から)

 

私たちは「クレーム処理」という言葉をよく使う。そうした言葉が出てくるということは、文字通り、起きたクレームをなんとか丸めようとしている。
しかし、「処理」と「対応」はまったく違う。「処理」と考えるか「対応」と考えるかにより、相手の受け止め方も違ってくるし、クレームから得るものも異なる。

 

Chapter3 電話応対・文書・メール作成から

 

・(電話で)相手が不在のときの対応:「またこちらからかけ直します」(こちら都合の用件ならかけ直す)

 

「こちら都合の用件なら」というところがポイントである。
この点については、拙著『なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか』の最初の項目で取り上げた。
私の書籍ののち、初めてこのことが示された本だと思う。

 

(参考):「『できる社員』は折り返しの電話をもらわない」
https://shinyuri-souken.com/?p=25051

 

・電話を取り次げないときの判断

(1)「不在の担当者の都合を確認することなく、『戻ってきたら電話をさせます』等と言わない」

著者は、このような返答を「自分勝手な判断」という。
こうしたケースでは「電話をするように伝えます」とだけ伝えるようにする、と述べている。

 

(2)「会議中の場合も、会議とは伝えず、離席である旨だけを伝える」

このことも、拙著『「出世しぐさ」のすすめ』で「会議中、会議中」と言われる相手の気持ちを考え、項目を立てたところである。
離席には違いないので、このような伝え方も一法かと思う。

しかし、会議が終わる時刻などケース別対応も必要なので、詳細は、私の記事を参考にしていただきたい。

 

(参考):「『会議中です』を言わないですむ方法」
https://shinyuri-souken.com/?p=50949

 

 

Chapter4では制度・手続きが記載されている。

 

そのなかで押さえておきたいことの一つに、産前・産後休業、育児休業がある。
育児休業は女性だけでなく、夫婦に関係する問題であり、正しく制度を理解することが必要だと思う。
また、介護休暇・介護休業については、今後起こり得る問題であり、このことも制度を正しく知ることが重要である。

 

Chapter5には効率化・人間関係が記載されている。

 

・「ゴミ箱フォルダの横に保留フォルダを作り、削除するか迷ったファイルはそこに入れておく」(パソコンのデスクトップの整理整頓から)

デスクトップにアイコンがびっしり並ぶのは、削除していいか悩んでいるからであり、いったん削除を保留し、保留フォルダに移すのは一法かと思う。
目的はデスクトップをスッキリさせることだと考えると、保留フォルダの作成は有効かと思う。

 

デスクトップに関係して、この本は、デスクトップはプレゼンで映写する際に、見えてしまう可能性があることを指摘している。
その意味でも、デスクトップの整理は必要となる。

 

・「相手を尊重し、敬意を表することがビジネスマナーの基本だとすれば、相手が創り上げた商品やサービス、アイデアや技術などにも敬意を表することが必要」

 

実際にビジネスを進めるうえで、必要となる視点である。最低限、どのような知的財産権が存在するのか押さえておく必要がある。

 

Chapter6には冠婚葬祭・付き合いが記載されている。

 

・(お酌の仕方)「グラスが空きそうになったら『いかがですか』とすすめる。無理強いや形式にこだわりすぎはNG」

アルコールの無理強いのことをアルハラ(アルコールハラスメント)という。
最近まで、ビジネスマナーの本には、接待の席で、相手のグラスの空き具合に目をギラギラさせている営業マンの写真が掲載されていた。
今後、そんな写真が掲載されることもなさそうである。

 

 

最新ビジネスマナーと 今さら聞けない仕事の超基本

 

目次

Chapter1 身だしなみ・あいさつ・ふるまい

Chapter2 言葉づかい・話しかけ

Chapter3 電話応対・文書・メール作成

Chapter4 制度・手続き

Chapter5 効率化・人間関係

Chapter6 冠婚葬祭・つき合い

Chapter7 ビジネスマインド

Chapter8 より良い関係

 

 

 

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