『急に売れ始めるにはワケがある』 

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫)

マルコム・グラッドウェル 高橋 啓

SBクリエイティブ 2007-06-23

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みなさんは、この本をご存じだろうか?
アメリカで200万部を突破する売上をあげた本である。
著者は、学者でもなくコンサルタントでもなく『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターであるが、この本には、専門的なビジネス書として立派に通用する以上の内容の濃さと分析の鋭さがある。また、豊富な実験データが記載されている。
副題は、「ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」である。

 

もし、みなさんが、商品企画や開発の仕事に従事していたならば、必ず読んでおきたいほどの内容が詰まっている。
また、みなさんが、これから起業することを考えていたならば、きっと役に立つ本ではないかと思う。
さらには、ネットワークというものはどういうものかを知るのに非常に参考になる本である。

 

さて、この本を読んでまず驚いたのは、私は、大爆発した商品や伝染病のように広がった情報は、ジワリジワリと口コミによって広がるものだと思っていたが、そうではないらしい。
ある瞬間を過ぎると、爆発的に伝播するらしい。その瞬間を、この本は、ティッピング・ポイントと呼び、それは小さなことから始まるという。
もちろん、このティッピング・ポイントに至らなければ、それは爆発的なヒットや伝染とはならない。
むしろ、そうならない商品や情報の方が圧倒的に多いことは言うまでもない。

 

そして、伝染には、見事なメカニズムがあることをこの本は示している。

この本は、爆発的な感染には、3つの原則が存在しているとしている。
すなわち、
原則1 少数者の法則(感染をスタートさせる特別な人々の存在)
原則2 粘りの要素 (情報を記憶に残すための、単純かつ決定的な工夫)
原則3 背景の力  (人の性格に感染する背景)             である。

感染をスタートさせる特別な人たちとは、
コネクター、メイブン、セールスマンであるという。
わかりやすく言うと、コネクターは、人の付き合いが多岐にわたる人たちである。この人たちが伝染の仕掛け人となり、それを市場通であるメイブンが他人に教え、その情報に納得しないときに、説得技術を持ったセールスマンの存在が必要となるらしい。
粘りの要素は、上記伝染に必要な特徴であり、背景の力は、時と場所の条件に敏感に反応すると言っている。

 

さて、この本は、事実に基づいていること、また詳細な実験データも添えられていることから、伝染のこうしたメカニズムがあることは間違いのないことだと考える。特に、伝播する役割を担うコネクター、メイブン、セールスマンの存在は、「なるほど」と深く頷くのである。

 

しかし、逆にわれわれがヒットを仕掛ける場合は、どういう行動をとったらいいのかとも思うのである。
本に従えば、コネクターの目に留まるように、また、メイブン、セールスマンにアプローチするということになるのだろう。それは、労力の問題を別にして考えれば、きっと不可能なことではないのだろう。世の中には知られているコネクターやメイブンあるいはセールスマンという人がいるからだ。
しかし、そもそも、商品やアイデア、情報自体の問題はどう処理すればいいのだろう?

巻末の解説は次のように言っている。
「メカニズムを知り、自らの直観を、よく考えて試すーティッピング・ポイントはきっと、その向こう側にやってくる」(P357)
なお、メカニズムとは、日々の経験を総括して取り出した具体的な意味としている。(P353)

 

多分、ヒットする商品というものは、「意味あるよく考えなくてはならない直観的な商品」ということになるのだろうが、正直よくわからない。
本の冒頭に流行おくれのハッシュパピーの靴のヒット例を掲げ、それは、「誰もはいていなかった」靴に魅力を感じ、若者が広めたとしているが、 私は、本の読み方が甘いのかもしれないが、最初は偶然によるところが多いのではないかと考えている。

 

そんなことを考えているときに思い出すのが、昔、日本国中で流行った「だっこちゃん人形」と「フラフープ」である。
確かに「フラフープ」は、遊びとしてとらえると、今までにない遊び方だったのかもしれない。「だっこちゃん人形」も、「だっこする」という能動的な発想が今までの人形になかったのかもしれない。
そうすると、今までにないもの、かっこいいもの、ファッションになるものという観点で選ばれたのかもしれない。
時代背景も、日本がやっと余裕が出てきた時なのかもしれない。
しかし、同時に、「フラフープ」や「だっこちゃん」に代わるものも、その時いっぱいあっただろうにとも思うのである。
そうすると、「フラフープ」や「だっこちゃん」は、この本の要件を充たしていたのかもしれない。

 

 

 

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2014年6月29日