『仕事ができる社員、できない社員』

仕事ができる社員、できない社員

吉越 浩一郎

三笠書房 2011-09-02

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トリンプ・インターナショナル・ジャパンの経営を立て直した吉越浩一郎氏の本である。
同氏は、2004年に「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)の1人に選出されている。
さて、ビジネス書を買う読者は、この「仕事ができる」という言葉に惹かれて買っている人が多いのではないだろうか。
この本は、経営者視点から見た、「仕事ができる社員、できない社員」ということになる。

 

しかし、この経営者視点は、非常に厳しい。
さすがに経営を実際にやりくりした人だけに、この本には甘さというか隙のようなものは一切ない。
あるのは、実行であり、その徹底であり、そして結果のみである。

 

現在、外資系コンサルタントが書いたビジネス書が大きな潮流になっているが、その本の内容は、生産性を上げるための徹底した方法論である。
しかし、実際に経営に携わった人が考えることは違うということが、この本によくあらわれている。

 

次の言葉を参考にしていただきたい。

「海外のMBAを卒業して送り込まれてくる人たちには、知識はあるけれども経験のないタイプの人たちがたくさんいます。その自覚がないので、必死になって汗をかいてきた人たちに対して、海外から入手してきたベストプラクティスを平気で並べ立てるのです。
そこで話されることは一見、もっともらしいのですが、単なるアイデアでしかなく、つまり『1パーセントのひらめき』に過ぎません」(P73)
そして、重要なことは、1%のひらめきのあとの99%分の努力だとしている。

 

「仕事というのは、計画段階で六割くらい『正しい』と判断できたら、実行段階に移り、あとは『走りながら』考えて、決めていけばいいのです。
『走りながら』とは、実行の現場で判断するということであり、それによってブレることなく、たやすく判断を重ねていくことができます」(P86)

 

どうだろう? 片や徹底した方法論にこだわり、片や、実行にこだわっていることが、この部分だけでもわかるのではないだろうか。
そして、著者の実行の徹底度は、半端なものではないのである。

 

「ノー残業デー」は、多くの企業でも実施されていると思うが、著者の会社は徹底度がまるで違う。その日に残業をした人がいる職場に反省会を実施させているのである。
また、「整理整頓、クリアデスク」の施策の実行にあたっても、毎週水曜日に総務の人に見回りをさせ、余計なものが合ったら問答無用で捨てさせている。
それだけではない。「がんばるタイム」というものを作り、毎日昼の12時半から14時半までの2時間、ひたすら仕事に集中させているのである。その時間には、同僚と話をしたり、コピーや電話、立って歩いたりするのも禁止であり、部下に指示を出したり、上司に確認を取ったりするのも禁止しているのである。

 

つまり、この本は、会社というもの、仕事というものは、「徹底度」により決まると言っている。
そして、重要なのは、どんな仕事にも、「デッドライン」(期限)の設定が必要だと言っている。
この「デッドライン」設定は、仕事の集中力を増すためと効率のためである。
そして、「すごい!」と思うのは、「社員は対価―つまり、報酬以上の何かを会社に期待してはいけない」(P198)と言っていることである。

 

どうだろう? 思わず背筋が伸びそうな本の内容ではないだろうか?

ここで、この本の構成を見てみると、

1章 こんな「考え方」ができる人
2章 こんな「習慣」がある人
3章 この「能力」を持っている人
4章 この「仕事の基本」を守る人
5章 この「要領」をつかんでいる人
6章 こんな「性格」をしている人
7章 こんな「価値観」で動く人

となっている。
この構成に注目してもらいたいと思っている。そして、「 」内の言葉に着目願いたい。
これが、経営者視点から見た「仕事のできる」人になるための要件なのである。
そして、その中身もまさに、ビジネマンには参考になると思う。

 

最後に、ビジネスマンのみなさんにはぜひ、身に付けて欲しいと思う箇所を紹介しておく。
それは、この本では「『決着をつける』のが早い人」(P96~)という見出しがついている。
その中で、「この仕事はこれで終わり、と潔く割り切ることが、仕事のクオリティーを損なわずに処理スピードをあげることにつながります」と書かれてある。
『サラリーマンの本質』の「『手離れ」を早く」と同趣旨であり、ビジネスマンに必要不可欠なものではないかと思うのである。

 

 

 

 

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