『カイジ「どん底からはいあがる」生き方の話』

カイジ「どん底からはいあがる」生き方の話

木暮太一

サンマーク出版 2014-06-23

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おそらく『カイジ「命より重い! 」お金の話』を読んだ人は、続く『カイジ「勝つべくして勝つ! 」働き方の話 』を読み、そして本書まで読んだのではないだろうか。
すなわちカイジシリーズ3冊すべて読んだ人は多いと思う。
私も3冊読み終えてみて、どの本がよかったか一概には言えないことに気づく。確かに第1冊目『カイジ「命より重い!」お金の話」は衝撃的だった。しかし、2冊目、3冊目も、世の中の「知っているようで知らないルール」に気づかされ、やはりよかったのである。
この感覚は人それぞれなのではないだろうか。
しかし、本のタイトルが示すように当初のお金の話から、働き方、生き方の話に移るわけだから、随分と内容自体の重みは変化している。
そして、この3冊目を読み終えて、著者の言いたかったことが結び付いたような感覚になったのである。
特に、最後の3冊目の本書にそれが凝縮しているような気がするのである。

 

確かに現在の社会を生き抜くことは難しい。
本書は冒頭で次のように言っている。
「つい数年前から、この日本の社会は、”階級制度”のない自由な世の中になり始めています。ビジネスにおいても年齢や学歴などによる”見えない壁”がどんどん少なくなっているということです。………そしてその結果、『実力さえあれば、私たちはなんでもできる、どこにでも行ける』『夢は叶う』『あなた次第です!』と言われるようになりました。
しかしそう言われれば言われるほど、苦しくなります。ほとんどの人が「未来」を手にしている感覚など持っていません。逆に『自分だけ前進していない』『自分だけ置いていかれている』『自分の人生はまったく先が見えない』、そう感じているのではないでしょうか?
自分の無力感、無能感を強く感じているのが、現代の日本人だと思います」(P19~20)

 

そう、この無力感、無能感を強く感じていた代表者が漫画の主人公カイジだと思います。

 

そして我々は、「誰もが上を目指せる時代」(P36)を生きている。言い換えれば「平等社会の中の不平等社会」(P38)を生きていることになる。
ここを本書は次のように言う。
「………平等社会になったあと、より強く不平等を意識するようになるのです。
非常に逆説的ですが、平等な社会になったからこそ、かえって不平等を意識するようになったのです。そして、平等な社会になったからこそ、より一層『平等であること』に執着し、自ら窮屈に生きるようになったのです」(P38)
著者はそこから「相対的不満」「妬み」が生じると言っている。
そして、次のようなことを人はよく言っているのである。
「『あいつが成功できたのは、運がいいからだ』『後ろ盾があるからでしょ?』『人脈に恵まれたよな。ラッキーなだけだ』と言ってしまうのです」(P49)

 

どうだろうか?
まさに現在を生きる人の悩みの原点はここにあるような気がしてならない。
そして本書はその解決法を示している。

 

その中から、我々が勘違いしやすい箇所をピックアップしてみたい。

「『相手の役に立つこと』が人脈を作る唯一の方法」(P102~)
「人脈とは、自分がAさんを知っていることではなく、Aさんが自分を知っていること、Aさんが自分に一目置き、自分と関わることにメリットを感じてくれていることなのです」

 

おもしろかったのは”あれオレ詐欺”の記述
「”オレオレ詐欺”ならぬ”あれオレ詐欺”を働く人が出てくるのは、その典型的な反動(注:自分がやった! と感じられなくなると、仕事における自分の存在意義や自己重要感がわからなくなりがちになるということへの反動)です。圧倒的なヒット商品が出たり、目からうろこの新商品が出て世の中の注目を集めると、『あの商品、俺が手掛けたんだよ』という人が必ず出てきます。ほんの一部しか担当していないのに、あたかもすべて自分のおかげのように”あれ、オレ”というのです」(P148)

 

「労働力も商品です。人材として自分を見るときには、商品を見るときと同じ視点が必要です。自分を人材として捉えたときに大事なのは、『自分がいかにすごいか』ではなく、『自分が、いかに相手の願望を解決するか』なのです」(P192)
「『ウサギとカメ』で、カメが勝ったのは、”うさぎが休んだから”と言われます。しかしそれだけではありません。私たちが注目すべきなのは、『カメが、圧倒的な差をつけられても気にせず、自分のペースを尊重して、勝負を投げなかったこと』です」(P213)

 

「1年後こうなりたい、こんなことをしたいと思っていても、何も変わりません。それは将来の話だからです。1年後こうなりたいのであれば、そこから逆斬して、今日どうならなければいけないのかを考えなければいけません。そして、1年後にそうなるために必要な今日の自分にならなければいけません。
今日です。今日を変えることが人生を変えることになります」(P245)

 

さあ、どうだったろうか?
最後の「1年後こうなりたい………」は、まさに本HPがみなさんに強くおすすめしている『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果 』の記述とそっくりなことに気づく。
おそらく普遍的なものなのだろう。

 

さて、このカイジシリーズの魅力は、世の中の目に見えないルールや仕組みを、読者に知らしめているところにあると思う。
実は、私は、このカイジシリーズを読むと共に、漫画『賭博黙示録カイジ』も並行して読んでいる。
その中で、カイジたち借金まみれの男たちが乗るエスポワール号で、主催者はゲームのルール説明はするが質問は一切受け付けないというシーンがあった。
世の中、こんなもんじゃないだろうか?
ルールの理解、解釈は当人に委ねられているのではないだろうか。
まして、生き方も人それぞれに委ねられているのではないだろうか。
しかし、甘いかもしれないが、ルールの正しい理解というものはけっこう難しいのである。
それをこのカイジシリーズ3巻が示しているような気がしてならないのである。
みなさんは、どう思うだろうか?

 

 

 

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2014年11月9日