ビジネスマンから見た女性の営業の強みと弱み

太田彩子さんの『売れる女性の営業力 リクルート『Hot Pepper』MVPセールスウーマンが教える 』(日本実業出版社)では、女性ならではの6つの感性は「共感性」「協調性」「親和性」「繊細性」「母性」「勤勉性」であり、それを上手く利用した営業を勧めている。また、逆にこの6つの感性が営業で、マイナスに働くこともあると注意している。
その他、女性が生来持っている感性から、女性は「フォロー営業」「継続営業」に適していることも述べている。
男性の視点からも、まったくその通りだと思うし、太田さんは何よりも営業をよく知った人だと思うのである。

 

しかし、女性には、女性が気がつかないもう1つの「強み」がある。
それは、「区切る力」である。
これはどういうことかというと、女性は1つずつ区切りをつけながら業務を進めていくことができる。
これは、ビジネスの世界では大きな力となる。
私は拙著『サラリーマンの本質 』(文芸社)の中で、悩める組織や人は等しく業務を区切ることができない特徴があることを指摘している。
つまり、業務に「区切り」をつけられず、同時並行的に業務を遂行する特徴があると言っている。
同時並行的に業務を進めることは、格好いい言い方をすればマルチタスク型になるが、ビジネスの現場では、一つの仕事に区切りをつけれないから収拾がつかなくなったり、当初たいした仕事と思っていなかったものも、いつの間にか将棋の歩が金に成り上がるごとくトラブルを引き起こしたり、緊急の問題に昇格してしまうのである。
言い替えると一つ一つの仕事に完結力がない組織や人は混乱するのである。

 

こうした現象は男性によく起きる。
学生時代のことを思い起こすとよくわかる。
私もそうだったが、男性で学生時代に年度末に一斉に実施される各科目の試験対策を、科目別に着実に対策を打った人はいるだろうか?
それこそ、短期集中的に一斉に各科目に取り組んだのではないだろうか。
また、授業中も男性はノートを着実に取るのが苦手で、試験前に人のノートを借りたりして、一斉に穴埋めをしたのではないだろうか。
ビジネスマンになってからも、酒を飲んで家に帰りスーツのまま寝てしまい、朝、パンを口に放り込んで、ワイシャツに袖を通し、あたふたと会社に向かう人も多いのではないだろうか。
また、仕事を貯めてしまって、それこそ徹夜してとにかく当座を繕うビジネスマンもきっといるはずだ。

 

男性は、謂わば「区切り」がない生活に慣れているのである。
一斉に物事を処理することに慣れてしまっているのである。
ところが、女性はどうだろうか。
女性の多くは、このように一斉に色々なことを処理するというよりは、一つずつ一つずつ、区切りをつけながら物事を進めることが得意なのではないだろうか。
この能力は、会社や人は言わないけれどもビジネスの世界では本当に大きな力なのである。
くだけた表現をすれば、間違いはないのである。
これが、ビジネスの世界では最も重要なことであり、これが顧客の信頼感の拠りどころになるのである。
こうした女性特有の能力を、もっともっと、みんなが認め合った方がいいような気がする。

 

ところがである!
この女性の特有の能力が発揮できない状態になったとき、女性は男性よりも混乱する、男性よりもはるかに疲れ、はるかに悩む。
私は、女性の営業職の悩みの原点は、実はここにあるのではと思っている。
それは、下記のようなシチュエーションのときに起きる。
「おい、今日夕方からミーティングやるぞ」
「みんな、明日までに報告書作っておいてくれよ」
「〇○商事に暫く行っていないな。今日、アポとってくれないか。一緒に行こう」
「たまには、みんなで今日、飲みに行くか」………

 

つまり、突発的なことや、多くのメニューが重なったときにもろくなるのである。
頭がパニくるのである。
自分のペースが乱されたとき、もろくも崩れていくような気になるのである。
それも実際の営業の現場では、毎日のように、このようなことが言われたり、行われたりしているのである。
決して計画的でなく、刹那刹那に色々なことが行われているのである。
女性特有の「強み」の場が乱されたとき、女性は悩むのである。
これが、女性の営業云々の前に考えなくてはいけないことであり、女性の特性を理解することは重要である。

 

 

 

 

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