営業がイヤでイヤでたまらない人の解決法

就職面接のとき、学生は、希望部門を聞かれると「営業に行きたいです」と言う。また、若手ビジネスマンは上の人から、「どうだい、営業は楽しいかい?」と聞かれると、「ええ、楽しいです」と答える。
しかし、学生の本音も、若手ビジネスマンの本音も、実は違うのではないだろうか。
そして、私は、世の中には営業がイヤでイヤでたまらない人は、ものすごく多くいると思えてならないのである。

 

それは、私がそうだったからである。
私は、ある企業に入社し、2年目で営業の最前線に出た。そして私は、長い間、営業がイヤでイヤでたまらなかった。
しかし、私の営業嫌いは少し違っていた。イヤだから、行かなくてはならない得意先を、なるべく早い時間に回ったのである。
それは、まるで嫌なものは、先に済ますという感覚そのものであった。
要は、私はそれほどまでに営業が嫌いだったのである。
その要因の一つは、私は下町育ちだったせいもあるかもしれないが、人にものを頼むのがどうしても好きになれなかった。
また、毎月追い詰められる数字に、心もずたずたになり、胃薬を飲んでいた。
そんなことで、得意先を早く回り終え、公園のベンチなどに腰を下ろし、「なぜ、オレはこんなことをしなければならないんだ?」と思っていたのである。
そして、自己申告表にはいつも希望部署に営業部門以外を書いていたのである。

 

みなさんの中にも私と同じような人は、結構多いのではないかと思う。
そして、私が心配しているのは、営業嫌いの人が考える対処法である。それが、今回のテーマである。
私は、営業嫌いの人ほど、自分に負荷をかける道を選んでしまっているのではないかと思っている。
それは、日本のビジネスマンは、みんな真面目だからである。
営業嫌いの原因を、ともすると、自分の不甲斐なさに持っていってしまう。
そして、ビジネス書を読み漁ったり、セミナーに参加したりする。
ビジネス書を読み終えたり、セミナーが終わると、「よし、頑張るぞ!」と思うが、今までの自分にさらに負荷をかけることにあまり気がついていない。

 

確かに、不甲斐なさや不振を脱却するには、負荷をかけることは必要かもしれない。また、そのくらいの厳しさは必要かもしれない。
また、その方法で、乗り越える人もいるかもしれない。
しかし、この方法では、私は、多くの人は、ますます心の中で営業嫌いが増しているのではと心配しているのである。

 

ここで、私がはたと気づいたことをみなさんにお話ししておきたい。
私は、営業がイヤでイヤでたまらない理由を考えた末に、当たり前の結論に達した。
営業嫌いの理由は、数字だった。目標だった。
自分や組織に割り当てられた数字や目標は、たえず前年を上回る数字であった。
そして、その年に割り当てられた数字を達成すると、翌年は、それが今度は実績になり、また上回らなくてはならないのである。
これが終わることのないサイクルで続くのである。
ということは、営業はたえず、実績を上回らなければならないんだということに気がついたのである。
つまり、営業は、たえず「目標と実績の『差』を埋める行動」であることに気がついたのである。

 

そして、私は、元々営業がイヤでイヤでたまらなかったから、どうしたら、この「目標と実績との『差』」を埋めることができるのか、真剣に考えたのである。
そして、前年と同じやり方をしていたならば、前年並みの数字しか行かないということにも気がついた。
つまり、前年と違うやり方を、毎年実施しなければ、営業は絶対に目標数字には届かないことに気がついたのである。

 

それでは、どうすればよいのか? 私は、この「目標と実績の『差』」を埋める方法を真剣に考えてみた。
注意しなければならないことは、ここで安易に「未開拓リスト」を作成し、一斉訪問を開始するなどという結論などには達してはいけない。
あるいは、今まで以上に訪問数を増やす、電話を増やす、あるいは営業にかける時間を多くするなどと考えてはならない。
それも、方法論としてはあるかもしれないが、別に成果の確証があるわけではないからだ。
多くは、「やってはみたが………」という慰みに終わることが多い。

 

そうではない! もっともっと、絶対に成果が出る方法を考えなければならないのである。
考えて、考えて、考え抜いてもらいたい。
そうすると、みなさんは、ありとあらゆる可能性と方法を考え、イメージするはずである。
答えを言う。それが営業なのである。
そして、みなさんが、イメージしたことを、具体的行動に移すことが営業活動なのである。

 

繰り返して言う。未開拓リストを片手に持ち、グルグルと回ることが営業ではない。また、飛び込み訪問数を増やすことが営業ではない。
それは、いい結果が出るかもしれないが、まだまだ、「結果がわからない」行動なのである。
厳しい表現を使えば、「結果がどう転ぶかわからない」ものは、まだまだ営業とはいえないのである。
結果が必ず出る行動を起こすことが営業なのである。

 

しかし、心配はまったくいらない。その手段は一つである。みなさんの頭で考えるだけである。
みなさんの頭で「目標と実績との『差』を埋める」ことを考えるだけである。そのために、みなさんの頭で「資源」を連想するのである。
本当に考えれば、必ず「資源」は浮かぶものである。
そして、その「資源」に向かい、具体的行動を起こす。
重要なことは、そこには、「あて」があるということである。
これが、営業なのである。ここには自分の「目論見」がある。自分のあてがある。
これが、あてのない営業との違いである。
この「資源」を「見込み先」と置き換えていただいてもいっこうに構わない。

 

これならば、誰でもできるのではないだろうか?
自分が営業向きかどうかも関係はない。
自分で考え、自分で実行する。これならば、みなさんの気も晴れるのではないだろうか?
まずは、みなさんで考えることから始める。ここで、みなさんの「読み」があたったならば、これこそ営業の醍醐味となる。
思わず、自分一人で帰りがけに生ビールでもグイとひっかけたくなるのではないだろうか。
それに、自分自身で考えるのだから、自分で営業の成長状況を確認できる。自分が強くなっていくことを確認できるのである。
これならば、負担がかからないではないか。なにか楽しくならないだろうか?

 

言い替えると、営業には「読み」が必要なのである。
それは、けん玉の要領に似ている。尖った遊具の先に玉がスポッと入るのは、玉がそこに落ちるだろうと予想して、玉が落ちる先に遊具の先を持っていっているからである。
すなわち、「読み」があたっているということになる。
この「読み」がないと、営業は成果が出ないのである。

 

私は、そんなことに気がつき、実に30年間も営業をやることになった。
私は、この方法を「連想力営業」と称し、拙著『サラリーマンの本質』で紹介した。
営業で悩むビジネスマンのために書いたつもりである。
営業で必要な「連想力」を例示しているので参考にしてもらいたい。

 

もっと言うならば、
営業で成果を上げるためには2条件がある。しかし、たった2条件しかない。
1つは、営業に専念できる環境を作ることである。どうしても、色々なことがたまると、人の頭は正直だから、営業に専念できなくなる。
だから、私は、『サラリーマンの本質』の中で、一つ一つの仕事に早く「手離れ」しなさいといっているのである。
私が30年間みてきた営業成績が不振な人や組織は、みんな「手離れ」が遅い組織だった。

 

そして、もう一つは自分の頭で考える「連想力営業」だと思っている。

 

要は、営業で重要なことは、さまざまな方法論を学ぶことではない。
だいいち、人の数と同じだけある方法で、どれが一番適した方法かは、神様だってわからないだろう。
そうではない。方法は自分で作りあげるものである。自分だけの型は必ずある。
そして、それよりも重要なことは、営業の考え方なのである。
自分自身の頭で「営業とはなにか」を考えることができたならば、必ず自分自身の営業をイメージすることができる。
自分自身で営業をイメージできれば、営業は必ず成果に向かう。
けん玉の要領である。

 

 

 

 

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