「できる人」を追い求めるより、「仕事が集中する人」をマークする

「ビジネスマンの生き抜く技術⑧」

 

今、「できる」というタイトルが付いた本は非常に多い。また「一流」というタイトルが付いた本も非常に多い。
そして、この「できる」「一流」というタイトルが付いた本は、売れているのである。
私は、こうした現象の背景には、厳しい格差社会が存在していると考えている。

 

それは、「仕事ができる」「一流」という言葉には対語があるからである。それは、嫌な表現になるが、「仕事ができない」「二流」ということになる。
読者は、「仕事ができる人」「一流の人」になりたいと思い本を求める。
ということは、「仕事ができない人」「二流の人」になりたくないということでもある。
「そんなこと、あたりまえじゃないか」と言う人は多いと思うが、ビジネスマンの経験の長い人は、ちょっと昔のことを思い出してもらいたい。

 

ちょっと昔は、本のタイトルも、「仕事ができる」「一流」というようなストレートな表現をしていなかったはずである。
それが本のタイトルもストレートになり、読者側もストレートな表現のタイトルの本を選ぶということは、時代が変化しているのである。
私は、今のビジネスマンは、薄々、自分の行く道は2つに分かれていくだろうと気づいているのだと思っている。
それだから、「仕事ができる人」「一流の人」を求めているのだと思うのである。

 

さて、問題は、「仕事ができる人」「一流の人」というタイトルが付いた本を読んで、読者は、本当に「仕事ができる人」「一流の人」をイメージできるかである。
ちょっと、眼を閉じて、「仕事ができる人」「一流の人」をイメージしてもらいたい。

 

どうだろうか? ここでくっきりと「仕事ができる人」「一流の人」をイメージできたならば、それはOKである。
きっと、「仕事ができる人」「一流の人」に向かってまい進することができると思うのである。それは、対象となる像があるからである。真似る像があるからである。

 

しかし、私は、多くの人は、(朝早く起きて……、会社に早く着いて……、メールをチェックして……、そして机の上がきれいな人で……、自分の意見をはっきり言える人で……)とそんな共通項らしきものは言えるかもしれないが、その先は行き詰まってしまうのではないかと思っている。

 

しかし、心配はいらない。
実は、私も、毎日のようにビジネス書を読んではいるが、そんなものなのである。
この「仕事ができる人」「一流の人」の正体はけっこう難しいのである。
それは、著者側からすれば、「仕事ができる人」「一流の人」は、自分自身か、あるいは、自分と接した人であるからくっきりとイメージできるが、一般の人にとっては、この「仕事ができる人」「一流の人」は架空の人だからである。
それだから、うまくイメージできないのである。

 

しかし、「一流の人」はともかくとして、「仕事ができる人」は、私たちの周りに本当にいないのだろうか? 真似るべき対象の人は本当にいないのだろうか?
実は、わたしたちは、ある人のことをイメージしているのではないだろうか。
それは、「仕事が集中する人」である。
わたしたちの頭の中には、「仕事が集中する人」は「仕事ができる人」ではないかと認識が薄々あるのではないだろうか?

 

私は今から1年以上も前に「仕事はできる人に集中する」というブログを書いた。
驚くことに、それ以来、毎日このブログへのアクセスは絶えないのである。
私は、この現象は、私が推測するように、多くの読者の頭の中には、「仕事が集中する人」が「仕事ができる人」ではないかという認識があるからだと思っている。

 

そして、重要なことは、「仕事が集中する人」ならば、私たちの周りに必ずいるのである。
得体のしれない像を追い求めるより、実体としての像が存在するわけである。
それならば、この「仕事が集中する人」をマークしない手はない。

 

そして、実はこの「ビジネスマンの生き抜く技術」は、「仕事が集中する人」をマークしているのである。
私は、今まで「仕事の質にこだわるより、とにかく仕事の量をこなす」ということを述べてきたつもりである。
どうだろう? 「仕事が集中する人」は「仕事の量をこなす人」ではないだろうか?

 

そして、実像を上手くイメージできない「仕事ができる人」を追い求めると、眼はどうしても、仕事の質、あるいは特別なやり方に向きがちになる。
それでは現実感が伴わないから、いっこうに打開策にならないのである。
それよりも、現実の像がいるのである。
この「仕事が集中する人」を観察、分析することこそが、「仕事ができる人」を知る入り口ではないかと私は考えている。

 

ここから先は、「仕事が集中する人」について、みなさんと一緒に考えていきたい。

 

 

 

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「なぜ仕事はできる人に集中するか」を理解する

業務遂行編の終わりが近づいた。
ここまでくると、あなたは、今まで不思議に思っていた現象-「なぜ仕事はできる人に集中するか」を理解できたのではないだろうか。
そして、このことが理解できたなら、あなたはこの業務遂行編修了である。
今度は、あなた自身に仕事が集中する。しかし、あなたは仕事が集中しても、どの仕事も立派にやりこなすことができるはずである。

 

もう一度、復習の意味を込めてこの現象を見てみよう。
夕刻、あなたの課長はボールペンの尻で机をコンコンと叩いている。何か考えながら叩いている。
その動作は一定の間隔をおいて繰り返されている。そしてそのポールペンの動きが止まった。どうやら何か決断したようだ。
そして、上司は、部下の席を見て、「〇〇君、ちょっと来てくれないか」と〇〇さんを席に呼ぶのである。
〇〇さんが、課長席にくると、課長はこう言うのである。
「〇〇君、悪いけど、この仕事、君やってくれないか」と。
そして、〇〇さんは、「はい、わかりました」と即答するのである。

 

そのやり取りを見ていたあなたは、「えっ?」と驚く。
「だって、〇〇さん、手一杯じゃないか。課でも一番担当が多い。それに、課長特命で、あの仕事とこの仕事も、今やっているじゃないか」と驚く。
しかし、あなたは違うことも思っている。
「まったく課長も課長だよ。いつも、なにかあると『〇〇君、〇〇君』とそればかりじゃないか。えこ贔屓して……」
あなたはおもしろくないのだ。心の底では、「そんな仕事、オレだってできるのに」と思っている。

 

これがサラリーマン社会なのである。
仕事ができる人には、これでもかこれでもかと新たな仕事が加わる。
そして、不思議なことに、仕事ができる人は、それをやってしまうのである。
一方、多くの人は、ちょっとでも自分に新たな仕事が回ってこようものなら大変だ。大騒ぎする。
「ちょっと、待ってくださいよ。課長だって今の私の状態わかっているでしょ」と必ず、課長にそして周りの人に聞こえるように言う。

 

いったい、こうした現象はなんなのだろうか?
考えてみれば、時間はすべての人に平等に与えられているはずだ。
にもかかわらず、ある人には次から次に仕事が加わり、それでもその人はやってしまう。そして、ある人は、ちょっとでも自分に仕事が加わろうものなら大騒ぎし、実際に仕事が加わると大パニックになってしまう。

 

この解答は、この例で言えば、課長の決断内容にある。
課長は、悩んだ挙句、なぜ、また〇〇さんを指名したのだろうか?
それは、〇〇さんが、取りかかりが早く、しかも完結力があるからである。
これは課長の立場から考えてみたらよくわかる。
課長は、自分の頼みを早くやってくれる人を求めている。
それはそうである。「いつやってくれるのか」いらいらしながら待たないで済む。
また、当たり前の話だが、頼んだ仕事をちゃんとやってくれる人を求めている。

 

そう、この業務遂行編は、「人は頼んだ仕事への早さで信頼度を決めている」から始まったではないか。
「すぐやってくれる人」は、人を待たせない。人は待つことがいやであり、いらいらするのである。
すなわち、人を待たせない人は、信頼度が高いのである。
だから、課長は〇〇さんを指名したのである。
この「すぐやること」を、私は、仕事の「取りかかり」が早いと表現している。
そして、もう1つ。
このように仕事が集中する人は、1つ1つの仕事に対する完結力を持っている。
完結力を持っているから、やるべきことが同時に並びながら進行することは少ない。
だから、パニックにならないのである。だから、新たな仕事を頼まれても、「はい、わかりました」と即答できるのである。
この完結力のことを私は、「手離れ」と表現している。
もちろん、完結力の裏には、仕事への集中力が存在している。

 

また、こういう仕事が集中する人は、仕事の形を作り上げることが非常にうまい。
早く形を作って、それに肉づけさせて、仕事を完成してしまうのである。
すなわち、この業務遂行編の表現を使えば、仕事が集中する人は、「いつ答案用紙の提出を求められても、提出できる」人なのである。
だから、上司は、安心して頼むことができる。
「おい、あの件どうした?」と聞かれれば、「その件は、いま、こうなっています」と、その時点での解を言えることができるのである。
その裏には、たえず、「やった」という動作が存在する。

 

あなたは今、これらの解をすらすらと言えるのではないだろうか。
これから、あなたに仕事が集中することは間違いない。
そして、仕事が集中する人は、会社から、上司からの評価が著しく高い人なのである。
喜んで、仕事を引き受けてもらいたい。

 

 

ポイント
「仕事ができる人」は信頼度が高いから仕事が集中する。
①信頼度が高い人は、すぐやる。人を待たせない。
②信頼度が高い人は、1つ1つの仕事の完結力を持っている。
 そして、完結力の裏には、集中力がある。
③また、信頼度が高い人は、仕事の形を作り上げることがうまい。

 

 

 

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