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いつもアサーティブでなくてもいい! :『自己主張トレーニング』から

2024.03.24更新

 

アサーションという言葉は、よく耳にするわりに、漠然と理解している言葉だ。

多くの人は、アサーションを「自分の意見や欲求を表明する権利」と捉えている。

 

 

だがら、自分の意見はいつもハッキリ表明しなければならないと思うし、意見を受けるほうもシッカリ受けなければならないと身構えるのだ。

 

アサーションを語るとき、はずせない、本家本元の本がある。

ロバート・E・アルベルティとマイケル・L・エモンズが書いた自己主張トレーニング(改訂新版)だ。

 

この本には同名の原著があり、原著の発行部数は130万部を超えている。

 

しかし、アサーションの本家本元ともいえるこの本には、次のことが書かれている。

 

「四六時中アサーティブにふるまう必要はありません。いつも声高に自分の意見を述べるというのでは、聞かされるほうはうんざりしますし、いいことではありません。

アサーティブネスは、自分の行動レパートリーのひとつのツール、つまり重要で必要なときに使えるものにしておきましょう」

 

つまり、アサーティブにふるまうかどうかは、個人の選択の問題であり、常にアサーティブにふるまう必要はない、ということだ。

 

この言葉こそ、みなさんが聞きたかった言葉ではないだろうか?

 

私たちは「いつもアサーティブにふるまうことなんてできない」と思っているからだ。

 

 

自己主張トレーニング(改訂新版)

『自己主張トレーニング(改訂新版)』表紙

現在、新品はなかなか入手づらい状況にあります。

 

この本の真骨頂は、記載内容の変遷にある。

 

じつは、この本の初版は、主に「自分の権利を守る」行動を促すように書かれたという。

 

ところが、「他の人に対する愛情を表現するのもアサーティブネスとは呼べないだろうか」という批判的な書評があったのだ。

 

それゆえ、人を思いやる肯定的な気持ちを表すことも、アサーティブネスに加わった。

 

つまり、お互いに尊重しながら率直に自己表現できるということだ。

 

この本には、述べたようにタイトルが同名の『自己主張トレーニング』という原著がある(1990年に出版された6版を訳したもの。初版は1970年に発行された)

 

その後も、改訂が行われ、改訂新版は2008年の9版を訳したものだ。

 

改訂新版には、「二十一世紀のアサーティブ・メッセージ」(9章)、「アサーティブに成るとき、成らないときを決める」(21章)、「アサーティブネスが効果的でないとき」(22章)が加えられた。

 

なんと、アサーティブに成るとき、成らないときを決める、アサーティブネスが効果的でないときまで言及されているのだ!

 

その他、本を読み進めるうちに、怒りの表出方法など当初の記述から修正を加えた箇所が多いことにも気づく。

 

 

このことは、何を意味するのだろうか?

 

私たち日本人がアサーションという言葉を耳にしたのは、比較的最近のことだが、アメリカでは歴史が長いということだ。(1950年代から)

実際、著者たちも1960年代後半から、アサーティブ・トレーニングを始めた。

 

私は、この変遷こそ大事だと思うのだ。

アサーションは、その時々の社会に合わせて変化していくことがわかるからだ。

 

 

この本の特徴も語ってみたい。

 

まず、本が厚いことだ。(371ページもある)

それは、この本がトレーニングの本だからだ。

 

アサーティブチェック(第2章)を実施し、「成長記録」(第3章)をつける。

この成長記録はつけ続けなければならない。

 

このことは、

アサーティブネスには、一朝一夕にはなれないということであり、積み重ねが必要だということだ。

もう一つは、アサーティブネスになるには、自分の内部にある不安を除去しなければならない。

また、技法というものも存在する。

それゆえ、この本はステップを踏む構成をとり、厚くなっていると考えるのだ。

 

 

最後に、「アサーティブ」とは何かについて、振り返ってみたい。

 

自己表現のスタイルと考えると、わかりやすい。

 

そのスタイルを、この本は、「きっぱりとして、率直であり、正直で礼儀正しいもの。相手の意見も自分の意見も尊重するもの」と述べている。

 

そして、このスタイルは、権利としても、手段としても留保され続けるのである。

 

このことは、著者の言葉を借りれば、

アサーティブにふるまう方法を知っているということは、アサーティブにふるまうかどうかを選択する自由ががあるということ」という言葉に置き換えられる。

 

 

 

 

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