「仕事は重要なものから取り組みなさい」の落とし穴

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「仕事は重要なものから取り組みなさい」と、我々は、社会人となってからそう言われ続けてきた。
サラリーマンなら、入社時の研修の際に人事部の人から言われたり、初めて配属となった職場の上司から言われた人も多いだろう。
以来、このことが動かざる不文律となっている。
確かにその通りだと思うのだが、実は、わかっているようで、わかっていないことが多い。

 

一つは、なにが重要かという判断である。
こんなことを言うと、「社会人となったら、なにが重要でなにが重要でないかぐらい、自分で判断しなさい」と言われそうな気がするから、なんとなくその判断基準を、自分自身でつかんでいったのではないだろうか。
上司や先輩の言葉に耳を傾け、自分自身でつかみ取ろうとしたのではないだろうか。
しかし、上司や先輩たちは、結構、この言葉を縦横無尽に使う。
たとえば営業部門に配属された場合、上司は、「毎日の営業活動も大事だが、将来を見据えた行動はもっと重要なんだ。そのために、君は販売店開拓を優先しなければならない」と言う。
それを聞いた我々は、「そういうことなのか」と思い、未経験の販売店開拓に取り組んだはずである。

 

「わかっているようで、わからない」もう一つの理由は、実は、「重要なものから取り組みなさい」は、我々が長い間、学生時代に培っていたものと皮膚感覚で異なるのである。
我々は学生時代、長い間、試験という洗礼を浴び続けてきた。
実は、そこで覚えたきた動作は、「重要なものから取り組みなさい」とは違うのである。
あなたも多分、次のような動作を繰り返してきたと思う。
まず、問題用紙をざっと見渡す。
すぐにでも解答できそうなもの、あとでじっくり考える問題等を瞬時に選り分ける。
たとえば、英語だったら、前置詞の穴埋め、単語のスペリング等、簡単なものから手を付け、気持ちを落ち着かせ難問に挑んだはずである。
いきなり難問にぶつかるという動作はしなかったはずである。
これが、社会人となって、「重要なものから取り組め」と言われても、言っていることはわかるが、動作としては馴染めないはずのである。

 

しかし、社会人となった瞬間、我々は上司や会社が言っていることに忠実に従おうとする。
これが学生と社会人との差とばかりに、我々は、その言葉の意味を探るのである。
そして、我々は、この「重要なものから取り組みなさい」という言葉を、「重要なもの以外は後回しにしてもよい」というニュアンスで受けとめてしまうのである。確かに上司や会社はそういうニュアンスを込めて言ったと受けとめるのである。

 

この「仕事は重要なものから取り組みなさい」を、わかったようでわからないような気持ちで取り組んだとしたら、どういう状態になるだろうか?
大小軽重入り混じった課題、やるべきことが横一線に並ぶ。
「重要なもの以外は後回しにせよ」といったニュアンスもあり、やるべき課題が、ずらりと並ぶのである。
それは、よくよく考えてみればわかる。
重要な課題が、そんな簡単に完了となるわけがないのである。
この状態の特徴を一言で示すならば、すぐにでもできそうな簡単な課題も横に並んでいるということである。
そして、この簡単な課題も、将棋の歩が金に成り上がるごとく大問題に発展する危険性を抱えているということになる。

 

こんな状態となったら、まず精神的に追い込まれる。
私はサラリーマンやビジネスマンのメンタルの発生源の一つはここにあるのではないかと考えている。
この問題の解決法は一つである。
それは、学生時代の感覚に従うことでもある。
簡単な問題から手を付け、それをさっさと済ませてから重要な問題に取り組むということである。
ここで、前項で述べた「モグラたたき」の要領がなぜ必要であるかをわかっていただけたと思う。
ビジネス社会では、「モグラたたき」の要領で、まず簡単な問題をポンポンと片づけてしまうことが極めて重要なのである。

 

さて、ここでの考察のとおり、世に言われていることとビジネスの現場での話は異なることが多い。
また、世に言われている原則を読み替える必要がある。
「仕事は重要なものから取り組みなさい」を言い直すと、「『まず、身の回りの簡単な問題を片づけて身軽にしてから』重要な問題にしっかりと取り組みなさい」ということになる。

 

 

(参考) 『サラリーマンの本質』第一議題の中の3.「手離れ」を早く P31~でこの問題を取り上げている。

 

 

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