現場は現場の人にしか本当のことを話さない

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最近、Aハンバーグショップの売り上げ減少の記事がよく新聞の紙面に載っている。

 

実は、私は、2014年1月22日に「ケーススタディ『ベーコンレタスバーガー』」という記事を書いている。

 

私はベーコンが大好きで、ベーコンとレタスのサクサク感がまじりあう味を楽しもうと、Aハンバーグショップで『ベーコンレタスバーガー」を買った。ところが、家に持ち帰ってみると、ベーコンが入っていなかったのである。

 

そして、さらに驚いたのは、facebookで「私も同じことがありました」という投稿をいただいたことである。私だけでなかったのである。
それから暫く経ち、同社の素材の安全性についてのニュースが流れた……。

 
簡単に言うと、一連の記事、そして私の体験と照合すると、業務品質が著しく落ちているということになる。
しかし、この会社は、すぐに業務品質改善に乗り出し、万全を期したに違いないのである………。

 

ただし、業務品質というものはなかなか曲者なのである。
それは、現場でしかわからないものだからである。

 

どの会社も、業務品質に問題が生じたときは、現場の状況をヒアリングし、現場からも報告を求める。
そして、問題の原因を正しくつかんだものと思い込む。
また、本社は本社で、会議を重ね、対策を協議し、レポートにまとめ、社長をはじめとする役員に報告する。
これで、「問題はわかった!」「手を打った!」と思い込むのである。
その後も、本社は現場にヒアリングを続ける。

 

そして、現場は、「最近、こういう意識が変わりました」とか「このように改善しました」とか、「おかげさまで、社員は活き活きと働いています」と答えることが多いのである。
すかさず、本社はそんな現場の改善状況を、役員に報告するのである。

 

しかし、現場では、どういう話がされているだろうか?
「冗談じゃないよ。勝手なことばかり言いやがって」、「報告事項ばかり、多くなって」「これじゃ、本業の方に時間を割けたものじゃない」と仲間内で不平不満たらたらなことが多いのである。

 

しかし、社長などの役員が現場を視察する際には、現場はきれいごとを言い、会社トップ陣は満足しきって本社に戻るのである。
何を言いたいか現場は、意図を見抜いてしまうのである。
報告用ならば、報告用の答案を書こうと思うのである。

 

そして、重要なことは、現場を知らない人には、本当のことを決して言わないことである。

 

話はAハンバーガーショップの例に戻るが、もし、みなさんがこの会社の役員だったら、すぐに業務品質の課題を見抜いてしまうのではないだろうか?
多分、みなさんだったら、現場に「明後日、視察に行くよ。そのあとにヒアリングするからな。社員やパートの人を集めておいてくれ」なんて言わないだろう。
黙って、一人の客になり、行くはずである。
視点は、「この店で、買いたいか、買いたくないか」だけである。 どんな理屈をこねくり回そうが、この店で買いたい気持ちが起こらなければ、人は買わないだけである。

 

そして、みなさんは、店員の忙しさ、店員数、無理に会社から仕込まれたセールストークがないかどうか、また、そもそも商品自体が食欲をそそるものかどうかなどをじっくり見たで、店員の手がすいたときに、「大変だね」と言って声をかけるだろう。
多分、店長には声をかけないのではないだろうか。
また、みなさんの中には、実際に、その店を手伝ってしまう人も多く出てくるのではいだろうか。

 

そして、「これでは、本当に大変だ」と実感するのではないだろうか。
これが、現場視点である。
店の人は、「そうなんです……。もう大変で………」と、本音を話しだすのではないだろうか。

 

忘れてはならないことがある。 それは、現場の人は一生懸命頑張っているということである。
現場の怠慢で品質が落ちることなど、ほとんどないのである。
多くは、会社からの指示をこなせないために、品質が落ちているのである。
要員の問題、労働時間の問題、会社からの施策指示(重点商品の販売・高単価商品の販売・抱き合わせ販売など)、コスト・効率化の指示などで、手いっぱいになってしまったときに業務品質が落ちてしまうのである。

 

 

実は、私には心から尊敬する人がいる。
その人は、拙著『サラリーマンの本質』の中でも触れたが、私が単身赴任していた先の地銀の頭取であった。
その方は、時間がある限り県内の支店に顔をだし、しかも支店長と話すのではなく、パートの女性たちと談笑していたのである。

 

しかし、世の中、この頭取のような方ばかりではない。
日本のビジネス社会では、よく「現場第一主義」「現場が大事」という言葉が使われる。
そして、「私は、現場の人から生の声を聴いた」という経営陣は多い。

 

しかし、本当に現場を知っている人はそんな言葉は使わない。
だいいち、「現場」という言葉を使うこと自体が、自分自身が「現場の人」と距離があることを示しているのではないだろうか?
自分の気持ちが現場にあるならば、まさに自分が当事者なので、そんな言葉を使うわけがないのである。

 

そして、そんな人には、現場は正直に話すことはないのである。 言ってもムダだからである。
心の中で、「どうせ、わからない」と思っているからである。そして、合わすだけである。

 

現場は現場の人にしか本当のことを話さないのである。
ここに業務品質のキーが隠れているのである。
(機会がありましたら、拙著『サラリーマンの本質』の中の「上手くいっているより、上手くいっていないが大切」をお読みください)

 

 

 

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