「苦戦」は人事部言葉である

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企業には人事部言葉というものがある。その代表的な言葉が「苦戦」である。
部下の評価について打ち合わせをしているときに、ある職員を指し、人事部職員は「苦戦していますね」と言う。
つまり、その時点で、上手くいっていない職員、評価が低い職員を指していう言葉である。
それを、あからさまに「だめですね」と言わずに「苦戦していますね」と言う。

 

言葉遣い一つをとっても、人事部の職員は慎重なのである。
よく、現場で、「おまえ、なにやってんだ!」と言うのとは、ちょっと違うのである。
きっと、人事部の職員も、そんな言葉を勤務しているうちに、覚えていくのだろう。

 

そして、この「苦戦」という言葉は、私がいた会社だけでなく、けっこう広く企業で使われている。
しかし、私が不思議でたまらないのは、私は毎日のようにビジネス書を読んだり、セミナーなどの記事に目を通しているが、「苦戦」という言葉に出会うことがないことだ。
これは、もしかすると、ビジネス書の著者やセミナーの講師の多くが一般企業の勤務経験がないからかもしれない。
そうすると、どういう表現になるのか?
「残念な人」「仕事ができない人」という表現になり、その延長線上で「二流の人」という言葉が使われることが多い。

 

しかし、これでは、企業で働くサラリーマンやあるいはビジネスマンはたまったものではないと思うのである。
それは、サラリーマンやビジネスマンはよくわかると思うのだが、決して「仕事ができる人」のすぐ裏側が「仕事ができない人」ではないからである。
私は「苦戦」という言葉は実はあまり好きではないが、また人事部の「苦戦」という言葉の意図は別にして、確かに、「仕事ができる」と「仕事ができない」という間にはその中間状態ーつまり、苦戦している状態があると思うのである。
もっと言うと、みんな一生懸命頑張っているのである。そして、その頑張り方や結果を見て、「仕事ができない人」と一刀両断に決めつけてしまうのは、あまりにも、一生懸命頑張っている人に対して失礼であり、それでは元も子もないと思うのである。

 

私は、長い間、企業で管理職を続けていた。決してオーバーな表現ではなく、その間述べ1000人くらいの人の評価表というものを見てきた。
そして、思ったことは、「仕事ができる人」とそうでない人との差は紙一重であるということである。
それこそ、苦戦している人が、蘇ったという例は山ほど見てきたのである。

 

そこで、私からみなさんにアドバイスがある。
仮に苦戦状態に陥ってしまった場合、ここで自分に大きな負荷をかけないでもらいたいということである。
ここで、ビジネス書を読み漁ったり、セミナーに参加したりして、自分に負荷をかけないでもらいたいということである。
急にジャンプアップを図らないでもらいたいということである。
だいたい、一生懸命頑張っているのに結果がでないというときは、体も心も疲れている時である。
それだけで負荷がかかっているのである。
そんなときに、より一層の負荷をかけると、それこそズタズタになってしまうと思うのである。

 

それに、人が考えたことや人から教えられたことが、自分の血となり肉となることは少ないと思っている。
そうした場合でも自分自身で咀嚼する、自分自身の頭で整理するということが必要になってくる。
ということは、結局は、自分自身の解を見つけるということになってくるのである。

 

こういう苦戦状態に陥った場合は、まず、いったん自分の心を落ち着かせ、整理してみることである。原因を分析してみることである。
そして、たった一つでもかまわないから、原因に「気づく」ことである。
自分で気づいたことは、強みになる。人から教えてもらったものとはわけが違う。一生、その「気づき」を自分で携行していける。人から教えてもらったことは、時間が経てば、いつの間にか消えていることが多いのである。
そして、それに、また新たな「気づき」を一つずつ、つけ足していくのである。

 

むしろ、こういう場合は、心を落ち着かせ、自分を混乱させているものの除去のを考えた方がいいと、私は思うのである。
また、老婆心から申し上げると、こういう場合は、環境を変えるということも選択肢の一つである。辛いかもしれないが、違う部署、違う土地、すなわち転勤希望ということも視野にいれてもらいたいと思っている。
それは、私は、転勤して蘇ったという人を、多数見てきたからである。
きっと、その人たちは、自分の心の整理ができ、環境が変わることにより、0スタートをうまく遂げた人たちではないかと思っている。

 

私は、「苦戦していても、きっと立ち上がれる!」ということを信念として持っている。
ぜひ、「気づき」で頑張ってもらいたい。

 

(参考:拙著『サラリーマンの本質』 :苦戦している人のために書いたつもりである。機会があれば、あなたの「気づき」の参考にしてください)

 

 

 

 

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