知識は自分の中に仕舞い込む

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「守る技術」の最終テーマである。長らくお付き合いいただいたことに感謝したい。
最終テーマは「知識は自分の中に仕舞い込む」である。
あなたは、「守る技術」を読んだくらいだから、相当ビジネス書の類は読んでいるのではないだろうか。
そして読むたびに、「この言葉は使える」「この部分は応用できる」と思い、人に話すときのイメージを持つのではないだろうか。
これはビジネス書に限ったことではない。色々な本を読むたびにそう思うのではないだろうか。
すなわち、本を読むたびに人に話したくて仕方がないということがあるのではないだろうか。
しかし、もしそんなことを人に話した場合、相手はあなたのことをどう思うか考えてみる必要がある。
これが最終テーマである。あなたと一緒になって考えてみよう。

 

外資系コンサルタント出身者が書いた本には、「空→雨→傘」という話が必ずと言ってよいほど載っている。
あなたは、この内容に最初に出会ったときは、それこそ目に鱗だったのではないだろうか。
人に話したいという欲求に駆られたのではないだろうか。
もし、それを人に話した場合のことを例にして考えてみたい。

 

3つのことを考える必要がある。
一番目は話す相手である。
あなたの会社の同期や友人に話した場合は、違和感が少ないと思う。
相手も「オレも読んだ読んだ」あるいは、「それ、どういう意味だよ?」と話が展開する可能性がある。
部下もOKである。「先輩、その本なんていう本ですか」「私も買ってみようかな」という反応もあるかもしれない。
それでは、会社の上の人はどうだろう? 多分、あなたはそんなことを上の人には話さないだろう。
仮に上の人に話した場合は、「なにオレに説教がましいことを言ってんだよ」と面白くは受け取られないだろう。むしろ、「おまえ、頭がおかしいんじゃないか」くらいに受け止められる可能性がある。
職場の人に話す場合は、微妙である。あとで述べる話し方次第だろう。
一般の人にはどうだろう? これは、単純にやめた方がいい。全員が全員、あなたと同じことに関心を持っているわけではないからである。

 

二番目は話し方の問題である。
職場の人に、その内容を披露するという形で伝えた場合は、おそらく「なに知ったかぶりしてるんだよ」と思う人が多いはずである。
仮に職場がある課題に行き詰まったときに、あなたが「実は、こんな考え方があるんだ」と話した場合でも△である。
なぜなら、人は本に書いてあることと実務とは異なることを体で知っているからである。
この場合も、「なに理想論言ってんだよ」「なに青臭いこと言っているんだよ」と思われる場合が多い。

 

三番目は、本当に人に話す本かどうかである。本の内容である。
これが東野圭吾や伊坂幸太郎の本だったら、みんなで共有できる場合も多い。
また誰もが読んだことがある夏目漱石や太宰治などの本は共有できると思う。
あるいは、本のタイトルがテーマを象徴している、近藤麻里恵の『人生がときめく片づけの魔法』、前に評判となった亀田潤一郎の『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』のような本は、みんなの共通の関心事であるから、話は盛り上がる。
ところが、世の中には、思想家の本を、みんなが集まる懇親会などで披露する人がいるのである。
こういう人はよほど鈍い人である。披露したい気持ちはわからなくないが、あきれるといった言葉がぴったりだろう。
そして、ビジネス書の類も、興味のある人には刺さるが、興味のない人にはまったく無関係のものであることに注意する必要がある。

 

さて、ここでなぜ、このテーマを取りあげたかというと、本について話すときは、今まで述べたように、話す相手、話し方、内容自体を十分に考えなくてはいけないが、世の中、そうしていない人があまりにも多いのである。
こういうことを考えずに、とにかく自分が読んだ本のことを人に話したいという気持ちが強い人は、嫌われる。
あなたの周りにもきっと、そうい人がいるはずだ。
様々な感情を人から持たれる。「知ったかぶり」「変な人」「嫌な人」「ピントがずれた人」「見栄っ張り」……
そしてその人自身が違和感を持たれる。
注意しなければならないところである。

 

そして、本当に考えなくてはいけないことは、本は誰のためにあるかということである。
それは、自分自身のためにあるのだと思う。
人によって選ぶ本は違う。また、刺さる箇所も異なる。ということは、一冊一冊の本の意味は人によって異なることを示している。
そう考えると、やはり、本は自分のためにあるのである。
そして、自分が本を読んで「これだ!」と思った箇所は、他の人にも当てはまるかというと、それはやはり違うということは認識しておいた方がいいのである。

 

だが、自分が本を読んで、刺さった部分を人に話したい気持ちは痛いほどよくわかる。
しかし、その前に、その刺さった部分を自分の血となり肉とすることが重要なのではないだろうか。
そして、自分の血となり肉となったことが、初めて他の人に刺さるのではないだろうか。
本の内容がそのまま刺さるわけではないのである。
だから、あなたは、ビジネス書を読んで刺さった部分は、まず自分のものにしていただきたい。
その上で、人に話すのなら、人は受け容れるのではないだろうか。
この「守る技術」も同様である。
あなたが「これだ!」と感じた部分は、まずあなたに実行していただきたい。
その上で、悩んでいる同僚や部下にアドバイスを送るときの参考にしていただきたい。

 

この問題をもっと言うと、知識は誰のためにあるかということである。
それは、人に話すためにあるわけではないと思う。
自分自身のためにあるはずである。
表現は難しいが、まず、知識を自分の血となり肉とするために、自分の中に仕舞い込み咀嚼してもらいたい。
こういう積み重ねが、サラリーマンに限らず重要だと思う。
それは、実力を蓄えるということでもある。

 

最後に、この「サラリーマンの守る技術」の目的は何かということを話しておきたい。
あなたが気づいているように、この「守る技術」は手段である。サラリーマンを生き抜く手段である。
私自身のサラリーマン経験をできうる限り振り返り、「あの時、ああした方がよかった」「今ならこうする」と思うことを考え抜いたつもりである。
私自身の失敗体験、反省材料をベースにしている。
手前味噌にはなるが、考え抜いた手段と思うので、あなたは、この手段、考え方を持てば、立派にサラリーマンを生き抜くことができると考える。
そして、問題はその先である。
世の中では、サラリーマンの成功について色々なことが言われているが、私は、そんな単純で表面的なものではないと思っている。
私は、それは、あなた自身が決めることだと思っている。
しかし、あなた自身が選択する前に、まずは、生き抜く術というものが必要と思い書いたのである。
あなたの活躍とあなた自身の人生が輝くことを、心から祈っている。

 

 

ポイント
①知識は人のためにあるのではない。自分自身のためにある。
②自分が本を読んで感じた部分は、まず自分自身で実行し、自分のものにする。
③人は、あなたが話す本の内容に共感を持つのではなく、知識が血となり肉となったあなたに共感を呼ぶのである。

 

 

 

 

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