お祝い、餞別はこっそり渡す

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長らくお世話になった得意先の課長が、転勤することになった。上司と、その課長を訪問することになる。
あなたは上司からの指示で、デバートで商品券を買い、その会社のロビーで上司と待ち合わせることになった。
あなたは、デバートの商品券売り場に行き、全国百貨店共通の商品券を買った。
店員は、商品券をデパートの包装紙で包装し、小さな手提げ袋に入れてくれた。
そして、あなたは、その手提げ袋を持って、その会社に向かう。
あなたが、その会社に着くと、すでに上司はロビーで待っていた。
ところが、上司はあなたを見るなり、「えッ?」と驚くのである。
あなたは、この上司の「えっ?」の意味がわかるだろうか?

 

実は、わからなくて当たり前なのである。
私自身も、サラリーマン生活で、お祝いや餞別の渡し方など誰からも教えてもらわなかった。
見よう見まねで覚えていった。
しかし、私は、のちのち、誰も本当のところ、正しい渡し方など知らないことに気がついた。
そして、自分で、これが最も適切だろうという方法を考えていった。
それを、あなたにお話しするので、ぜひ、ここは覚えて自分のものにしてもらいたい。

 

上司が「えっ?」と驚いたのは、あなたの方法では、相手先の誰もが、あなた達が餞別を渡しに来たことを、わかってしまうからである。
あなたは、デパートの手提げ袋を持っているのだから、「餞別を渡しに参上しましたよ」とみんなに宣言しているようなものである。
そうすると、受け取る側は受け取りにくいのである。また、私は餞別くらいはいいと思っているのだが、どの会社も、社外の人からものをもらうということにはナーバスになっている。この方法では、相手に迷惑をかけてしまうのである。

 

確かに、デパートの手提げ袋はまずいというところまではいいとしても、それでは、どうするかである。
しかし、前にも言った通り、ここから先は千差万別なのである。誰も本当のところは、わかっていないのである。
おそらく、「えっ?」と驚いたあなたの課長も、「おまえなぁ、商品券は、自分のカバンにしまって、渡すときに取り出せよ」くらいにしか思っていない。
多分、あなたの課長と同様に、カバンに商品券を忍ばせておいて、渡すときに出す、という方法を取る人が一番多いのではないだろうか。

 

結論から言うと、この方法もダメである。
なぜダメかと言うと理由は3つある。
1つは、それでは、「頭隠して尻隠さず」になる。さすがにデパートの手提げ袋はないものの、商品券を包んだ包装紙はデパートのままである。
これでは、お茶を入れに来た先方の女子社員や、帰り際に渡す場合でも、他の社員にこのデパートの包装紙が見られてしまう。
デパートの包装紙を見られた瞬間に、中身は想像されてしまうのである。
2番目の理由は、こうして渡した場合、受け取った人は、それをどうするかいう問題がある。
スーツの内ポケットにでもしまってくれればよいが、そのまま自分の席にデパートの商品券に包まれたものを持ち帰るのは、さすがに抵抗感があるだろう。つまり、困ってしまうのである。
3番目の理由は、いくら包装紙に包んであるといっても、それは商品券という生の状態に等しい。
こういう状態を日本では、むき出しで渡すという。これは相手に失礼なのである。

 

このように私が指摘すると、「よし、わかった」とばかりに、「封筒に商品券を入れ、手渡すばいいじゃないか」と言う人が多いと思う。
この方法は△である。〇ではない。
なぜなら、受け取った相手は、封筒を開けると、いきなり商品券の包装紙を目にするからである。
むき出しよりはましだが、これでは、まだまだ、むき出しの部類に入る。まだまだ失礼なのである。

 

それでは、正解を言おう。
まず、デパートの包装紙に包まれた商品券を、あなたの会社の小封筒に入れる。
私は、いつも思うのだが、会社の小封筒は、この商品券が入るサイズぴったりなのである。上手くできていると思う。
そして、その上で、この小封筒をや会社の大封筒の中に入れる。
そして、その大封筒を渡すのである。
これなら、仮に人が目にしても、あなたの会社の封筒である。しかも、あなた方が帰ったあとも、受け取った側は、その大封筒を自分の席に持ち帰ることができる。 しかも相手に失礼にあたらないということになる。すべて丸く収まるのである。

 

さて、私が不思議に思っていることは、日本を代表する企業の社員であっても、ここで述べた「技」に相当することを実施していることは滅多にない。
せいぜい、大封筒どまりである。そう考えると、こうしたことは、教える対象になっていないと言うよりは、語る対象にもなっていないのではと思う。
「営業とはこういうものだ」と散々、議論したり、研修したりしているのにおかしなものだと思う。
ともかく、あなたはこの「技」を活かし、「あいつ、なかなか気がつくやつだ。気の使いようは半端じゃないぞ」と評価されてもらいたい。
こんな評価が、仕事全体の評価に結びつくことも多いのである。

 

そんなあなたのために、若干、補足しておく。
個人へのお祝いは、できる限り、自宅に送るということを覚えてもらいたい。
そして、昇格等のお祝いで、ちょっと高額の商品券を届けるときは、上司と相談のうえ、自宅に届けてもらいたい。
本人が不在でもいっこうに構わない。
しかし、訪問する際には、必ず事前に電話しておく。きっと家族の人が出るはずである。
そのときは、「〇〇様にいつもお世話になっている△△商事です。このたびは、ご昇格おめでとうございます。ちょっとお祝いの品をご持参したいのですが、××時頃、どなたかご在宅でしょうか」と話してもらいたい。
そうすれば、ご家族の人は、待っているはずである。

 

なぜ、お祝いを自宅に送ったり、届けたりするかは、もう、あなたは理解しているだろう。
やはり、受け側の立場というものもあるからだ。
それに加え、送る側の立場というものもある。やはり、相手先の他の人から、「そうなんだ………、あの会社は。あの人と結びついているんだ」と思われたくないからである。
このように、お祝い、餞別というものは、ちょっとナーバスな問題も含んでいるので、その取扱いには慎重を期してもらいたい。
以上のことを総括すると、表現は悪いが、相手の気持ちに立って、こっそり渡すが基本である。
そして、お祝い、餞別にも、「本当によかった」「本当ににお世話になった」という気持ちが大事である。

 

 

ポイント
①お祝いや餞別は受け取る側の立場や気持ちを大事にする。
②同時に、送る側の立場というものもよく考えた上で、慎重な対応が必要である。

 

 

※ビジネスマナーをとおして「できる人」の考え、行動を紹介
なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

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