「過去はこうだった」とあまり話さない

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あなたの上司はこの4月に赴任してきたばかりだが、あなたは、その上司が顔を変える瞬間を知っている。
あなたが、つい、「この職場は、ずーっとこういうやり方をしてきているんです」とか、「いままで、こんなルールで進めてきたんです」と言った場合に、あなたの上司は反応するのだ。
しかし、あなたにも言い分がある。それは、上司の提案が、今の職場のやり方やルールを変えるものであり、違和感を覚えることが多いからである。
もっと言えば、突飛な提案に思えてしまうのである。
そして、あなたは、「別にそんなことしなくても、いいじゃないか。この課の事情も、まだよくわかっていないんだから………」と思っている。
もっと、心の内を素直に表現すると、「まったく、毎回毎回うるさいな。ほうっておいてくれよ」と思っている。

 

この問題を、一緒に考えてみよう。
この問題を考えるとき、忘れがちなことがある。
それは、確かに、あなたの方が上司よりこの職場での勤務は長いが、それ以前の経験は、上司の方が、あなたや周りの人よりも多く持っているということである。
また、今は、違う会社の人や業界の人が、上司の座につくこともある。この場合も、これらの人は、確かに今の会社での勤務経験はないが、この会社に入るまでの経験を、あなたや周りの人よりも持っているということである。
あなたは、「それが、どうした?」と言うかもしれないが、
忘れてはいけないことは、これらの人は、比較する対象をもって今の職場に来ているということである。
だから、今の職場に来た瞬間に、「あれ?」とか「これは、おかしいぞ」という感覚を持つのである。

 

実際、私も、転勤を重ねてきたが、同じ営業部門といっても、「これほど違うのか」と、新しい職場に顔を出したその瞬間に思ったものだ。
「店の雰囲気が違う、店のレイアウトも違う。店の飾りつけも違う。職員たちの机の配置も違う。職員たちの顔つきも違う………」といったこをと、一瞬のうちに感じ取ったのだ。
そして、この職場がどういう職場なのかも、だいたい、そのときにわかったのである。

 

そして、もう一つ理解しておかなければならないことがある。
それは、管理職の使命といったものである。
管理職は、新たな職場で、組織運営を通じて組織の役割を果たさなければならないと思う。
そして、管理職は、このことを頭の中で反芻して、そのためには、改革すべきところは改革し、直すべきところはしっかり直していかなければならない、と思うのである。
だから、多くの場合、赴任した瞬間、もしかしたら、赴任する飛行機の中、電車の中で、あるいは、異動通知を受け取った瞬間から、この「改革」という2文字は、頭にあるのである。
これが、部下とは異なる点である。
そして日本のサラリーマン、なかんずく管理職はみな真面目であるから、着任早々から、実際に改革に乗り出すのである。
会社側からすると、これが異動の目的の1つなのである。

 

どうだろう? 管理職には、比較対象するものがあるということ、使命感というものがあることを、わかっていただけたのではないかと思う。
しかし、あなたは、「それでも、うるさすぎる………」と言うかもしれない。
確かに、管理職によって、こういう思いを、ストレートにぶつける人と、組織に慣れ親しみながら、徐々に自分の思いを実現させていく人がいる。
言ってみれば、管理職によって、器用、不器用というものは確かにある。
多分、あなたの上司は、前者のタイプなのだろう。
それで、組織全体から抵抗を受ける管理職も、サラリーマン社会には山ほどいる。

 

しかし、重要なことは、どんな管理職であれ、こうした「現状を変えたい」「改革したい」という思いは持っているものだということは理解しておいてもらいたい。
そうすると、部下側も、意識を変えなくてはならないのである。
「今まで………」と思う気持ちは、過去のことだったと割り切る気持ちも必要なのである。
しかし、私は、自分自身からの経験から、そう割り切ることが、いかに大変かということもわかっている。
なぜなら、確かに、「今まで通り」の方が、慣れ親しんでいるせいもあり、やりやすいからだ。
それを変えることは、また新たなルールを覚えなくてはいけないという気持ちと、ひょっとして負荷も増すのではないかと考えるからだ。

 

だが、この慣れ親しんできた今のやり方、ルールは、本当に効率的なのか、本当に適切なのかという問題は、管理職を受け容れる受け容れない問題とは、別次元の問題である。
このことも理解しておく必要がある。
そう思えてきたら、新しい管理職と一緒に、組織目標実現のため、最適な方法、ルールを見つけるという気持ちも持ててくるのではないだろうか?
気持ちを整理するのは難しいかもしれないが、ぜひ、トライしてもらいたい。

 

そして、非常に現実的な話になるが、あまり、過去のルールに囚われたり、今までのやり方ばかりを話すと、新たな上司から、「過去のことばかりにこだわる人」とのレッテルを貼られ、異動対象となってしまう。
つまり、新しい管理職のパートナーから外されてしまう。
世知辛い話だが、こうして、異動対象となる部下は、サラリーマン社会には実際、山ほどいるはずである。
非常に難しいことだが、新たな管理職が着任した瞬間に、今までのことは、過去のルールと割り切り、一緒に頑張る気持ちが必要である。

 

 

ポイント
①多くの場合、上司は、今の職場と比較する対象を持っている。経験である。
②また、上司は、組織運営者としての使命感を持っている。
③そのことから、現状に疑問を思い、改革しようと考える。
④そして、やり方、ルールの見直しは、上司を受け容れる受け容れないとは別次元の問題である。

 

 

 

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