全部を話そうとすると上手く話せない

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あなたは、いつも上司に報告する前に、「これははずせない」という項目と内容をメモに書いておく。
そしてそのメモをチラチラ見ながら、上司に報告する。
ところがである。上手く話せないのである。自分でも何が何だかわからないような、まとまりのつかない報告をしてしまうのである。
そんな経験はないだろうか?

 

非常に現実的な表現になるが、「報告下手」の人は、等しくあなたと同じ特徴を持っている。
しかし、安心してもらいたい。これには対処法がある。
その対処法を考えるうえで参考となる次のシーンを思い浮かべてもらいたい。
それは、結婚式のスピーチの場面である。

 

あなたは、友人や部下の結婚式でスピーチを頼まれることがあると思う。
そんなときは、きっと、自分と新郎あるいは新婦の出会いに始まり、一緒に経験したこと、職場、旅行、飲み会でのエピソード、また新郎や新婦の意外な一面、………色々なことを思い浮かべるはずだ。
そして、思い浮かべたことをなるべく多く披露しようと思い、メモに取り、披露宴に臨む。
しかし、いざスピーチを始めると、調子が出ないのである。なにか話せば話すほど、なにを言っているのかわからなくなるのである。そして、会場の人もシーンと聞いている。あなたの話は、受けないのだ。
あなたは、焦る。そして、会場の静けさに耐えられなくなる。

 

これは、あなただけに起きる現象ではない。実は、あなた自身も聞き手として経験していることでもある。
それは、同じく結婚式の披露宴で、あなたが、主賓と称する人のスピーチを聞いているときに感じ取っている。
世の中には、聞いていて、嫌になるほどスピーチが下手な人が多くいるのである。
そして、下手な人ほど、話が長い。本人は、いい話をしていると思っているのだろうが、あなたは、「よくこれほど、つまらない話を続けられるものだ」と妙に感心する。
そして、その感心のあとに、「もう、いい加減に終われよ!」と心で叫んでいる………。

 

それでは、人に受けるスピーチとは、どんなスピーチだろうか?
もしかしたら、あなた自身も経験しているかもしれない。
それは、「今日はこれでいくぞ!」と、エピソードなりテーマを2つ、3つに絞ったときに生まれる。
あなたも、話すべきテーマが、2つかせいぜい3つだから、余裕をもって話すことができる。
そして、その余裕が間合いを生む。この間合いのときに、会場の人はどっと笑うのである。
あなたは、「えっ? こんなところで笑いが起きるの?」と思いつつも気をよくしてスピーチを続ける。そうすると、また、会場からどっと笑いが起きるのである。

 

この結婚式のスピーチの話はなにを意味するのだろうか?
それは、話下手の人は、テーマを詰め込みすぎなのである。
テーマを詰め込みすぎると、「これも話さなければならない。あれも話さなければならない」と気が焦り、上手く話せないのである。
これは、今回のテーマの報告でもまったく同じである。
「これも報告しておこう。あの件も話しておこう」と思うと、ろくな報告にならないのである。
しかし、あなたは、こんなことを言うと、「それはおかしいんじゃないか。結婚式のスピーチと違って、報告するものは、やはり報告しておかなければならないはずだ。話しておかなければならないものは、やはり話しておかなければならないはずだ」と反論すると思う。
その通りであるが、報告の仕方が下手なのである。

 

しかし、コツがある。
もし、あなたが、報告すべき内容を前もってメモにしておく習慣があれば、そのメモの点検から始めてもらいたい。
ここもことわっておくが、報告の前にメモを取っておくことは大変いいことである。
しかし、そのメモの取りかたが非常に大事なのである。
あなたは、報告しようと思うことを、多分、①とか・を打って、項目別に分けていると思う。
しかし、その項目や内容を文章にしていたならばダメである。
文章で書いてあるものを、報告の最中に再現できるわけがないからである。
もちろん、あなたは、その文章をそのまま読むことはしないであろう。しかし、それでもダメである。
眼が追っている、頭が追っているのである。こんなところから、報告はぎこちなくなる。
メモに書くならば、①〇〇君の昇格 ②今月の売り上げ見込み ③××商事の件 くらいの簡単なメモがいい。
これだったら、口頭の中で、自分の言葉で話せるからである。
要は、文章にしてしまうと、その文章に頭が引っ張られてしまうのである。ここにぎこちなさが生まれるのである。

 

もう1つ。
メモに記載してある項目自体が多すぎることはないだろうか?
あなたは、報告前にメモを取るくらいだがら几帳面なはずだ。
きっと、心配なことは、全部話したいのであろう。
そして、ここにもコツがある。
結婚式のスピーチではないが、その中で、重要なものを3つまで抜き出して1枚の紙に書いてもらいたい。
そして、残りを2枚目に書いてもらいたい。すなわち、紙を分けるということだ。
紙を分けたら、報告では、1枚目の紙に書いてある重要な項目の説明に全力を尽くしてもらいたい。
そして、いったん、その重要な報告を完了してもらいたい。ここが重要である。

 

そして、重要な報告が一段落したあとの、報告をする側も受ける側もほっとする瞬間を待ってもらいたい。
こんなほっとした瞬間のあとには、あなたの上司は、「他に気にになっていることはないか?」「他に、話しておきたいことはないか?」と必ず聞く余裕を持つものだ。
あなたは、そのときに2枚目の紙を出し、「実は、こんなこともあるんです……」と切り出すのである。
これを、最初からのべつ幕なしで報告していたら、報告する方も集中できないし、受け手も集中できず、うんざりしてしまうのである。
これでは、報告の目的を達成できないのである。そしていい決定など望むべくもないのである。

 

しかし、心配性のあなたは、「報告のあとのほっとした瞬間が生まれなかったらどうするんだ?」と言うかもしれない。
ここにも奥の手はある。
そのときは、さっき書いた2枚目の紙を、上司に見せ、「他にも、こんなことを心配に思っています」とか「他にもご報告したい項目を書いてきたんですが……」と言えばいい。
ただし、その際には、「お時間よろしいでしょうか?」「この件につきましては、改めてご報告しましょうか?」と配慮を見せることが必要である。
そして、多くの場合は、上司から、「続けてくれ」とか、「いいよ、話してくれ」と言われるのである。

 

ぜひ、試してもらいたい。
結婚式のスピーチでも報告でも、多くを詰めすぎたらダメなのである。

 

 

ポイント
①上手く報告したいと思ったら、結婚式のスピーチを頭に描く。
 テーマを詰め込みすぎると上手く話せない。
②また、報告の際に用意するメモも、極めて簡単なものにする。
 文章にすると、眼と頭がメモを追い上手く話せない。
③報告する項目が多い時は、紙を2枚に分ける。
 1枚目は、絶対に報告しなければならない重要なものに絞り込む。2枚目は、状況を見て話すメモとする。

 

 

 

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