まずは結果に直接関係する事実を報告する

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あなたは腑に落ちないことがある。
それは、あなたは、色々なビジネス書を読んで、「事実」がいかに大切かを知ってはいるが、報告していてなにかしっくりこないのである。
あなたは思う。
自分は、ビジネス書に書かれている「空(事実認識)→雨(状況解釈)→傘(行動・提案)」の区分けをしっかり実施して報告しているはずだ。
そして、ビジネス書がよく言う「ファクト! ファクト! ファクト!」を自分の行動基準の拠りどころにしている。
なのに、報告していて自分もしっくりこないし、上司も、なにか「聞いてやっている」という感じなのだ。
なぜだろう? 「オレは報告下手なんだな」とつくづく思う。

 

さて、この問題を共に考えよう。
私は、前項で、世に言われていること、本に書いてあることをそのまま鵜呑みにしてはいけないと言った。
自分の頭で咀嚼することが必要なのである。
ここも前もってことわっておきたいが、マッキンゼー出身のコンサルタントがよく言う「空→雨→傘」の論法は、あっている。報告に必要な技術である。
しかし、問題はその中身なのである。実務ではその中身が問題なのである。
こう言うと、多分あなたは食って掛かる。「それはおかしい。事実は事実だろ。なにが中身だ!」と。

 

あなたがそういうのも無理はない。
あなたは勉強家でビジネス書をよく読んで、「事実」がいかに大切かを頭に染みつけている。
そして、それ自体は、大変結構なことである。
しかし、一方で、入社以来、「受け手が的確な判断をするために、限りなく事実をそのまま報告しなさい」とも教えられてきたのである。
つまり、「事実」がいかに重要であることは、頭に刷り込まれているが、どのように事実を表現するかは、結構、漠としているのである。

 

こんな例を題材に共に考えてみたい。

①あなたは、昨日、午後3時に大手町の××商会を訪問した。
②××商会は先月、神田から大手町に移転したばかりである。
③事務所移転に際して、会社から移転祝いの生花を送った。
④経理部の富田課長と会った。
⑤富田課長には先日、課長にも会っていただいている。
⑥30分も待たされた。
⑦富田課長は、いつもと違いなにかよそよそしい態度だった。
⑧あなたは、富田課長に「あの件、どうなりました?」と聞いた。
⑨富田課長は、その件は、すでに田島部長に稟議を回してあると言った。
⑩あなたは、富田課長に「田島部長に会わせてください」と頼んだ。
⑪富田課長は、「田島部長は、静岡に出張でいないよ」と答えた。
⑫富田課長は、そう言うとさっさと席を立ってしまった。
⑬あなたは、仕方なく1Fのロビーに降りた。
⑭あなたは、そこで、ライバル社らしい人がロビーのスツールに座っているのを見た。

 

以上はすべて事実だとすると、さあ、あなたは、どんな報告をするだろうか?
ここは、意見が分かれるところである。
「全部、そのまま、報告しなさい」と言う人と、「直接結果に関係することを話しなさい」と言う人と。
確かに、すべて報告した方が、経緯はわかる。
しかし、すべて報告しようとすると、また、そこに色々なことがつけ足されることが多くなるのである。
実際に、みなさんは、結構そんな経験をしているのではないかと思う。
この現象は、頭が、「事実、事実」と考えると、事実を全部吐き出さなくてはいけないような気持ちになるからだと思う。
そして、私は、これが「余計なことを話す」源のような気がしてならないのである。

 

色々な本では、「余計なことはそぎ落として話す」「結論と関係がないことは話さない」、そしてそのために、「事実のみを報告する」というようなことが書いてある。
実は、そのこと自体は、みんな十分にわかっているのだ。
しかし、結果として余計なことを話してしまうのは、この「事実」の話し方にあるのではないかと思うのである。

 

私は、あなたが事実をしっかり捉えて話しても、なにかしっくりこない。そして受け手である上司が「聞いてやっている」と思えるのは、「事実」が頭でっかちになっているのではないだろうか。
つまり、事実を最初から全部話そうとしているからではないだろうか。そんな気がするのである。

 

それでは、どうしたらよいのであろうか?
私はこう思うのである。まず、結果と直接関係がある「事実」を選び、それを報告する。
先の例で言えば、結果は、「契約は今月、間に合わなかった」ということであるから、まず、④の富田課長と会った。 ⑨の富田課長はすでに稟議を田島部長に回してある。 そして⑪の田島部長は静岡に出張している。 の3点くらいに絞り報告すべきだと思うのである。

 

そして、その報告が済んだら、
「ちょっと、気になることがあるんです」と言い、富田課長のよそよそしい態度や、ライバル社の人を見かけたという報告を切り出せばいいと思うのである。
つまり報告を区切るのである。
それを、最初から、全部、物語のように、「事実、事実、事実」を話してしまうと、聞く側も疲れるし、関心も薄れてくる。
まずは、結果に直接関係する事実を報告する。
これが、報告のコツだと思うのである。
あなたも、ぜひ、試してもらいたい。

 

 

ポイント
①みなさんはビジネス書を読み、「いかに事実を話すことが重要か」は頭に刷り込まれている。
 しかし、実務で重要なのは、その事実の話し方である。
②頭が「事実、事実」と考えると、余計な事実まで話してしまう。
 そうすると、聞く側も疲れるし、関心も薄くなっていく。
③事実を全部話そうと思うのではなく、結果と直接関係がある「事実」を選び、報告する。
 これが報告のコツである。

 

 

 

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