相手から追い込まれない

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「ビジネスマンの守る技術⑩」

 

朝、あなたは得意先からの電話を受ける。
上司や周りの人に会話の内容を聞かれないようにひそひそと話す。
「はい、わかりました」「はい、おっしゃる通りです」「はい、気をつけます」「はい、頑張ってみます」………。
「はい」と短い返答だけである。
長い電話を切って、あなたは何もなかったような顔をしてデスクに向かい、また仕事を続ける。
こうした経験はないだろうか?

 

実は、こうした「はい」と短い返答だけでも、上司や周りの人は事態を察知してしまう。
「追い込まれてるんだ」とすぐに察知してしまう。
これは別に社外からの電話だけではない、社内からの電話でも、「ええ、そうです」とか「ええ、頑張ってみます」と、妙に素っ気ない応対の場合は、だいたいが「追い込まれている」ときである。
また、あなたは、こうした電話応対をしている人をきっと見ているはずだ。
そして、こうした対応は、上司がよく見ていて、人事評価面接の場で、突然、「〇〇君、ちょっと仕事の段取りが悪いんじゃないの。よく得意先や社内から督促を受けているじゃないか」と言われるのである。

 

さて、「追い込まれる」ということについて、共に考えてみよう。
なぜ、相手から「追い込まれる」のだろうか?
それは相手の期待に応えていないというようなありきたりの議論はやめて、その原因をよく考えてみる必要がある。
この問題は、「期限」と密接に関係がある。
「追い込まれる」場合の原因のほとんどは、次の2つのどちらかである。
1つは、「期限」を守れなかったことにある。
もう1つは、「期限」を定めなかったが、相手から先に連絡を受けてしまった場合である。

 

実はこの問題の根幹は、「相手はたえず待っている」ということに求められる。
この問題は、私が一番最初に項目を立てた「人は頼んだことへの早さで信頼度を決めている」とまったく同じなのある。
そこで私は次のように記載した。
「頼んだ人は、頼んだ瞬間から、頼んだことへの進捗がブラックボックスになるということを忘れてはならない。
そして、人はこのわからなくなるということに対して不安を持つのである。」

つまり、この問題で言えば、相手は期限を辛抱強く待っている。あるいは、期限を定めなかった場合は、あなたの完了報告を一刻も早く待っているのである。

 

もう少し、この問題を掘り下げてみよう。
「期限」を守れなかったという原因も、2つに分かれる。
1つは、守れそうにもない期限を設けてしまった場合である。
そしても1つは、期限という意識が欠如していたケースである。一言で言えば、厳しい言葉になるが、だらしないということになる。
それでは、「期限を設けなかった場合」は、どういうことになるのだろうか?
「期限を決めなかったのだからいいじゃないか」と思えるかもしれないが、実は、期限を決めなかったことよりまだ悪いのである。
なぜか?
それは、相手が、心の中で、「このくらい時間があればできるだろう」「このくらいの時間で十分だろう」と「期限」を決めているからである。
「期限」を決めていないと思い込んでいるのは、あなただけかもしれないのである。
だから、相手は、「このくらいと思える時間」が経つと督促してくるのである。
ここのところを十分に考える必要がある。

 

さあ、どうするかである。
「そんなの当り前じゃないか。期限さえ守ればいいんだろ。そして、自分ができる期限を相手に伝えればいいんだろ」という答えになるかもしれないが、ここもじっくり考えなくてはならない。
それは、期限を申告するという動作は結構難しいからである。
人はたえず、相手に期限を言うときに、
「こんな日にちを言ったら、相手から『えっ?そんなにかかるの』と言われやしないか」「そんな日にちを言ったら誠意がないと思われやしないか」という感情に襲われるからである。
そして相手の感情と反応を予想しながら、折り合いをつけて期限を言うのである。

 

結論を言おう。
自分の方から期限を言うときは、簡単な依頼ごとは別にして、自分ができると思われる期限に勇気をもって2日足して言おう。
このプラス2日の意味は、決してサバ読むという意味ではない。
世の中突発的なことが忙しい時に限って起きるからである。その不測の事態に備えて2日を足すという意味である。
よくよく考えてみれば、あなたが追い込まれたのも、突発的なことが原因だったのかもしれない。
こういう突発的なことのせいで期限を守れないケースは、ビジネスの世界では極めて多いと思われる。
だから、勇気をもって2日を足す。
もちろん、予定通り完了したならば、相手にすぐに連絡しよう。相手は待っているのだから。

 

そして、もう1つ。
期限を設けなかった場合。それは、「やってみないとわからない」というケースだったのではないだろうか。
そんなケースの場合は、取りかかってみて、すぐに相手にこんな連絡を入れよう。
「いま、やってみたんですが、来週の水曜日までお時間をいただけませんでしょうか」と。
相手は、きっと了解するはずだ。
ここで重要なことは、こちらから連絡するということである。
相手より早くこちらから連絡を取るから、相手は了解するのだということを忘れてはならない。
そして、最後に考えなくてはならないことは、厳しいビジネスの世界で期限がないものなど、ないということである。
こうしたケースでは、やってみた結果次第で、自分から期限を設定すべきなのである。

 

 

ポイント
①「追い込まれる」原因のほとんどは、「期限」を守れなかったか、「期限」を定めなかった場合でも、相手から先に連絡を受けてしまったかのどちらかである。
②自分の方から期限を言うときは、自分ができると思われる期限に勇気をもって2日足して言おう。
不測の事態に備えるためである。
③また、取りかかって時間がかかるようなら、すぐに相手に連絡する。

 

 

 

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