『U理論入門』 

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人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門 人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門
中土井僚

PHP研究所 2014-01-21

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この本の読者層は、ビジネスマン(サラリーマン)が中心になると思うが、ビジネスマンに限らず、様々な人にも十分参考になると思われる。
これから述べる私の感想は、あくまでも長い間サラリーマンを続けていた私自身の視点であるが、多分、サラリーマン全体の視点に近いのではと考える。
また、正直、この本を読んで、面食らう人もいるかもしれない。この点についても、「サラリーマンの視点」に立ちながら、安心を加えながら、解説していきたいと思う。
いつものように本の全体感と読後感を述べてみたいが、実は、本を読み終えたあと、こういう本の書評はどう書くんだろうかとAmazonのレビューあるいは読書メーター等の書評をチラッと覗いてみた。
書評数の問題では決してないが、思ったより書評数は少なかった。書評の対象にはなりにくい本なのだろう。
それはそうだ。U理論という「人と組織の問題を解決する」手法、理論なのだから。
この本の存在は本を読む前から知っていた。facebookの紹介ページを見たからだ。
しかし、その時は、このページのツール等を見てみたが、正直何を言っているかわからなかった。
それを、自分自身でも今、解明しようというのが、この感想である。

 

本題に移ろう。
まず、この本で紹介されている下記フローをすぐに理解できるだろうか?
この本の内容は、このフロー(過程)がすべてといっても過言ではない。

 

U理論の3つのプロセス

1.センシング      ⇒2.ブレゼンシング    ⇒3.クリエイティング
(ただ、ひたすら観察する) (一歩下がって、内省する)  (素早く、即興的に行動に移す)
                  Uの底

 

U理論の7つのステップ

ステップ1 ダウンローディング(Dowonloading) ⇒ステップ2 観る(Seeing) ⇒ステップ3 感じ取る(Sensing)

ステップ4 プレゼンシング(Presencing) ⇒ステップ5 結晶化(Crystallizing)
           Uの底          
⇒ステップ6 プロトタイピング(Prototyping) ⇒ステップ7 実践(performing)
あなたは、直感的にこのフローを理解できるだろうか?
英語もわかったようでわからないのではないだろうか?
結論から言うと、それをわかりやすく解説したのが『U理論入門』である。
私も、読みながら、何度も何度も言葉の定義も含めてページをめくり直した。
しかし、注意すべきは、これは、入門書であり、『U理論』をやさしく解説したということである。多分、原書だと、もっとわからないだろう。

 

さて、私は、サラリーマン経験が長かったせいか、要は何かということを考える癖がついている。
その点から言うと、この本は、本の帯にあるように世界トップクラスの革新的リーダー130人の実体験についてマサチューセッツ工科大学上級講師であるC・オットー・シャーマー博士が分析した結果である。
平たく言えば、現状にとらわれずに、そこからイノベーション(革新的行動)を起こした世界トップクラスのリーダーの思考過程というか、イノベーションに至るプロセスを示している。
いかに過去に囚われず、未来に向かって踏み出すことができるかを示している。
まず、ここを絶対におさえる必要があると思う。
その意味では、私がこのHPで紹介した『ワン・シング』及び『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないか』で成功者の思考、行動といったものを紹介しているが、基本的には手法は同じである。
ひとまず、この点を理解することにより、安心していただきたいと思う。
しかし、『U理論入門』は、過去にとらわれず、未来に踏み出す過程を詳細に記述しているところが大きな特徴である。
また、この理論は、個人のみならず、集団、組織、社会レベルでもあてはまることも大きな特徴の一つである。

(ここで、必ず頭においてもらいたい点は、本の初めに筆者が注意書きしている箇所である。
「本書における『イノベーション』は、技術革新の意味だけではなく、自分や自分を取り巻く状況、コミュニティ、社会にとって意義のある新たな価値を創造し、それらに大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革の意味を含んでいます」)

 

そして、もう一つおさえておかなければならない点は、世界トップクラスの革新的リーダーは、この本を読んだから、あるいは、この理論で革新的な領域に入ったのではない。
彼らは、知らず知らずのうちに、こうした過程を踏んでいるのではないのかというのがこの本の分析なのである。
それならば、この彼らの過程を参考にすべきであるというのがこの本の趣旨と考えてもらっていい。
この点をおさえることにより、また安心してもらいたい。

 

この本を読んで、感じた箇所、思った箇所をが幾つか紹介する。
1つは、PDCAサイクルへの記述である。
計画を立て(Plan)、行動し(Do)、結果を振り返って評価し(Check)、改善措置を実行し(Action)、計画的にフィードバックするという、みなさんおなじみのサイクルである。
これは、現在も多くの企業で実施しているはずだ。組織や人の評価の時、あるいは仕事の振り返りの場面で、このPDCAという言葉は、現在もよく飛び交っている。
しかし、それは、あらかじめ実行する内容を決めていることに特徴があることに、この本を読んで気づいた。
多分、その実行からだけでは解決できないものがものすごく多く、まさにそこが問題なのだと思う。
ちなみに、『U理論入門』では、PDCAサイクルを「過去からの学習」とし、それに対比する形でU理論を「出現する未来からの学習」として紹介している。

 

2つ目は、第五章「U理論の実践【ペア・チーム編】」の中の第2節 「子育てをめぐって葛藤する夫婦の例」、そしてその解答ともいえる第7節 『ペア・チームのUプロセス実践のコツ」である。
ここで、本をこう記載している。「そのコツは、『なぜ、その主張をするのか?』と理由を聞くのではなく、『その主張にたどり着くに至った具体的なエピソードや状況は何か』と尋ねることです」
確かに、この本の例のように夫婦間の対立が激しい場合、人にアドバイスを求めると、「二人でじっくり話し合いなさい」と言われることが多い。
しかし、二人で主張をぶつけあえばあうほど、溝は深まっていくことが多いと本は書いている。
一瞬、「あれ?」と思うが、この本が言うように、相手とうまくいかないときは、必ず、相手が心の底でくすぶり続けているもの、背景、エピソードというものが存在するのだと思う。ここに至らないと問題は、解決はできないというのは、まさにそのとおりと思うのである。
それを、この本の表現を使えば、相手の目玉となって考える「感じ取る(Sensing)」ということになる。

私は、この「感じ取る(sensing)」までに至るプロセスが、本全体を読んでみて、非常に重要なのではないかと思う。
なぜなら、この「感じ取る(sensing)」の状態まで行かないと、そこから先に進まない。そして、実際は、ここまで「感じ取らない」から、問題がくすぶり続けていることが多いと考えるからである。

 

3つ目は、この本の最後、第6章 「U理論の実践【組織・コミュニティ編】」にたどり着いて、「ああ、この本は、過去に囚われず、未来に向かって踏み出す解決法なんだな」と何かほっとしたような気になった。
そこには、微に入り研修のやり方、実際の研修例が記されている。
多くのサラリーマンは、この章に至るまで、自分と自分を取り巻く環境、職場や家庭を頭に描いて、それと比較し、考えながら、驚きながら進んできたと思う。
この研修という言葉に触れると、サラリーマンは、入社以来研修というものを多く経験しているだけに、低次元の話ではあるが、ほっとするのである。
しかし、我々が今まで経験してきた研修は、最近は、みんなで意見を出し合う、議論し、その結果、解決策を考えるという方式に移行してきてはいるが、内容が全然違う。従来の方法では、本当の解決に向けて踏み出すことはできないということを改めて知った。

 

全体を通して、この本は、難しいと思えばそう思えるし、もっと直感的に捉えようとすれば捉えられるかもしれない。
例が悪くてお叱りをいただくかもしれないが、例えば、会社から家に帰る電車の中で、ぐっすり寝てしまった。電車が駅に止まる瞬間に目が覚める。 そしてその時、パッと駅を見る。「あれ、自分が毎日乗り降りしてた駅って、こんな駅だったか? 」と思う時がある。
今まで見慣れた駅とは違った何かを見たような気がするからだ。
また、日常生活の中で、ふとあることに気づくことがある。それは、「あの人が言っていたのは、実はこういうことではなかったのだろうか」と思うときもあるし、悩んでいた問題の違った糸口を急に思いつくこともある。
次元は異なるかもしれないが、過去からの脱却ということは、感覚的には、こんなことなんじゃないかと考えてみた。

 

最後に、この『U理論入門』のfacebookページ「U理論公式ファンページ」https://www.facebook.com/theoryu をご覧になることをおすすめしたい。
そしてサラリーマンなら比較しないと心が落ち着かない人もいると思うので、その時には、私のfacebookページ「『サラリーマンの本質』全く新しい視点のビジネス書誕生」https://www.facebook.com/shinyurisouken と比較していただきたい。
次元は異なっているかもしれないが、実は、共に「感じ取った(Sensing)」ことを題材にしているのである。

 

 

 

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