『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』 

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GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本) GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
アダム グラントAdam Grant

三笠書房 2014-01-10

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この本を買った人は、「あたり」をつけて買ったのではないだろうか。
なぜなら、『GIVE&TAKE』という本の題名を見ただけで、おおよそのことが頭に浮かんだと思うからである。
そして、多分、GIVEの方にウエイトがあり、その内容を知りたくて買ったのではないのかと思うのである。
実は、私もその一人である。
そのこともあり、この本は、スーッと頭に入っていくのだが、382ページもある本であり、様々な事例と実験結果が詰まっている。

 

本の帯によれば、著者は、世界NO1ビジネス・スクール「ペンシルベニア大学ウォートン校」の史上最年少終身教授である。そして、この本はアマゾンUSリーダーシップ部門第1位、フォーチュン誌の「読むべきベスト・ビジネス書」ということだから、大変な人気だった本ということになる。

 

さて、著者は、人間の思考と行動は3類型であるとしている。
3類型とは、「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッチャー(バランスをとる人)」である。
すんなり入っていける区分けである。
多分、自分も含め、われわれの周りを見渡すと、人はこの3類型のどれかにきっと入ると思う。
そして、この本を読みながら、自分の周りの人を頭の中で、きっと分類していくと思う。
最初は、「ああ、あの人は、やっぱりテイカーだよな」「あの人はギバーだな」「あの人はギブとテイクのバランスをいつも考えているからマッチャーだ」………というところから始まり、
本を読み進めるにつれ、「あの人ひょっとするとテイカーかもしれないぞ」「あの人は、意外とギバーかもしれない」と思いが巡っていく。
実際、この本を読んでみると、世の中、ギバーのフリをしたテイカーもいることに気づく。
また、みなさんの周りを見渡して、よく考えてみると、ギバーのような発言をしているけれど、実は受け取ることを主軸にしている「ちゃっかりテイカー」もきっといることと思う。

 

そんなことを頭に描き、もう一度自分の周りの人を考えてみるだけで、十分にこの本の意味はあると思うが、私は、「なるほど」と思う箇所に何度もぶつかった。
それは、テイカーや、マッチャーは、ある枠の中で、自分の利益に預かったり、お返しをしたりしているということである。
この枠自体(本ではパイという表現)が広がっていないこと、新たな価値というものを生み出していないことをこの本から教わった。
本は、この状態を価値を交換しているだけとしている。(P105)
パイを広げ、新しい価値を生み出すことができるのはギバーだけである。

 

また、本の中で、しばらく会っていない人にe-mailや連絡を躊躇なくできるのはギバーだと言っているが、これもそうだと思う。
テイカーだったら、しばらく会っていない人は、最早、自分のテイクの範囲外だし、マッチャーにとってみれば、そんな気が引けることはしないだろう。
人に与え続けたギバーなら、そんなことを思うこともなく、できるのだろう。

 

この本の中で、非常に参考になったのは、「責任のバイアス」という内容だった。(P141~)
そこにこんな記述がある。

「それぞれのカップルに夫婦関係への具体的な貢献度合いをあげてもらうと、自分がしたことは11個思いついたのに、相手のしてくれたことは8個しか思いつかなかった。
………『責任のバイアス』は、ほかの人の貢献より、自分の貢献に関する情報のほうが多い場合に起こることを思い出してほしい。お互いの貢献度を正しく評価するカギは、『他人がした貢献に注目すること』である。それには、自分自身でやったことを評価するまえに、相手がしてくれたことをリストにするだけでよい」

 

「人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない。」(P152)

 

自分がほかの人より優れていると思う人、そして自分だけが組織に貢献している、頑張っていると思っている人はテイカーの証拠である。
その人は、他の人の協力があることを知らないのである。
そして、こうしたタイプの組織の長はよくこう言う。「うちの〇〇と同じようなことを言う」と。
つまり、その組織の長にしてみたら、その〇〇さんは、自分の眼から見たら、貢献が低いからそう言うのである。
しかし、本当にそうであろうか?

 

本は言う。「自分の知力にだけ頼った、一見、個人の力が大きい仕事でも、成功するかどうかは自分で理解している以上にほかの人びとの協力にかかっているのだ」(P125)

 

こういう人は、自分だけではないということを早く知らなければならないと同時に、そういう眼で人を見ることをやめた方がいいと思う。
自分を中心に考えるから、人がやっていることがわからないし、人を評価する気にならない。
そして、こうしたことを言ったり、人を評価しないもう一つの理由にテイカー独自の警戒感がある。

 

本は言う。「テイカーは、自分がほかの人より優れていて、別格の存在だと考える傾向がある。だから他人に頼りすぎると、守りが甘くなってライバルに潰されてしまうと思っているのだ」(P130)

 

おわかりのように、ギバーは、みんなのパイを広げること、みんなの価値を増やすことを目的としているので、このような考えを持たないし、こうしたことを言わないのである。

 

巻末近くの、下記記述は、この本の締めくくりでもある。
「……ギバーは成功を、他人にプラスの影響をもたらす個人的なものだと考えるのだ。この成功の定義は、働く人の雇用スタイル、評価、報酬、昇進のやり方を根本から変えてしまう。個々の従業員の生産性だけでなく、この生産性が周囲の人びとに与える影響にも注意を払わなければならないということだ。成功のイメージが、『個人の業績+他人への貢献度』で成り立つとすれば、職場でもギバーになる人が増えるかもしれない。テイカーもマッチャーも、個人と共同体両方の利益を高めるため、他者を思いやらざるをえないだろう」

 

ぜひ、この本を参考にしていただき、自分や自分の周りの人は、ギバーなのか、テイカーなのかマッチャーなのか考えてもらいたい。
きっと、意外な真実がわかってくると思う。
また、こうしたことを考えることは、非常に意味あることだと思うのである。

 

 

 

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