『稼ぐ力』:「仕事がなくなる」時代の新しい働き方

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稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方 稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方
大前 研一

小学館 2013-09-05

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私たちは、今、新聞の記事を見て、「日本は以前は莫大な貿易黒字国であったために、あれほど貿易摩擦で叩かれていたのに、なぜ貿易赤字国になってしまったのか?」と思っている。また、大企業のアジアなどでの現地生産の記事を見るのも、もう当たり前になっている。また、毎日、中国や韓国企業の記事も目にしている。そして、そんなことを思いながら厳しい格差社会を生き抜いているのである。
しかし、そもそも、なぜ厳しい格差社会になってしまったかについては、漠然としか考えていない。

 

実は、日本の現在の社会や経済の構造上の問題、日本の置かれた環境こそが、ビジネスマンにとって厳しい時代、そして格差社会を作りあげているのである。
その「原点」を知る格好の本が本書である。
まず、本書の構成を見てもらいたい。

 

まえがき 日本企業は今、何に苦しんでいるのか
第1章 <現状認識Part1>日本企業は今、なにに苦しんでいるのか
第2章 <現状認識Part2>これからの日本企業に必要な人材とは
第3章 <新しい働き方研究> 世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか
第4章 <企業経営分析>   産業”突然死”に備えるケース・スタディ
第5章 <人材教育>     求む! 日本と日本企業を強くする新世代人
あとがき この国をダメにした「偏差値」を廃止せよ
[特別英語講座]大前流プラクティカル・イングリッシュ習得法

 

 

「日本のサラリーマンの年収は、この20年間にすべての所得層で約100万円もダウンしている」
私たちは、このことを正しく現状認識していただろうか?

 

また、「日本企業が海外投資を拡大する一方で、海外からは全く投資(すなわち雇用)を呼び込めていない」
「対内投資がなくて雇用が減っている異常な国が日本であること」を、私たちは正しく認識しているだろうか?

 

そして、「事業のIT化やロボット化、あるいはグローバル化が進む中で、従来こなしていた仕事では十分な利益を上げられなくなっているのが現実だ。そのため、どれほど大きな組織であっても、社員一人一人の『能力』と『成果』、言い換えれば『稼ぐ力』が厳しく問われる時代になってきているのである」(P5 まえがきより)

 

注意すべきは、この「まえがき」の十分な利益を上げれない主体は一見、個人=社員のように思えるかもしれないが、企業だと考えることである。
すなわち、企業も、『稼ぐ力』をもった社員がいなければ、利益を上げれることはできず、生き残れない時代だと読むべきだと思う。

 

著者は、「『平均点』の仕事をしていたら会社が倒れる」と言っている。
「仕事というのは、自分で見つけて、自分なりのやり方にかえていくものだ。上司が『A』と言ったら、『A+B』の仕事をこなさなければならない」
また、「人にできないことをやるのが『仕事』」と言っている。
「人にできないことをやるのが『仕事』であり、誰でもできることをやるのは『作業』でしかないのである」

 

注目すべき内容

 

「今こそ『50歳定年制』………会社人生3分割計画」
50~65歳の15年間は、スキルや経験を活かし「本当にやりたい仕事」をやる。

 

「マグドナルド失速真因はここにある」
「いまマックの最大のライバルはコンビニである」

 

この本を読み終えた人の多くは、「結局、この本はグローバル化時代への対応を言っているのだ」と思うかもしれない。「それゆえに英語、しかも実践的な英語力が不可欠なんだ」と思うかもしれない。
それは、著者が常々言っていることだし、やはり、著者の元マッキンゼー日本支社張という肩書の印象も強いからだ。
しかし! そう考えないでもらいたい。
そうでなくては、日本はこのグローバル社会を生き抜けないと言っているのである。
また、企業も、そういう社員がいなくては、生き抜くことができないと言っているのである。
その現状と危機を説明しているのが本書である。

 

今、日本という国、そして企業は、「稼ぐ力」をもった社員がいないと生き抜くことはできない。
そして、この「稼ぐ」という意味を、みんなで真剣に考える必要があるのである。

 

参考までに、著者は、「あとがき」で、「稼ぐ力」についてこう言っている。
「『稼ぐ力』とは、すなわち、余人をもって代えがたいスキルと意欲のある人が持っている力である。出発点は、アンビションであり、目線の高さだ」

 

 

 

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