『大前研一と考える 営業学』

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大前研一と考える 営業学 大前研一と考える 営業学
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 ビジネススクール教授陣 大前 研一 斎藤 顕一 須藤 実和 川上 真史 後 正武 ビジネス・ブレークスルー大学学長 大前 研一

ダイヤモンド社 2011-06-17

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『大前研一と考える営業学』というタイトルを目にして、「えっ?」と思う人は多いだろう。
それは、なかなか大前研一と営業という言葉が結びつかないからだと思う。
しかし、この本は、ブレークスルー大学学長大前研一氏と、ブレークスルー大学大学院の4人の教授によって書かれた営業学の本なのである。

 

この本の目的は、本のサブタイトルにもなっているが、営業のプロフェッショナルを目指すということである。
しかし、このプロフェッショナルという意味が、おそらくみなさんが頭に描いている像とは違うと思う。

 

本文中より、イメージが湧くように抜粋しておきたい。
「営業向けのトレーニングを提供している研修会社は星の数ほどあり、そのなかには『営業のプロ人材を作る』といった触れ込みのところもありますが、カリキュラムを見る限り、営業プロフェッショナルではなく、かなり前近代的な『営業スペシャリスト』の育成にとどまっているようです。そればかりか、『頭より体を使え』『営業は売ってナンボ』という暗黙の前提さえ、見え隠れします」(P44)

 

「成功した営業担当者による営業本は、浪花節的な体験談や成功談に終始しがちで、読後三日ほどは気持ちが高ぶりますが、属人性が強いため、まねるのはほとんど不可能です」(「はじめに」から)

 

ちょっと、イメージが湧いたのではないだろうか? 要は営業プロフェッショナルと営業スペシャリストとは違うと言っているのである。
それでは、営業プロフェッショナルとは、どういう人なのだろうか?

 

大前氏は、営業担当者は「ストリート・スマート」になれと言っている。
「ストリート・スマートとは、現場の知識と理論の知識を持ち合わせ、これらをうまく融合し、臨機応変に思考できる人たちのことです」(P14)と言っている。
そのためには、マーケティング・リテラシー(マーケティングに関する体系的な知識)とロジカル・コミュニケーション(論理的に考え、伝達する力)が必要だと言っているのである。
(注:「ストリート・スマート」は、「アカデミック・スマート」に対する言葉である)

 

だいぶ、難しく思えるかもしれないが、要は、これがこの本の目的なのである。
その目的を受けて、本は具体論に入っていく。
目次を紹介しておきたい。

 

第1章 営業のプロフェッショナル化

 

第2章 問題解決型営業のすすめ

 

第3章 営業のマーケティング・マインド

 

第4章 営業のセルフ・マネジメント力

 

第5章 営業チーム力の向上

 

正直、この本は、辛抱して最後まで読んでもらいたいと思っている。
それは、はじめに~第2章までは、外資系コンサル特有のカタカナ言葉を織り交ぜた難しくした表現、そして、顧客主義、営業は顧客に最も近い存在など、内容的にはあたりまえのことを言っているような気がして、多分、多くの人は、ここで嫌気がさしてしまうのではないだろうか。
また、第2章の「問題解決型営業のすすめ」は、タイトル自体が、言いつくされたテーマであり、「なんだ? ………」と思うのではないだろうか。
しかし、「営業のマーケティング・マインド」、「営業のセルフ・マネジメント力」は、私たちは、他の本を読んでも、そんなにお目にかかる内容のものではない。ぜひ、辛抱して、ここまでたどり着いてほしいと思うのである。

 

この本の概要を語ることは、難しいので、みなさんに必ず参考になると思われる個所を3点のみ挙げておきたい。

 

第2章 「問題解決型営業のすすめ」の中で、「顧客の顧客」に関する情報についての記述がある。
これは、私たちは、とかく新規工作先や得意先の情報を収集するが、その顧客の情報を収集することはほとんどないと思われる。
しかし、新規工作先や得意先の顧客の情報を収集すれば、ニーズを発見できるかもしれないのである。
ここは、重要と考える。

 

第4章 「営業のセルフ・マネジメント力」の中の「顧客の代替不可能なパートナーとなる」
考えてみれば、得意先が競合他社に奪われたりすることは、それは、顧客から見れば、代替可能だからである。
ということは、代替不可能な存在になればいいということになる。
そして、私は、このことは、営業に限らず、広く言えることではないかと思う。組織にとっても、会社にとっても、いとも簡単に代替可能な人になってはならないと思うのである。

 

第5章 「営業チーム力の向上」の中から
「営業チームには、個人の成長と全体の業績向上を一体化するような、目的共有のための精神的動機づけが大切である」と言っている。
上記の「個人の成長と全体の業績向上を一体化する」といった部分がキーだと考える。
確かに、この個人の成長の部分が織り込まれていることが必要だと思うのである。また、人材育成の観点からも、このような方式が有効だと思うのである。

 

さて、この本を読んだ読者が正直思うことは、「5人の執筆者は、ほとんど一般企業の営業経験がないのに、よく………」ということではないかと思う。
私は、この本の冒頭の「営業プロフェッショナル」と「営業スペシャリスト」の紹介が、頭から消えないのである。
もちろん、この本は、営業担当者にはこうなってもらいたいという内容が書かれてある。
しかし、多くの読者からすれば、この営業プロフェッショナルも、営業スペシャリストも両極端のような気がするのではないだろうか。
私は、「ビジネス書を読むときは、どの世界の話なのかを見極める」(ブログ掲載済)ことが必要だと考えているが、みなさんは、どう思うだろうか?

 

(参考:私も本の中で「営業の本質」について書いているので参考にしてください。 『サラリーマンの本質』 )

 

 

 

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