『図解 マナー以前の社会人常識」

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図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫) 図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫)
岩下 宣子

講談社 2005-09-21

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2005年初版発行ながらマナー本のランキング1位を続けている本である。
なぜ、この本が1位を続けているかに迫りたいと思う。
なお、この本は文庫本なので、送られてきて驚くことがないようにご注意いただきたい。
また、ビジネスについても記載がある。また、全体を通してもビジネスの場面にも十分に役に立つ本である。

 

この本が売れ続けている理由は、私は、著者の「はじめに」の部分に要約されているような気がする。
その部分を紹介しておきたい。
「『どうしたら、人と人とのおつきあいがうまくいくか』に欠かすことのできない生活の知恵、それがマナーですが、本に書いてあることをただ丸覚えすれば安心というわけではありません。それに、『本に書いてなかったので、できませんでした』とお手上げの状態になっては意味がありませんね。いつも、マナーの‟かたち”にばかりとらわれていては、窮屈でつらいですし、丸覚えしたことを型通りにこなしていたとしても、相手の心に響くことはないでしょう。
マナーは、‟かたち”ではなく‟こころ”です。大切なことは、マナーとしてなぜそう決められているのか、その意味をきちんと理解することです」

 

私は、この本が読まれ続けているのは、「マナーは‟かたち”ではなく‟こころ”である」というコンセプトにあると思う。
それは、通常、私たちは、マナーというと、どこか‟かたち”を強いられるものと考えている。
たしかに、マナー本や研修内容などは、その‶かたち”の完成度を問うているような気もする。

 

しかし、‟かたち”を求めていくと、マナー本に書いていないことに遭遇した場合、まったく太刀打ちできない事態が起きる。
また、‟かたち”だけを追い求めていくと、相手の感情まで行き着けないで、裏目に出る、失敗するケースも多い。
それは、拙著『なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか』の「はじめに」に書いたとおりである。

 

そんな読者側の「どこか違う」にこの本は、‟こころ”と理由で答えているのだと思う。

 

さて、この本は、「マナー以前の社会人常識」とうたっていることから、マナーの基本書のような位置づけだと思うが、しかし、私たちはずいぶんと知らないことや、間違って覚えていることがある。
私たちが生活していくうえで、またビジネスをしていく中で、十分に参考になる本である。

 

本の構成
一章 おいしい料理で、楽しい食事
二章 日々の暮らしをなめらかにする、お見舞い、贈答、弔事
三章 恥をかかない日常のふるまい
四章 好感が持たれる言葉づかい
五章 いつも気になる、お付き合いのお金

 

その中で、ビジネスマン・ウーマンの人には、第四章 好感がもたれる言葉づかい が非常に参考になると思う。
下記は正しい言い方例である。

 

〇 「この荷物、預かっていただけませんか」

「もらう」ではなく、自分を相手より低い位置に置いたときの「いただく」が正しい言い方

〇「とんでもないことです(ことでございます)」

「とんでもない」の下に「ことです」「ことでございます」をつけるのが正しい言い方

〇「行ってまいります」

「来る」の自分の位置を相手より下げた言い方、「まいる」を使った方がいい。

〇「申し訳ございません。私どもでは、お取替えはいたしかねます」

「いたす」は「する」の、自分の位置を相手より下げたときの言い方

〇「営業部長の田中様はいらっしゃいますか」

「いる」の敬語は「いらっしゃる」

〇「部長が、くれぐれもよろしくと申しておりました」

「言う」の相手を立てる言い方は「申す」

〇「部長は、休日はゴルフをなさるのですか」

「する」の敬語は「なさる」

〇「部長、今度の週末、秘湯には一人でいらっしゃるのですか」

「行く」の敬語は「いらっしゃる」

 

また、この本のイメージを味わってもらうために、第一章 おいしい料理で、楽しい食事 の中から、参考になると思う個所をピックアップしておきたい。

 

日本料理店にて
・箸の上げ下ろしは、必ず両手で

箸を持ちあげるときと、置くときのことをイメージしてもらいたい。

・割り箸は、扇を開くように水平に割る

箸を立てて割る場合と、水平に割る場合をイメージしてもらいたい。

・お客さまには、塗り箸ではなく白木の箸

塗り箸は何度も洗って使えるということを考えてもらいたい。

・ワサビは、醤油で溶かない

・串物ー具は先に串からはずす

・天つゆの器は、手に持つ

・寿司ーネタとご飯は、挟んで持つ

レストランにて
ご飯は、フォークの腹にのせる

みなさん、ここで「えっ?」と思うのではないだろうか。フォークの背ではなく腹にのせるのである。
レストランで、いかにもこれがマナーのように、フォークの背にご飯を載せていた人のことをイメージしてもらいたい。
これでは、食べにくいに決まっている。

スパゲッティにスプーンは添えない

これは、よく知られていることだが、いかにも、それが優雅な食べ方のようだと思っている人がいる。
私は、食べやすいなら、どちらでもいいと思っているが、問題は、そういう人は、きっと、スプーンを添えないで食べる人を見ると、「スパゲッティの食べ方も知らないで……」と思っていることだと思う。逆なのである。

なお、それと同じようなことがに
・(紅茶やコーヒーの)カップと受け皿は、一緒に持たない
がある。(第三章 恥をかかない日常のふるまい から)

これも、一緒に持つほうが上品だと思っている人がいるはずである。

 

さて、私がなぜ、この本の第四章 好感が持たれる言葉づかい を取り上げたかというと、
先ほどの正解例以外の言葉で話した場合、きっと、相手は「なにか」わだかまりのようなものを感じるからである。
ちょっとした言葉の使い分けだが、相手の感情はずいぶんと異なってしまうのである。

 

それは、言葉づかいだけではない。ちょっと相手の気持ちを思いやるか否かで、相手の感情は大きく変わるものだと思っている。
つまり、マナーの基本は、相手の気持ちにあると、私は思っている。
だから、‟かたち”より‟こころ”だと思うのである。
そして、この‟こころ”は、自分のこころと相手のこころだと思っている。
また、一見型が決まっているマナーも、それを‟かたち”でとらえるのではなく、理由でとらえると、腹にストンと落ちるし、応用も利くと考えている。

 

 

 

2015.09.29発売!

なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

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