『入社1年目の教科書』

このエントリーをはてなブックマークに追加
入社1年目の教科書 入社1年目の教科書
岩瀬 大輔

ダイヤモンド社 2011-05-20

Amazonで詳しく見る by G-Tools

若い人向けの教科書的存在としては、このHPでも紹介した『働く君に贈る25の言葉』(佐々木常夫著 WAVE出版)が知られている。
しかし、『入社1年目の教科書』も、『働く君に贈る25の言葉』に劣らないほど人気があった本である。
この本の特徴は、『働く君に贈る25の言葉』より、はるかに具体的な内容にある。
それは著者がこの本を執筆した当時、35歳であったことも(現在でも38歳の若さでライフネット生命の社長を務めている)大きく影響しているのではないだろうか。

 

この本を手に取った人はわかると思うが、目次だけをざっと見ると、若手起業家や経営者にありがちな、自分の成功体験からの熱い思いというものが強烈に出ているように思える。おそらく「またか………」と感じる人が多いと思うが、本を読んでみると、そんな印象は吹っ飛ぶのである。
丁寧に丁寧に、わかるようにわかるように、そして熱意を込めて説明しているのだ。
そして、著者自身は、東京大学法学部在学中に司法試験に合格し、卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、その後ハーバード経営大学院を卒業したものすごいエリートにもかかわらず、本を読んでみると、そんな感じは受けない。
よく外資系コンサルタントが書いたビジネス書を読むと、「外資系コンサルタントの世界では………」と、見方によっては、人を見下したような表現が出てくるが、そんな変なおごりなど感じさせない。
この本は、そんなことより、少しでも若い人に参考になるメッセージを送ろうとする熱意が前面に出ている。そして、著者の前へ前へと進もうとする姿勢をヒシヒシと感じることができる。
これは著者のお人柄だと思うが、まさに、そんなお人柄がこの本の特徴、魅力になっているような気がするのである。

 

そして、私は、入社後しばらく経った中堅社員ばかりでなく、管理職、部長クラスの人、役員の人にもぜひ読んでもらいたいと思っている。
それは、1つには、この本は、年齢、役職にかかわらず、まさに「そうした方がいい」という真実が書かれているからである。
もう1つは、私自身もそう思いながら読んだのだが、「ああ、こうすればよかったんだな」と、自分の振り返りにも使えるからである。

 

さて、本の中身に触れていくが、ぜひ、最後までじっくり読まれることをおすすめしたい。それは、ページを追うごとにこの本の魅力がドンドン高まっていくからである。
正直、最初の方は、ちょっと、「これは、普通の人には無理だろ」と感じる部分が多かった。
たとえば、上司からコピーを頼まれたとき、「もちろん、やります。でも、お聞きした方が良い仕事ができると思いますので、差し支えなければ、何のために使うの教えてください」とか、上の人が取引先の偉い人に会いに行く場面に「ご迷惑でなければ、一緒に連れていってください」とか、打ち合わせのあと、上司に「先ほどはありがとうございました。いただいたアドバイスにしたがって、これから3つのことに取り組んでいきます。方法はこうです。もし、何か考え違いをしているようでしたら、ご指摘ください」などと言った方がいいというあたりである。
しかし、ページをめくるごとに、「うむ、なるほど」と思える内容がドンドン出てくる。
だから、最後まで、読んでもらいたいのである。

 

参考になった箇所を挙げておく。

 

「本を速読するな」(P95~ 見出し)
今、速読がはやっているようだが、私もジックリ読むことを勧めたい側である。
私は速読は手段だと思うのである。特にビジネス書は、本を読み返しながら、自分の肉なり血とすることができるかを考えていくことが重要ではないかと思うのである。
この本でも、「社会人の勉強は、アウトプットがゴール」(P117~ 見出し)の中で、「ビジネスパーソンの勉強は、必ずアウトプットに結びつけるべきだと僕は思っています」
「脳に負荷をかけよ」(P120~ 見出し」の中で、「さらに言えば、読むだけでは脳に負荷はかかりません。読んで理解して、それを自分のビジネスにどのように生かせるかを徹底的に考えてください」と書いている。

 

次のセミナーについての話も参考になると思います。
「セミナーに行くのは自由です。僕もセミナーに行くなとは言いません。ただし、1回のセミナーに高いお金をかける必要はないと思います。高額なセミナーに通い詰める人が言う言葉も、その人が信じているだけで、何の裏付けもありません。(略)
中途半端なお金をかけてセミナーに通っても、人間はそう簡単に変われるものではありません。変わるには、膨大な労力と時間がかかります。そうしてことを理解したうえで、お金を払ってください」(P123~124)

 

「目上の人を尊敬せよ」(P152~ 見出し)
「『この人は自分より経験が多いから、多くのことを教わることができる』
こうした気持ちを持って接していれば、相手に伝わるものなのです。むろん、これをテクニックと捉えてもらっては困ります。他人に対して敬意を払うことは、人としての基本、ビジネススキルでもテクニックでもありません」
これは、けっこう大事なことだと思います。よく世の中には、偉そうなことを言ったり、人のことを気づかったフリをしても、心の中で相手を見下している人がいます。そんな姿を相手が気づかない訳がないのです。

 

「ミスをしたら、再発防止の仕組みを考えよ」(P162~ 見出し)
「僕が考える再発防止策は、仕事のやり方を変えることです。ミスが起こらない仕組みを作り出すことだと思います」(P164)

このHPのブログ「同じ失敗は繰り返される」と似ていませんか?

 

「叱られたら意味を見出せ」(P166~ 見出し)
「僕は、すべてのことに意味があると考えるようにしています。
自分にとって悪い出来事が起こった場合、あらかじめこうなると決まっていたと考え、『この出来事は自分に何を教えてくれようとしているのか』をしっかり考えるのです。もっと大きな失敗をしないようにという警告ではないか。そういった前向きの発想が生まれてきます」
「大ごとにならなくて良かった。この失敗のおかげで、同じ失敗を二度としなくて済む。そんなふうに考えてはいかがでしょうか。起こったことすべてに意味を見出す習慣をつけると、辛いことも辛くなくなり、無題に一喜一憂することもなくなるのです」(P168)
どうでしょうか? なんとなく『サラリーマンの本質』の「『よかった』と思う」に、ニュアンスが似ていませんか?

 

「宴会芸は死ぬ気でやれ」(P174~ 見出し)
「上司や先輩は、あなたの仕事ぶりだけを見ているのではありません。イザというときに腹をくくれるか。一度やると決めたことをやり抜く人なのか。何事にも斜に構えず本気で向き合う人なのか。大げさに聞こえるかもしれませんが、宴会芸に取り組む姿勢を通して、あなたのトータルな人格をみているのです」(P177)

 

コラム「キャリアアップは人磨き」(P186~ 見出し)
「社会人として最も大事なスキルは、一緒に仕事をして楽しいと思ってもらえるかどうかということではないでしょうか」(P188)

 

「社会人として重要な資質の一つに、『きっちりしている』ことが挙げられます。時間を守る。約束を守る。身だしなみに注意を払う。最近、当たり前のことを当たり前にできない人が増えたような気がします」(P191)

 

「同期とはつき合うな」(P199~ 見出し)
「同期とつき合うデメリットがあります。それも二つ。一つは、同期同士で比べてしまうことです。(略)もう一つは、”内向き化”してしまう恐れがあるという視点です」

 

「悩みは関係ない人に相談」(P201~)
「思いきって、仕事上の悩みは、会社や仕事に関係ない人に相談してはいかがでしょうか。利害関係のない人、自分とは目線や立場、考え方の違う人の話を参考にするのです。(略)
例外はあると思いますが、23歳の人には23歳なりの経験しかありません。同世代に悩みを相談しても、経験に裏づけられた具体策はなかなかでてこないものです」(P202)

 

どうだったでしょうか?
だいぶ、目次のイメージとは異なることをおわかりになっていただけたのではないかと思います。
また、すごく丁寧に親身にアドバイスを送っていることがお分かりになられると思います。
入社1年目ばかりでなく、中堅社員、管理職、部長職、役員のみなさんにも必ず役に立つ本だと思います。
また、ビジネスパーソン向けの教科書としては、最高の内容のものだと思います。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です