『土井英司の「超」ビジネス書講義』 

土井英司の「超」ビジネス書講義 (ディスカヴァー携書)

土井 英司

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012-05-29

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読者数53,000人を誇る日本一のビジネス書評メルマガ「ビジネスブックマラソン」の編集長であり、ビジネス書のオピニオンリーダーである土井英司氏の本です。
一言でビジネス書と言っても、そのジャンルは多岐にわたるし、新刊新刊のラッシュであり、みなさんも、書店に行ってもネットで検索しても、「いったいどの本を選べばいいのか?」とわからなくなっていると思う。
そんな人のために、この本を紹介したい。
きれいにビジネス書について整理されているし、紹介本も盛りだくさんである。
ぜひ、参考にしていただきたい。

 

第一章「『時代の振り子』はこうして揺れ動いていた」では、ビジネス書は、その時々の時代背景を基に生まれてきたことがよくわかる。
つまり、その時代にマッチした本が売れていたということだ。
本中に松下幸之助氏の『道をひらく』が紹介されているが、「なるほど、その時代の背景を基にしての言葉だったんだな」と腑に落ちた。
今もこの本は売れ続けているが、そこには確かに普遍的なものもあるが、時代背景を考えると、意味合いもすっきりしてくる。
その他今となっては、なつかしい本が紹介されているが、きっと、みなさんは、「なるほど、あの本が出たころは、、確かにこんな時代だったよな。だから、そんな本が売れていたのか」と改めて思い直すはずだ。

 

第二章「ビジネス書のトレンドから『時代の節目』を読む」は、ぜひ参考にしていただきたい。
著者の次の言葉をよくかみしめてみる必要がある。
「潮目の変化とは、『振り子が逆側に振れるとき』です。そこにはビジネスの必然性が出てくると僕は考えています。
人間の価値観というものは、その時々のビジネスシステムのなかでつくられています。ここを理解しておけば、正義が変わることもあると理解できますし、大きな流れが把握できます。人間にとって、最終戦となるものは『飯のタネ』。価値観は主義主張ではなく、『何で食っているか』で決まるのです。」(P83)

 

そして、節目を読むためには、すべての物事を「対義語」で考えることを薦めています。
すなわち、いままでの事象、考えとは、対極的に現在は、動いています。
本は、「個人から全体へ」「革新から保守へ」「豊かさから潔さへ」「大から小へ」「複雑からシンプルへ」「成功から幸せへ」に現在は動いていると記述しています。
そして、ビジネス書も、このように動いているのです。
現在、店頭に並んでいるビジネス書を見て、「なるほど!」と思う読者も多いと思います。

 

第三章「テーマ別トレンドと『今が旬』のお薦め本紹介」、第四章「コモディティから抜け出すためのビジネス書の選び方・読み方」は、実際にみなさんが、ビジネス書を選ぶときに参考になるものです。
みなさまのテーマにあわせて、みなさん自身が必要と思われるビジネス書をぜひ、選んでください。
一言でビジネス書と言っても、テーマにより、選ぶ本はまったく異なります。
テーマによっては、「え?それビジネス書なの?」と思う本があるかもしれませんが、重要なことは、あなたが選んだテーマにはそれが必要だということです。

 

以上を振り返って考えると、ビジネス書の選択は、あなたが自分の今の立ち位置をよく理解し、それに基づいて読む本のテーマ、ジャンルを決めることが必要ではないかと思います。
ぜひ、この本を参考にしていただきたいと思い、紹介しました。

 

2014年5月25日