『輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック』

輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック

清水レナ

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015-06-18

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女性活躍はイメージの世界ではない。
そこには具体的な目標があることを、みなさんはご存じだろうか?

 

「2020年までに女性管理職率を30%」にする目標がある。
2030(ニイマルサンマル)と呼ばれている。

 

これは、2003年に、内閣府の男女共同推進本部で決められた目標であり、そこでは、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」としている。

 

この2030が、2013年の安倍内閣誕生と同時にクローズアップされた。
それは、安倍首相が掲げた成長戦略の中に「女性の活躍推進」を重要項目として盛り込まれたからである。

 

ここで、「成長戦略と『女性の活躍推進』とどう関係があるの?」と思う人がいるかもしれないが、
現在の、またこれからますます深刻化する日本の高齢化社会の現状を考えてもらいたい。

 

もはや、女性が活躍しなければ、企業が日本も生き残っていけない状況にきている。
また、女性の就業率が上がればGDPも確実に上がる。
だから、女性活躍を成長戦略としてとらえなければならないのである。

 

2030は、女性の管理職率に限定した目標であるが、その実現には、女性の活躍全般を後押ししなければならない。
それは、女性全体の活躍の広がり、基盤がないと、到底、管理職率を高められないからである。

 

ここに、本書のタイトルに「輝く会社のために」とついている理由がある。

 

しかし、2014年時点の日本における女性の管理職率は11.4%に過ぎない。
しかも、この本によれば、「管理職候補」となりうる-「正規社員」で、かつ「総合職」であり、しかも「昇進意欲」がある女性比率は、わずか7%に過ぎない。

 

上記を考えると、この2030という目標はたいへんな目標だということになる。
だから、いかに「管理職候補」となる女性を増やしていかなければならないかということになる。
-これが、本書の内容である。

 

女性の「管理職候補」を増やしていく際に、ぜったいに考えなくてはならないことは、女性は結婚&出産で「時間的制約」が生まれるということである。

 

ところが、「日本の企業における管理職登用の制度が、時間的な制約条件がない人をベースにして整えられている」から、女性は入社当時は、「昇進意欲」を持っているにもかかわらず、時間的制約が生まれると、昇進意欲を持てなくなってしまう。

 

それゆえ、本書は、「『2030』達成のために必要なのは、女性が抱える『時間的制約』を管理職登用の阻害要因にしないこと、つまり、『何より仕事を優先し、長時間労働を厭わない』という管理職登用の『前提』を大きく覆すこと」が必要だと述べている。

 

それでは、企業はどうすればいいかということになるが、本書は、「女性活躍推進9フレーム」という課題整理が必要だとしている。
それは、女性活躍の基盤の3つの段階、「採用」「定着」「登用」を縦軸に、課題の3つの領域、「機会創出」『制度支援」「意識醸成」を横軸にしたフレームである。

 

そして、本書は、この「女性活躍推進9フレーム」を使用し、ケーススタディしている。
それぞれのケースで、なぜ女性活躍が推進できていないのか、その課題を浮き彫りにしている。
非常にわかりやすい。また、問題の所在もつかみやすい。

 

本書は、2030という目標を切り口に、日本の女性活躍の実態と特徴を示したのち、課題と対策を示している。
まさに、「女性活躍推進ハンドブック」的役割を果たしている本であり、女性活躍を考える際、ぜひともおすすめしたい本である。

 

本書の構成は、

 

第1章 今、なぜ「女性活躍推進」なのか

第2章 「女性活躍推進」の実現が難しかったわけ

第3章 企業は何から始めなければならないのか

第4章 ケーススタディ/あなたの会社の「女性活躍推進」

第5章 「女性活躍推進」に向けた人材マネジメント

第6章 働き続けたい女性のあなたへ

 

となっている。

 

さて、余談だが、私は、いま、『企業で働く営業女子が輝く35のヒント(仮題)』を書いている。
その目的は、世の中、とかく女性活躍というと、スーパーセールスウーマンなどの活躍を引き合いに出してしまうことに、ちょっと危機感を覚えたからである。

 

また、本書が言うように、「結婚して子どもがいてもすべてをアウトソースして、男性と同様に、仕事優先で長時間働く『スーパーワーキングマザー』」をもてはやしてしまう。

 

私は、スーパーセールスウーマンやスーパーワーキングマザーを紹介することも大事だが、もっと、もっと、誰でも活躍できるということを、示すことが重要だと思っている。
そして、誰もが、輝けるヒントを書いているのである。

 

そして、本書も、この点を以下のように表現している。
「ロールモデルは、女性社員がその人に自分を重ね合わせ、『あんなふうに働きたい』と憧れる対象であると同時に、『私にもできそう』と共感できる存在でなければなりません」

 

まさに、私と同意見であり、私は意を強くしたのである。

 

 

 

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2016年1月31日