部下に隙を見せる

「部下に隙を見せるな」という言葉を聞いた人は多いと思うが、私は、組織運営のコツは、「部下に隙を見せる」ことであると思っている。
もちろん、年がら年中、隙を見せろと言っているのではない。
時々は、隙を見せないと、部下の本当の思い、声、相談を拾えないということを言っている。

 

実は、かっての私の上司にこの「隙の達人」がいた。
私は、新任管理職となり、その人が率いる部に配属となった。
その人は、5時を過ぎると、「おい、帰るぞ」とフロアー全体に響き渡るように叫ぶのである。
見ると、既に帰る身支度を整えているではないか。その人は、鞄やコートを抱えているのである。
しかし、その人は帰らない。
古参の課長の横に行っては、冗談を言ったり、ふざけあったりしている。

 

その瞬間からである!
隣の課長から、「部長、ちょっとよろしいでしょうか」と相談が始まり、違う課の職員は、「承認が欲しいのですが」とその部長がいる場所に向かう。
私も、最初は面食らったが、ちょっと判断に迷うケースの対応等の相談は、「この時間」を利用することになった。
またこの部長のことを思い出していると、確かに、仕事の後の宴席や一杯の場で、ふざけたことばかり言っている上司もいた。

 

さて、問題はここからである。
どんな研修でも、「部下の話をよく聞きなさい」と習う。あるいは、部下と接するには、「傾聴の姿勢が大事」と言われる。
それはその通りだが、いかにも、「さあ、あなたの話を聞きますよ」という顔をされ、また落ち着いた態度をとられた場合、部下は、本当に心の思いを話すだろうか。
また、このように、いつも冷静で、取り澄ました人が、酒が入った懇親会を企画しても、部下たちは、本当のことを言うであろうか。
この人たちが企画する一杯の場は、整然とした、話し合いの場であることは容易に想像できる。
しかし、この人たちは、必ず言うのである。「私は、部下に気を使っている。部下の話は、よく聞いている。時には、酒も必要と思って懇親の場も開いている。それは、部下の本当の声、考えを聞くためだ。」
確かに、一見、満点の答案のように思うが、そんなことで、部下は、自分の本当の思いを話すであろうか。
この人たちが企画する飲み会は、どこまで行っても、やはり堅苦しいのではないだろうか。

 

私は、部下が心を開く瞬間というものは、上司に隙がある時だと思っている。
上司がおっちょこちょいのことをやる。部下たちは、くすくす笑う。
そして、こんな上司は、朝に始まり夕に至るまで、自分の失敗ばかり話している。
「オレ、朝、駅に着いたら定期券を忘れてさあ、そこで、小銭を探そうと思ったら、財布に1万円札しかなかったんだ。新聞を買って、くずそうと思ったが、さすがに気が引けるだろ。だから、コンビニでこれを買ったんだ。しかし、切符を買うときよく自動発券機を見てみたら、1万円札でも買えるんだな」と話す。
部下たちは、「そんなことも知らなかったのか」と思うし、定期券を忘れた部長の表情までも想像できる。

 

それを、下の人に、あるいは周りの人に隙を見せまい隙を見せまいと思い、もっともらしいことを言う上司のことは、部下たちはどう思うだろうか。
そして、確実に言えることは、こんな隙を見せまいとする人は、冗談を言ったり、ふざけたりする人が嫌いだということである。
この人たちは、たとえ飲み会の場であったとしても、「もっと、真面目にやれ」と心の中で叫んでいたり、仮に部下がそういう行動をとると叱責する。

 

正直、この問題は、人のキャパシティーの問題である。また性格の問題もある。
しかし、一般論で言って、おもしろい人の方が、おもしろくない人より好かれるに決まっている。
私は、そんなに経験があるわけではないが、企業や組織のトップの人と会ってみると、その人のおもしろさに惹かれるのである。
企業や組織のトップというと、厳格なイメージを持つが、意外に、我々でも入り込める隙みたいなものを感じるのである。
もちろん、全部が全部ではきっとないだろうが、そんな「何か」を持っているのである。

 

そして真の問題は、組織の上に立つ人は、とかく、「自分は、こういう手続きを踏んでいる」と言いたがるが、本当にそうかということを是非考えてみてもらいたいということである。
ここでの話を基にすれば、「自分は、部下の話や、人の話をよく聞いている。また、ミーティングも実施し、極力みんなの意見をくみ上げるようにしている。そして、一杯の席も多い。いわゆる飲みニケーションだ」という組織の長がいたならば、それはそれで、大変結構なことだが、
問題なのは、その場の空気、雰囲気なのである。 ここをよく考えてもらいたい。
重要なことは、部下たちが、本当に心を開いている場になっているかということである。
そして、隙を見せまいと考える人たちが嫌う、ちょっと冗談交じりの雰囲気の方が本当のことが出るのである。

 

 

 

 

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○○しているようで○○していない

サラリーマン社会では、この○○しているようで○○していないという表現が、よくあてはまる場合が多い。
具体的な言葉を入れると、「目標に向かっているようで、目標に向かっていない」「仕事をしているようで、仕事をしていない」「営業をしているようで、営業をしていない」「徹底しているようで、徹底していない」「わかっているようで、わかっていない」………。
無限に、湧いてくる。
「なるほどな」と思う人もきっと多いと思う。

 

最初の「目標に向かっているようで、目標に向かっていない」も、よくある話である。組織が目標を決める。みんなでその目標に向かう。
ところが、各人の1日の動き、今やっていることと言えば、到底、目標に向かっているようには思えない。そんな話だ。組織が停滞しているときは、この言葉を思い出してもらいたい。

 

また、「仕事をしているようで、仕事をしていない」という言葉も、サラリーマンの日々の動きを見ていると、よくあてはまる場合が多い。
ある課題のために、色々な打ち合わせをする。しかし、だべってばかりいて、とても、課題を進捗させようとはしていない。

 

「営業をしているようで、営業をしていない」これも、営業マンなら、毎日がその連続ではないだろうか。得意先を訪問しては、談笑する。まるで、談笑することが営業の目的となっている。そして、得意先回りの途中、疲れたといって、コーヒーを飲む。

 

「徹底しているようで、徹底していない」これもよくある。組織で、あることを徹底させる。ところが、また徹底したはずのことが行われていないのである。

 

「わかっているようで、わかっていない」これもよくある。ある組織の長は、会社の指針等を部下に説明する。みんなも深く頷く。しかし、部下たちは、今までと同じ仕事のやり方を続けるのである。

 

さて、こんな「○○しているようで、○○していない」ことは、サラリーマン社会なら無限に浮かぶ。
こんな現象は、なぜ生じるのかというと、私が改めて述べるまでもない。みなさんも薄々わかっていると思うが、サラリーマンは、「○○しているようで、○○していない」でも、飯を食べれるからである。
これが、自営業者だったり、手数料をベースにしているセールスマンだったら、そんなことは言っていられない。即、倒産の危機に直面することになるし、セールスマンだったら、食べていけない。
サラリーマンは、つらい稼業だが、こんな甘えもある社会なのである。

 

それでは、どうしたら、いいかということである。
その答えは簡単だ。そうならないように、自分で注意すること、みんなで注意すること、組織で注意することだが、
問題は、それをどうやるかである。
結論から言う。
サラリーマンは、自分の体の中で、ものごとの取り決め、ルール、そして現在の業務内容を完全に消化していないと、こんな現象となってしまう。
実は、それこそ、「わかっているようで、わかっていない」のである。
なぜ、こんなことが、組織で取り決められたのか、なぜ、そんな指針を会社が示さなければならないのかを、くどいくらい頭の中で反芻させ、自分自身で、「そういうことか」と納得しないと、こんな現象が起きてしまう。

 

ところが、会社や組織は、施策の実効策については、くどいくらいミーティングしたり、確認したりするけれど、この部分の説明がほどほどになっている。
これでは、納得して、あるいは自分で消化して動くということはなくなる。いわゆる、「言われたから、やる」「いやいや、やる」「決められたから、やらなければならない」 「みんながやるから、やる」ということになってしまうのである。
これが、「○○しているようで、○○していない」という現象を引き出している。

 

人間は、自分の頭の中で納得しないと、結局は形だけの行動をとる。
本家本元の部分が非常に大切である。
この部分を理解し、あるいは理解させるには時間を要するが、必ず、後々利いてくる。
そこにかけた時間が吹っ飛ぶような、成果が待っているのである。

 

 

 

(参考)この問題については、『サラリーマンの本質』第二議題「現場への指導は三つのみ」の中の2.「問題文をよく読む」でも紹介している。
ここでの記述は、個人の「問題文をよく読む」という作業から出発しているが、これが、組織で行われたときは、必ず、組織の役割分担にまで発展し、それを経て、組織自体が、自分たちの目標とやり方を設定することを述べている。

また、「営業をしているようで、営業をしていない」は、そもそも、組織に与えられた数字、目標、予算を、みんなでその「重み」について完全に理解しない限りは、絶対にたどり着いてしまう現象である。
(詳しくは、『サラリーマンの本質』第六議題「営業の本質」参照)

 

 

 

 

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色々なことを言うと結局はつまらない組織となる

組織改革や組織の改善に意気軒昂に取り組む組織の長がいる。
組織の改革や改善はどんな場合でも必要だが、あまり言い過ぎると、結局は組織で働いている人にとって、組織自体がつまらないものになる。
つまり、改革や改善は絶えず必要だが、あまり、「ああだ」「こうだ」と注文をつけすぎないということだ。ものには限度、程度があるということだ。
組織に属している人たちが、自分の組織がおもしろくない、つまらないと思ったら元も子もなくなるということだ。
それに、精神的な負荷も大きくなってくる。組織の中で悩む人の要因の一つでもある。
このことは、組織の長は、意外にわかっているようでわかっていないことである。

 

実は、このことも、『サラリーマンの本質』のひとつのテーマとなっている。
日本のサラリーマン社会では、「現場」は絶えず、「言われる存在」になっている。その「言われる存在」である現場の組織の長は、さらに部下たちに、色々なことを言う。
そうすると、現場で働く人は、「言われる存在の職場」に属するだけでなく、さらに現場でも「言われる存在」になっているということだ。
これでは、たまったものではない。多くの人が悩みをかかえるのも無理はない。
そして、現場で働く人は、自分が働く職場を、楽しくない職場、おもしろくない職場、つまらない職場、憂鬱な職場と考えるのである。
ところが、世のビジネス書は、この現場で働くサラリーマンにさらに追い討ちをかけるのである。
「ああしなさい」「こうしなさい」と。
日本のサラリーマンはみな、真面目である。その真面目なサラリーマンは、この「ああしなさい」「こうしなさい」を真に受け、頑張ろうとするのである。それだから悩むのである。
これが、『サラリーマンの本質』の出発点となった。

 

さて、本題に戻ろう。
組織の長が色々部下に言おうとすることは、その多くは、会社施策の実行や、会社方針徹底のためである。
それだから、色々、言うのである。
しかし、言われた方からすれば、言われた内容より、その数が気になる。
その数があまりにも多いと、それこそ、「ああしろ」「こうしろ」となり、頭が受け付けず、混乱し嫌気がさすのである。
ものには限度があることを物語っている。

 

この問題の解決法の一つは、「背景説明」である。
なぜ、今、そうしなければならないかという「背景説明」である。
ここをしっかりと行うことが重要である。我々は、ストンと腑に落ちさえすれば、やるのである。

 

たとえば、会社全体で経費削減に取り組んでいたとする。各現場では、「できる限りプリントアウトするな」「カラーコピーを取るな」と号令がかかる。
現場で働く人は、仕方なく、やるか、やっている素振りをする。
そんなとき、「会社の現状から、こうしたことも重要なんだ」と、しっかりと説明を受ければ、我々は、自然にやるのではないだろうか。
また、営業現場では、とにかく「新規、新規」と呪文のように唱えられている。
営業マンは、仕方なく形だけ繕うとする。しかし、こんなときでも、「今、会社の現状は、こうなんだ。そのために我が部は、なんとしても売上を達成しなければならない。残念ながら、売上達成のためには、既存顧客だけでは賄うことができない。新規契約と新規開拓が必要なんだ」と、しっかりと説明を受けたならば、我々は、やるのではないだろうか。

 

サラリーマンである限り、現在働いている職場が楽しい職場であってほしいと願う。
あまり、「ああだ」「こうだ」と注文をつけすぎると、現場で働く人は、楽しくなくなる。
毎日が憂鬱になり、やがては職場を去っていくかもしれない。
組織を改革、改善することは非常に重要なことだが、そこで働く従業員に、つまらない、面白くないと思われたら終わりなのである。
それが、厳しいサラリーマン社会の現状だと言う人もいると思うが、そんな会社や組織で成果が上がるとは夢にも思えないのである。
是非、あまり多くの注文を出さない。それよりも背景説明をしっかりやるということを考えてもらいたい。

 

 

 

 

(参考)『サラリーマンの本質』第二議題「現場への指導は三つのみ」、第三議題「組織への間違った指導」、そして第六議題「営業の本質』の中の「間違った営業指導」を是非、ご参照いただきたいと思います。
本題でも触れましたが、サラリーマンは、すべての業務において、腑に落ちさえすれば自然に動きます。その作用が起こるのを待つということが非常に重要な気がします。
その例の一つとして、『営業の本質』の中で、営業マンが、「営業とは何か」を理解することで、自然と具体的な行動を起こし、自発的に成果を求めていく過程を示しています。
ここには、「新規」「提案営業」「紹介営業」という言葉はいりません。これを言われると、やらされ感が強くなり結局は続きません。

 

 

 

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人の替え時

あなたが管理職や責任者あるいはリーダーだったら、人の配置転換を必ず考えたことがあるだろう。
その配置転換はどのような時に決断しなければならないだろうか。
ここは、じっくりと、しかも冷静に考えてみる必要がある。

 

私は、結論から言うと、同じことを繰り返しやっている人を見た時、人の替え時を考えた。
組織の責任者の頭は重い。部下のミス、得意先からのクレーム、指示したことの遅延と未実施………。
おそらく毎日のようにこんな部下の状況を見ているのではないだろうか。
その時に、組織の責任者が思うことは、「自分の教育が足りなかった」「もっと具体的に指示すればよかった」「もっとフォローをすべきであった」と、まず、自分の反省点を思い浮かべ、その上で、もう一度部下を見つめるだろう。また部下の適性ということも考えるだろう。ミスが重なった時には、きっと、部下の配置転換を頭に描いていくだろう。

 

しかし、よほど部下の適性がかけ離れているとか、怠慢が著しいという場合を除き、この状態は、まだ人の替え時ではない。
責任者であるあなたが悩み、部下が気づき、あなたが指導し、部下がその指示を実行するというサイクルを繰り返しているとしたら、それは、考えようによっては、組織が成長している段階にあると言える。
この繰り返しにより、組織が強くなっている過程とも言える。
ここはしばらく我慢して、繰り返し繰り返しの指導を実施すべきかもしれない。

 

ところが、こんな部下のミスや失敗とは違い、なんとなく、心では不満足を覚えながらも指導しずらい場合というものがある。
それは決して部下がミスや失敗をしているわけではないので言いづらいが、「本当にこのやり方でいいのだろうか」と思う時である。
なんとなくすっきりしない感情を覚える時である。

 

そのイメージを具体例を挙げて見ていきたい。

 

私が経験した「そんな」場合は、ある営業部で、販売店を担当しているベテラン女性担当者の仕事ぶりを見た時だった。
その女性は、販売店向けのニュース発行等の情宣活動、キャンペーン企画を長年担当していた。
わかりやすく言えば、販売店を盛り上げ、売り上げを伸ばしていくことを職務としていた。
私が責任者として着任してみると、その女性は長年この業務を担当していたためか、なかなか、堂に入っていてミスなくスムーズに業務を遂行している。また、販売店の方も彼女に慣れ親しんでいるせいもあり、評判もいい。

 

しかし、何かすっきりしないものを感じるのである。
すっきりしないものを感じながらも月日が流れていった。そして、月日が流れるに連れ、あることに気づいたのである。
やっていることは全て同じだということに。
販売店向けのニュースもあらかじめニュースの型が決められており、毎回違うのは、その型の中の売上数字のみ。
また、キャンペーンの際の決起大会も、寸分違わず進行が決まっている。
挨拶ー乾杯ー談笑ー代表者の決意表明。そして最後には、必ず、みんなで、「やるぞ。オー」と雄叫びを上げる。
毎回、何一つ変わっていないのである。変わっているものがあるとしたらキャンペーン名だけである。

私は、モヤモヤとしていたものが溶けた。 営業部の成績低迷の原因を知った。

 

考えてみると、これと同じようなことは結構ある。
ある経理担当の女性が作る資料。
経理という職務の性格上致し方ないのかもしれないが、ここもあらかじめ資料の様式が決められており、毎月違うのは数字のみ。
おそらくこの女性がこの書式を作ってから一度も改定されたことがないのではないだろうか。
毎月毎月同じ書式のものだから、中身を見ようともしなくなる。この中の数字があっているのか間違っているのか、誰も検証などしない。そればかりか、誰も見ようとしない。皆の頭に残るっているものは、内容ではなく、定期的に発行される物体である。その物体による季節感である。

 

私は、組織というものは、「ここがだめだ」「あそこがダメだ」「あいつを成長させなければならない」「あいつをもっと強くしなければならない」と悩み苦しんでいるときは、成長過程にあると思っている。
「ここがだめ」なら、そこを直せばいいし、「あそこがだめ」なら、そこを補強すればいい。手の打ちようがあるということだ。
それを、一見、整斉と物事が進められていると、手の打ちようというものがなくなるのだ。
組織の問題というものは、実は、一見、整斉と進められている物事、人、領域にある。
このことを、『サラリーマンの本質』で、「上手くいっているより、上手くいっていないが大切」という見出しを立て、説明している。
要は、組織や人の「穴」「ポカ」「落とし穴」は、「できています」「上手くいっています」という領域ではないかと警鐘している。

 

もう一つ。組織というものは、「ああじゃない」「こうじゃない」と違ったことを模索しているときは、必ずいい方向へのステップを歩んでいる。
今までと違ったことへの模索をやめた途端、組織の低迷は始まる。

 

さて、人を替えるということは難しい。責任者に許された権限だが、それだからこそ、慎重に行う必要がある。
部下がミスを重ねたとき、第一に問うべきは、責任者の指導内容であり、第二に問うべきは、その部下の方向性である。怠慢を重ねてのミスの連続ということならば、また、同じことを何度も何度も繰り返しているならば、思い切って、本人の意識変革のために替えるという選択肢もあるが、一生懸命に業務に向かっている途中のミスならば、部下の成長にかけるべきではないかと思う。

 

しかし、一見整斉と業務を遂行しているようだが、同じやり方を繰り返す部下がいるならば、実際に目に見えて組織に問題が生じてはいない場合であっても、ここは、思い切って、本人のためにも替えた方がいい。
組織全体が成長へと向かわないからである。そして、次第に次第に組織は低迷への道を歩むからである。
いずれにせよ、人の問題であり、慎重に冷静に分析した上で、決めるべき時は、スパッと英断を下すことが必要なのではないだろうか。
是非、考えてもらいたい。

 

 

 

 

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自分がいないときに組織を走らせる

もし、あなたが組織の管理者だったら、「組織を課題に向けて走らせるとはどういうことだろうか」と考えてもらいたい。

 

自分が職場にいるときは、職場や職場の人の状況をあなた自身の眼で確認することができる。
また指示したことの徹底度合いも管理職ならば肌で感じることができるはずだ。
ところが、管理職であるあなたは結構この職場にいないことが多い。
営業で外回りをしていたり、時には出張ということもある。 その他日本のサラリーマン社会は会議だらけだ。
職場にいないことの方が多いのかもしれない。

 

ということは、あなたがいない時に組織をどう課題に向けて走らせるかがポイントになってくる。
ここは管理職であるあなたの仕事の進め方をチェックする必要がある。

 

私もそうだったが、まず、出社して、今日「あなた自身」がやらなければならないことをチェックする。
まずメールを開くことからスタートする。そして、その確認を終えると、あなたがやらなければならないことに猛然と取り組む。
その大部分は、社内の報告資料や会議資料の作成だが、得意先からの宿題、あるいは提出資料も、あなた自身が作らなければならないこともある。
そんなあなたがやらなければならないことに、猛然と取り組むのだ。
サラリーマンなら誰でも経験することだが、あっという間に時間が経ち、気がついたら昼だったということになる。

 

そして、社内の会議に出席したり、得意先を回ったり、出張に出かけたりするのである。
さすがに、職場を離れるときは、組織の課題進捗のことが気になり、次席者なり補助者を呼び、 自分のいない時に、「あれをやってくれ」「これを確認しておいてくれ」と、気になっていることを矢継ぎ早に話し指示を出す。

 

さて、ここからである。
ここから、あなたは、職場にいなくなるのである。
あなたの眼と耳で組織の進捗を確認できない時間や期間が到来するのである。
組織の進捗のことが気になり、外出先から電話をする。 また、社内の会議だったら、休憩時間中に自分の席に戻り、短い時間に自分が指示したことの確認を行う。

 

逆なのである。
一日のスタートで、「あなた自身」の仕事を進めるのではなく、先に組織に指示を出すべきなのである。
これは、考えてみればわかる。
先に指示を出したならば、それだけ、組織の人はあなたの指示に向かって動く時間が増えることになる。 そして、あなたが外出したり、会議に出席したりする前に、少なくとも組織の進捗状況を確認できる時間も 生まれるはずだ。
それを、外出する前や会議の前に、ちょこちょこと指示するから組織の進捗が図れないのである。

 

こんな「切羽づまったかつ矢継ぎ早の指示」は、だいたいからして、次席者や補助者にその真意が伝わらない。 指示漏れも絶対にある。
なぜなら、指示という極めて重要なことを時間のない中で済ませているからである。
こうしてあなたがいない時に、組織はあなたが意図したようには走らないのである!

 

このことは結構、管理職はわからないでいることが多い。
まるで、出先からしょっちゅう職場に電話をすることが有能でエネルギッシュな管理職だと思い込んでいる人も多い。
だいたい、出先から何度も電話をするということ自体が、「指示がうまく伝わっていないのではないか」という管理職自身の不安の表れではないか。
そして、そんなに心配ならば、外出する前によく指示しておけばよいのである。 指示の準備不足のようなものである。

 

以上のことを考えていくと、
組織の課題に向けた成否は、管理職がいない時に決まる。
管理職が席にいて、「ああだ」「こうだ」と職場の人を呼び指示している時間帯は、組織の課題進捗の判断では、「仮の姿」なのだ。
ここで判断してはいけない。

 

管理職が席にいない時間の方が圧倒的に多いという事実にも、冷静に着目する必要がある。
この圧倒的に多い時間帯こそが、組織の課題に向けた進捗の「本当の姿」なのである。

 

毎日やるべきことが多い管理職に向かって、「自分の仕事を後回しにして、まず組織への指示から入れ」 ということは、大変に難しいことは百も承知だ。
まず、自分の仕事からと考えるのもよくわかる。
しかし、組織は、「進め方」で成否が決まる。
またサラリーマン社会は、限られた時間での課題進捗を競う場でもある。
すなわち、組織にとっても人にとっても、進め方のうまさ、効率というものが絶対に要求される。

 

もし、あなたが指示を先行した上で、自分自身の仕事をじっくりやるスタイルに変えたなら、 組織の成果が上がってくるのは、火を見るよりも明らかだろう。
そして、その方があなたの気も休まるし、自分自身の仕事にもじっくり取り組めるのでないだろうか。

 

自分のいない時に組織を走らせる!
このことを頭に刻み、頑張ってもらいたい。

 

 

 

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組織の力は個々の実力より相性

よく、組織の力を上げるには、組織を構成するメンバ1人1人の力を上げることだと言われてきた。
もちろん、それは、言うまでもなく重要なことである。
ただし、本当にそれだけなのかということが、ここでのテーマである。
この問題も、「現場視点」に立って考えてみる必要があると思う。

 

実際の現場は、複雑である。
それは、ある組織を見てみると、組織の個々のメンバーの力は十分なのに、いやむしろ、優秀な人ばかりなのに、なぜか結果が出ない組織というものも結構多いからだ。
なぜなのだろうか。
そんなとき、現場に長くいる人ならピンと気づくことがある。
それは、「相性」である。
これは、組織に所属している人と人との「相性」である。
特に課長と課長補佐、係長と係長補佐のように組織のトップと次席者との「相性」を見ることが重要である。

 

それでは、なぜ、「相性」が悪いと、結果が出ないのだろうか。
その原因は意外とシンプルである。
課長や、係長という組織のトップから次席者への伝達、指示等が、「相性」が悪いと、不十分になるからだ。
「相性」が悪いと、組織のトップは、次席者にくどくど言うのを避ける傾向がある。
「え? 反対じゃないの」という人がいるかもしれないが、考えてもらいたい。
ある人間と相性が悪い時、その人間に向かってくどくど話すと思いますか?
くどくど話せるということは、その関係は、まずまずなのです。
相性が悪い、あるいは、関係が悪いときは、サラッと言いたくなるのではないだろうか。
そして、ここが肝心なところだが、組織のトップが、くどくど次席者に言わないために、徹底が不十分という状態が起きるのである。

 

組織の結果というものは、課長なり、係長すなわち組織のトップの考えや、思いが、いかに組織に徹底したかにかかっている。
世の中で言う、組織での共有、浸透である。
わかりやすく言えば、いかに、伝達、指示をくどくどと何回も念を押すように繰り返したり、確認した方が、組織で徹底を図れるということなのである。
そして、組織内浸透が図れた場合、組織は、まっしぐらに目標に突き進むから、結果が出るのである。
ところが、組織のトップと次席者との相性が悪いと、まず、組織のトップは、サラッと自分の考えと思いを次席者に伝達するのみにとどまる。
それゆえに、組織のトップの思いが、組織に所属している人にうまく伝わらず、結果が出ない
いかに次席者が優秀でも結果は出ないということになる。

 

この問題をもう少しわかりやすく言うと、組織のトップに必要な人材は、自分にとって、「言いやすい」人だと考える。
言いやすいというと、何かいかにもおとなしい人のイメージが湧くが、必ずしもそうでないところが実社会のおもしろいところである。
ソフトな次席者を好む人もあれば、逆にそう言う人を歯ごたえがないとして嫌う上司もいる。
また、ドンドン自分に向かって問題提起を起こす人を嫌う人もいれば、重宝がる人もいる。
人間関係は結構複雑なのだ。

 

仮に、組織のトップにとって言いやすい、すなわち相性のいい次席者がいたとしたら、組織のトップは、自分の様々な思いを、ドンドン次席者に伝えるはずだ。 また、くどいくらいに自分の思いというものを話すはずだ。
組織のトップの意向を十分読み取った次席者は、今度は、部下にトップの思いと考えを確信をもって伝えることができる。
そこには、あやふやさはない。そしてその結果、組織の徹底が図れるのである。
そして、こんな組織は、結果を生むのである。
サラリーマン社会では、よく「組織目標」と言う言葉を使うではないか。
まさに組織のトップと女房役である次席者との相性がよい組織は、組織目標が全員に共有される。すなわち、文字通り「組織目標」となるのである。

 

こうして考えていくと、組織のトップの下には、実力がある人というよりは、むしろ、「相性」が合う人 という視点で選んでいけば、組織は結果を生んでいくのではないかとさえ思うのである。

 

さて、「相性」というと、いままでも、きっと、各会社の人事部等では異動の前にこのことを考えていたと思う。
しかし、考え方が、「厳しい管理職には、やさしい次席者、やさしい管理職には厳しい次席者」というように短絡的なのである。
そうではないのである。先に述べたように、その視点は、自分の意見を言いやすい相手かどうかという視点で選ぶべきなのである。
世の中不思議なもので、意外な人が意外なタイプを好きだったり、意外な人が意外な人を嫌いだったりする。
もし、これを探るとき、もし部なり支店という単位であったならば、こう聞くことも一法である。
「もし、あなたが、この部で、一緒にやっていきたい人を選ぶとしたら、誰ですか?」
意外にも現在、課長に嫌われているA君のことを、隣の課長は、欲しいと感じたり、一緒に働きたいと思っていることがある。
また、ある課長は、きつめの次席者を欲するけれど、隣の課長は、穏やかな次席者を欲したりするのである。
つまり、これが「相性」ということになる。

 

以上を総括すると、「現場」は、教科書通りには決していかない。 もっともっと複雑なのである。
そして、 意外に、組織の結果は、「相性」で決まるという真実があるのである。
もし、なかなか結果が出ない組織があったならば、この「相性」というものをチェックしてもらいたい。
そして、可能ならば、部内、支店内で、「相性」に基づいてでチェンジしあうことも必要と思うのである。
そうしたことにより、結果が出てきそうな予感がするのである。

 

 

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