ビジネス書を読むときは、どの世界の話なのかを見極める

ビジネス書というものは不思議なものである。
読んでいるときは、「そうか」「そういうことか」とマーカーを引いたり、付箋を貼ったりしながら読んでいくが、肝心要の「アウトプット」の仕方がさっぱり浮かばないときがある。
また、「それは、そうだけど、現実の世界にあてはめるにはちょっと………」と躊躇するときがある。
そういうときは、「そもそもこの本はどの世界の話なのか」と原点に帰ることが必要だと思うのである。

 

実は、こうした現象が起きるのはビジネス書の宿命ではないかと考える。
なぜならば、ビジネス書というものは、外資系コンサルタントやスーパーセールスマンや起業家や大企業の社長などが、「自分の世界」で成功した体験や手法を、一般の人にも「当てはまる」と思い、書いているからである。
もちろん、それがスパッと当てはまる人もいる。たとえば外資系コンサルタントの本であったならば、企業で企画専門の業務を行っている人や、スーパーセールスマンの本であったならば、生命保険の営業職員やコミッションセールスを行っている人には「アウトプット」できる内容が多く含まれているかもしれない。

 

しかし、「ちょっと、違うな………」「自分にはとてもそんなことはできない………」と思う人は、慌てたり、焦る必要はまったくない。
それは、自分の世界と著者の世界がかけ離れていると割り切ればいいと思うのである。
ところが、往々にしてビジネス書を読んでいるうちは、読み込むのに夢中になっているので、そんなことは忘れがちになるのである。
自分にこの本が合っていないと感じたときは、「いったい、この本はどの世界の話なのか」という原点に帰ればいいと思うのである。

 

ここを、外資系コンサルタントは、よく「ベストプラクティス」に学べ、あるいは真実には「普遍性」があると言うが、それはその通りかもしれないが、やはり、自分に合わないものは合わないのである。
そうしてビジネス書の読者は、「自分に合った本」を探すという終わりなき旅に出ていくのである。
しかし、よくよく考えてみると、今の自分に完璧にあったビジネス書というものは、早々容易く見つかるものではない。
なぜならば、やはり、著者とは経歴が大きく異なるからである。

 

また、確かに、著者の世界で通用した論理なり、経験が、現実の世界に当てはまらないことも多いと思うのである。
外資系コンサルタントの本では、よく「外資系コンサルタントの世界では………」という表現が出てくるが、まさに自ら語る通りだと思う。
問題は、その世界の話が、一般に「当てはまるか」ということである。
なにか、ここら辺が焦点のような気がしてならないのである。
確かにこうした本の中には、「その世界の話」を「一般の世界」に落とし込んだときに、がクンと内容というか、現実性が落ちてしまうものもある。

 

さて、ビジネス書を読む目的は人それぞれだと思うが、大方の目的は、やはり自分の世界で「アウトプット」したいからだと思うのである。
この「アウトプット」を目的とするならば、どの世界の、どの技術を自分が探しているのかの目安をつけることが必要になってくる………。
そんなことを考えると、つくづく、ビジネス書の読者は大変だと思うが、みなさんは、どう思われますか?

 

 

 

 

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ビジネス書を読む前に

キーフレーズは、あなたが選ぼうとしているビジネス書が「現実の世界」で通用するかです。

 一緒に、考えていきましょう。
それには、まず、ビジネス書の現状を理解する必要があります。

1.ビジネス書の現状

・反復継続して「売れる本」と言えば、ビジネス書であることは間違いない。
それは、漆原直行氏の言葉を借りれば、ビジネスマン(サラリーマン)は、絶えず「漠然とした危機感」を持ち、いつもビジネス書購入の動機を保持しているからである。
・上記より、ビジネス書は同じような内容の本でも繰り返し販売され、しかも、売れ続けるという極めて特異なジャンルの本であることも確かである。

また、みなさん自身もお気づきかと思うが、ビジネス書の周期は極めて短い。
ちょっと間をおいて書店に行くと、そこに並べてあるビジネス書の顔ぶれが一変していることに気づいた人も多いのではないかと思う。
つまり、日本で売られているビジネス書にはこれといった決定打がなく、めまぐるしく本は入れ替わっている。
それゆえに、ビジネス書は、出版社あるいは、書店の収益源であり続けていることも確かなのである。

・ところが、長らくこの状態が続いてきたが、最近、この状況に変化が見られるようになった。
それは、ビジネス書のタイトルに変化が生じてきている。
いままでは、ストレートに、「部下の育成」とか、「リーダーの条件」あるいは、「こうすれば必ず成功する」というタイトルが付けられていたが、変化が始まっている。
最近、ビジネスマン(サラリーマン)に語りかける口調のタイトルが出てきている。また、「戦略」という文字をつけるタイトルの復活も始まっている。「○○力」というタイトルの本も増えてきている。

重要なことは、ビジネス書のタイトルの変化が、何を意味するかである。
結論から言うと、上記を、新百合ケ丘総合研究所は、ビジネスマン(サラリーマン)の「ビジネス書離れの兆候」と分析している。
そして、この「タイトルの変更」は、出版社あるいは著者自身が、 「ビジネスマン(サラリーマン)が、従来型のビジネス書に対し、『本当に自分に、役立っているのか』ということに薄々疑問を持ち始めていること」を察知し、危惧した結果ではないかと考えている。
それゆえ、タイトルに色々工夫を凝らしていると考える。
もしこの推論が当たっているとしたならば、それでは、なぜ、ビジネスマン(サラリーマン)がこのように考え始めたかである。
それには、現在のビジネス書の分類を整理する必要がある。
2.現在のビジネス書の分類と課題

・ビジネス書ほど多種多様なジャンルはないが、著者別に分類すると、一番わかりやすい。
著者別分類(大きく分けると3つに分類される)

①成功者
②ビジネスコンサルタント
③公認会計士や税理士などビジネス世界を見てきた人


ビジネスマン(サラリーマン)は、上記著者が記した本に、何を感じ始めているのであろうか。
前もってことわっておきたいが、論点は、上記著者が記した本に意味がないわけではなく、読者がどう感じ始めているかである。

①「成功者」の本について

・結論から言うと、「自分とは縁遠い話」「実感を持てない話」と感じ始めている。
言うまでもなく、「成功者」の話は傾聴に値する話である。しかし、いくら優しく読者に語りかけても、「自分とは縁遠い経歴・体験」であったり、「自分にはできない神業」であることを感じ始めている。
自分とは、「距離をもった」話として受け止めている。

つまり、多くのビジネスマン(サラリーマン)は、集団の中で、「自分にあった生き方」を模索しており、エリートの話やスーパーマンの話を縁遠く感じているということである。自分との距離を認識しているのである。
簡単に言ってしまうと、成功者の話は、サラリーマンの話ではないのである。起業家の話、あるいは、サラリーマンでもトップに上り詰めた人の話なのである。

・そして、至極当たり前の話だが、読者自身が、成功者と同じような手法で、もし成功したならば、日本国中成功者だらけとなる。そのことに読者は気づいている。
また、成功というものは、その時々の環境、状況要因も大きく普遍的ではない。 そんな「当たり前」のことに気づき始めている。

②ビジネスコンサルタントの本について

・これらの本も傾聴には値すると思うが、「受け手」は、彼らの話を「実感」を持って感じ取っていない。
一番の問題点は、ビジネスマン(サラリーマン)は、ビジネスコンサルタントの本が、「実際に現場で、経験した話」でないことを、わかり始めたということである。

この点については、私自身も、経験した。
会社のセミナーで、何度か、ビジネスコンサルタントに研修をお願いしたことがあった。
1回目は、非常に若い方がお見えになり、失礼な表現ではあるが、「当たり前」のことを話された。
それはそれでよかったが、会場の誰もが、その方自身が、まだ社会人として経験も十分でなく、社会人として確立すらしていないことも知った。
つまり、その方の話には、「現場の苦労・体験」といった実戦の経験から出る臭いが、まったくしなかったのである。

2回目も、業種別に担当を決められている大手のビジネスコンサルタント会社にお願いした。
シニアという名前が付いたベテランの方が来られた。
私の会社と同業種で、先端を行った取り組みをしている会社・店舗の実例を、パワーポイントを使用して目まぐるしく紹介した。
その方は、確かにビジネスコンサルタント会社で長く私の会社と同業種の研究をされていたと思うが、 決定的なことは、「実務・現場」をまったく知らないということである。
それゆえに、上滑りな提案、突拍子のない提案に受け取られ、残念ながら「共感」を呼ばなかった。

・つまり、全部が全部とは言わないまでも、実務体験がないのである。現場体験がないのである。
実務での苦労、現場での苦労がないのである。そこでの汗の臭いがしないのである。
彼らは、やはり、ビジネスマン(サラリーマン)から、「自分たちが現在いる世界」とは縁遠いと感じられてきている。

・最近、「失敗する人」「上手くいかない人」の事例を基にした本も出てきてはいるが、着目したいのは、 そんな本でも、目線は、その失敗する人、上手くいかない人ではなく、それを観察する人であることだ。
手法は変わっても、現場のビジネスマン(サラリーマン)には、違った世界に映り始めている。

③公認会計士や税理士などビジネス社会を見てきた人の本について

・ここも前もってことわっておくが、これらの本の「結果」分析は当たっていることもある。
それはそれで傾聴に値するが、やはり、「外から見た結果」の考察である。

ビジネスマン(サラリーマン)が真に求めるものは、結果に至る「プロセス」である。
また、成功者には、こういう特徴があったと言っても、それはそうかもしれないが、やはり成功者の外形分析であり、そこに至るまでの、成功者の汗の臭い、現場での苦しみというものには、触れられていない。
もしかしたら、本当の成功者というものは、自分の本当の姿、苦労というものを、語らないのかもしれない。
いずれにせよ、ここにも、ビジネスマン(サラリーマン)は、「やはり、成功者の分析なのか」と冷めて見る傾向が始まっている。
3.論点は「視点」

・上記出版が繰り返されると、徐々にではあるが、ビジネスマン(サラリーマン)は、ビジネス書から離れていくのではないかと思っている。。
推測であるが、私はその代替として、ビジネスマン(サラリーマン)は、主人公の実際の体験をベースにした歴史小説に向かうのではないかと考えている。

・さて、日本のビジネスマン(サラリーマン)は、多くの著書で述べられるほど、馬鹿ではない。
みな、現場で一生懸命頑張り、悩んでいる人たちである。
その人たちがビジネス書を買っているという原点に立ち戻る必要がある。
以上述べてきたきたことは、このビジネスマン(サラリーマン)自身の「視点」と世の本の「視点」とが、かみ合っていないことにビジネスマン(サラリーマン)自身が気づき始めたことにある。

成功者は、飽くまでも視点は「成功を収めた視点」であり、ビジネスコンサルタントは、飽くまでも「机上からの視点」であり、公認会計士や税理士は、飽くまでも「ビジネス世界を垣間見た視点」であることを改めて理解する必要がある。

それでは、ビジネスマン(サラリーマン)は、どの視点からの本を求めているのだろうか。
その答えは、シンプルである。

つまり、彼ら自身からの「視点」である。
現場で悩む彼らの「視点」であり、現場で必死にあがき、解決策を模索する「彼ら自身」の「視点」を求めているのである。
別ないい方をすれば、「現場で働く彼らに役立つ書物」を求めているのである。


確かに、前記①~③の書物も、まったく役立たないかというと、そうではないだろう。
ただし、「その時は、わかったような気がするという『気つけ』的性格」に 彼ら自身が気づき始めている。

それは、多分、ビジネスマン(サラリーマン)を取り巻く環境が厳しくなっていることにも原因があるような気がする。
色々な「気つけ」や、「あるべき姿」やツールよりも、もっともっと、現実的に成果が出る手法を求めている。
また、上記①~③の本は、ビジネスマン(サラリーマン)の「内面的な葛藤」には触れることが、殆どない。

しかし、ビジネスマン(サラリーマン)は、もっと、内面の葛藤を共有する書物を求めている。
自分と同じ悩みを書物の中で共有したいと考えている。自分と同じ失敗例を書物の中で確認したがっている。
すなわち、少しでも自分の不安を軽減したい内面的な書物を求めていると言える。

これが、ビジネスマン(サラリーマン)が求めているビジネス書の内容だと考えるのである。
そして、ゆくゆくは、ビジネスの世界を実体験した人が書くビジネスエッセイというものが売れていくのではないかと考えている。

 

4.重要なことは、あなた自身が選ぶということ

正直言って、様々なジャンルの本が所狭しと並べられているビジネス書コーナーから、あなたが望む本を選ぶことは非常に難しい。
そんな中で、あなた自身もきっと、「衝動買い」をしているのではないかと思う。
また、出版社、書店も「衝動買い」を目的としているのではないだろうか。
しかし、ここで、本当にあなた自身が必要とするものをじっくり選ぶ必要があるのではと考える。
あなたが、なぜビジネス書コーナーに立ち寄ったのかという原点にかえり、じっくり、あなたが求める本を探す必要があると思っている。

おすすめの方法がある。
それは、あなた自身が目に止まったビジネス書を実際に手にとって、「その本に伝える思いがあるかどうか」を感じ取る方法である。
私は、およそ本というものは、「伝えたいもの」があるから書くものだと思っている。
自分の思いを人に伝えたい、自分の経験と教訓を人に伝えたい、自分が考えていることを人に伝えたいと思うことが原点だと思っている。
そんな本の思いをあなた自身が、肌で感じて選ぶことができれば、その本はあなたにきっと役立つものとなる。
ぜひ、この方法で、あなたが求めるビジネス書を探しあててもらいたいと思っている。

 

ビジネス書こそ、あなた自身が選ぶ本なのである。

 

上記が、『サラリーマンの本質 』執筆のきっかけとなった。
(参考) 新百合ヶ丘総合研究所トップページ及び「出発点」を参考にしてください。 

 

 


 

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成功者には「守る技術」があった?

ビジネス書で語られるものーそれは、成功を収めた技術、あるいは成功するための技術である。
そして、当然ながら成功者は、その技術を語り、ビジネス書の著者やビジネスコンサルタントはその共通項を探る。
しかし、成功者は決して語らないが、そこには「守る技術」も存在していたのではないだろうか。

 

確かに、成功者が、「私は、成功の陰に、こうした『守る技術』がありました」「私は、いろいろな『守る技術』を持っていたので一定の地位まで上り詰めました」と、語ることは抵抗があると思うし、そんなことを語ってしまっては、読者も興ざめし、成功本自体も台無しになってしまうだろう。
そんなことを書いてしまったら、きっと売れる本も売れなくなってしまうだろう。
なぜなら、読者は、自分とは違った成功者の体験談、成功者独特の気づきとやり方を本の中に見出そうとしているからである。
つまり、読者は、「自分もこの人たちと同じようなことをして成功したい」という動機からビジネス書を選んでいるからである。

 

その結果、本の中身は、「攻める技術」となる。
一般の人とはどう違うことを考え、どのように違うことを実行したのか、どう揺るぎない信念を貫いたのかと、本の中身はすべて「攻める技術」の紹介となる。
そして、読者は、その気づき、アイデア、不屈の信念に感動するのである。自分もそこまではいかなくてもマネできるものはマネしようと思うのである。
成功者に、このように人とは違う「攻める技術」があったことは間違いないことだろう。 それだからこそ、成功したのだろう。 しかし、本当にそれだけなのだろうか。その「攻める技術」に目を奪われているが、それだけでは、決してないだろうというのが、私の「出発点」である。

 

一つの例として、大会社の社長に上り詰めた人の成功本があったとする。
そこには、成功本に共通しているその人の入社当時のことから、社長に至るまでの出来事、事件、上司の話、同僚の話、部下の話、得意先の話、大きな商談、プロジェクト、提携等の話がこと細かに記載されているだろう。
そして、話の中身は、きっと、その時、自分がどう判断し、どういう決断をし、どのように実行し、やり遂げたかが書かれるだろう。

 

その人の判断力、洞察力、決断力、実行力に敬意を払わなければならないことは間違いないことだが、本当にそれだけであろうか?
私は、その人がそこまで上り詰めていく過程において、ネガティブな言い方になるかもしれないが、サラリーマンとして、ビジネスマンとして、減点、失点が少なかったのではないかと思うのである。
非常に現実的な表現をすると、減点、失点が少なかったから、その地位まで上り詰めたのではないかと思うのである。

 

いま、大企業の社長という極めて特殊な例をだしたが、サラリーマンとして、ビジネスマンとして一定期間生き抜くことは非常に難しい。
現在は好景気かもしれないが、やがては不景気が必ず訪れる。これは我々が幾度となく経験した動かざる経済原則である。
そして、重要なことは、いつの時代も企業は、生き延びるためにコスト削減を繰り返しているということである。
みなさんが働く企業でも、年々従業員の働いた成果により、給与格差を拡大していることと思う。今後益々その格差は拡大していくだろう。
また、いままで以上に企業統合やリストラも加速していくだろう。
つまり、雇用自体も安定しているようで安定していないと言えるかもしれない。

 

そんな中にあり、ビジネス書に記載がない「ビジネスマンの守る技術」を身に付けることは、重要に思えてならない。
そして、「守る技術」をマスターした上で、今度はみなさん自身により、「攻める技術」をマスターしていただきたいと思っている。

 

 

(ブログ「守る技術」のコンセプトである。
『サラリーマンの本質』も参照願いたい)

 

 

 

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