『浅草のおかあさん』の舞台㉚時

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人の頭ってこんなに黒いものかと思った。

 

床屋の「スガタミ」の前、提灯屋の「山崎屋」の前、酒販店の「池田屋」の前も真っ黒で、そんな真っ黒が「松喜」まで続いている。
左に目をやると、そんな真っ黒が雷門仲通りまで続いている。

 

右に目をやれば、そんな真っ黒が並木通りまで続いている。
そんな真っ黒が角の大東京火災まで続いている。
この大東京火災のずっと前には第一銀行がこの位置にあった。第一銀行は昭和39年の東京オリンピックのときに、金メダル、銀メダル、銅メダルを取った国のシールを貼るポスターを配ったことから、たいへん好評を博した。

 

 

やがて、あることを思いついた。黒頭の下に学校の制服やら、背広や事務服やら、作業着や料理服をつけることだった。そんな作業をしてみると、「あのときのあいつだ」ということが次第にわかってきた。

 

 

 

 

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『浅草のおかあさん』第30話 はにかみ  から

 

 

 

『浅草のおかあさん』目次
『浅草のおかあさん』の舞台を訪ねて(画像)

 

 

 

「スガタミ」や提灯の「山崎屋」の前は、男たちの頭で真っ黒になった。真っ黒は手打ラーメンの「馬賊」まで続いた。

 

 

 

 

 

2018年1月4日