『浅草のおかあさん』の舞台㉓おかあさんの解決法

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おかあさんの解決法

 

浅草のおかあさんの会社に勤める女性事務員が、同じ会社の若手職員に恋をしたことからこの物語は始まる。

 

二人の年齢差を考えると、最初はおねえさん的な存在だったと思うが二人の仲は進展した。
その女性は、当時流行った『下町の太陽』の曲に乗って、そこかしこに現れた。

 

ところが、会社に、学校を出たばかりの女子事務員が入ってきた。
相手の男性はこの女子事務員にころっといってしまった。

 

 

歌川広重が描いた東海道五十三次の45番目「庄野宿」の『白雨』には、真っ暗な空、激しい風雨、みの傘をかぶった男が腰をかがめ、転げるように坂を下っていく姿が描かれている。
浅草の街は、そんな「庄野宿」の絵のようになってしまった。みんな、みの傘ですっぽり覆いたいような気持ちになった。

 

 

浅草のおかあさんは、毎日、1時間も2時間も女性の話を、ただただ黙って聞いた。同じような話を1年も聞いた。
相手の男性の話も聞いた。女性ほどの頻度ではなかったが、この男性の話も黙って一年聞いた。

 

女性は、相手の男性を心底好きだということに改めて気づいた。
男性の方も、なんだかんだ言っても、女性のことが好きであり、若い自分を励まし、支えてくれたことに感謝している自分の気持ちを知った。

 

自分が本当に思っていることが相手に伝わったのか、この物語は潮が引くように幕が降りた。

 

 

いま、企業では、部下には「傾聴」が一番大事とよく言う。傾聴ができている上司を、会社は大いに評価するが、傾聴といってもせいぜい20分から30分程度であり、それも部下の話を最後まで聞くことはできず、ついつい自分の意見をはさんでしまう。それでも、企業はこうした上司は傾聴ができていると言う。

 

 

しかし、浅草のおかあさんは、二人の話を黙って1年も聞いたのである。

 

 

 

 

近日発売の
『浅草のおかあさん』第23話 浅草のおかあさんの解決法  から

 

 

 

『浅草のおかあさん』目次
『浅草のおかあさん』の舞台を訪ねて(画像)

 

 

田原町交差点

 

 

 

 

2018年1月3日